火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第75号
平成30年5月11日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 5月7日から5月11日15時までの新燃岳の活動状況をお知らせします
。
 新燃岳では活発な火山活動が続いています。
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石、及び新燃岳火口から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してく
ださい。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、5月2日から3日にかけて増加した新燃岳火口の北側2km
付近を震源とする火山性地震は、4日以降、少ない状態で経過しています。
 新燃岳火口直下を震源とする火山性地震は、8日以降増加し、多い状態が
続いています。また、浅い所を震源とする低周波地震が時々発生しています
。継続時間の短い火山性微動が時々発生しました。
 
 高千穂河原観測点の傾斜計では、9日に新燃岳方向がわずかに隆起する変
動が観測されています。
 
 噴火は4月7日以降、観測されていません。
 5月7日以降、噴煙は最高で火口縁上300mまで上がりました。
 
 9日及び10日に実施した現地調査では、新燃岳西側斜面の割れ目付近及
び割れ目下方の噴気の状態や熱異常域の分布に特段の変化は認められません
でした。
 
 5月7日からの火山性地震、火山性微動の回数は以下のとおりです。回数
は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震     火山性微動
 5月 7日       15回(15回)     0回
    8日       90回(90回)     5回
    9日       72回(67回)     0回
   10日       31回(31回)     0回
   11日15時まで   6回( 6回)     0回
             ()内は新燃岳火口直下を震源とする地震
 
 GNSS連続観測では、2017年7月頃から霧島山を挟む基線での伸び
が継続していましたが、3月6日から7日にかけて急激な収縮が観測されま
した。その後、再び伸びに転じています。このことから、霧島山の深い場所
で再びマグマが蓄積されている可能性があります。
 
 新燃岳では、活発な火山活動が続いていることから、今後の火山情報に注
意してください。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ
るなどのおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体
等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。