火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第58号
平成30年4月5日20時30分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 4月5日20時05分に発表した火山の状況に関する解説情報第57号を
訂正します。
 本日(5日)の火山活動の状況及び現地観測の結果をお知らせします。
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石、及び新燃岳火口から概ね2kmの範囲では火砕流に警戒してく
ださい。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、本日(5日)03時31分に爆発的噴火が発生し、多量の噴
煙が火口縁上5000mまで上がり、ごく小規模な火砕流が火口の中心から
南東側へ約800m(火口縁から約400m)まで流下しました。また、弾
道を描いて飛散する大きな噴石が火口の中心から1100mまで飛散しまし
た。
 その後も噴火は継続し、03時45分頃からの数分間は噴煙量が増加し、
弾道を描いて飛散する大きな噴石が断続的に火口周辺に飛散しました。監視
カメラによる観測では、噴煙は火口縁上2500mまで上がり、雲に入りま
した。噴煙高度を精査した結果、気象衛星データの解析により、火口縁上約
8000mまで上がったと推定されます。
 噴火は07時15分頃には停止したもようです。

 本日実施した現地調査及び九州地方整備局の協力により実施した上空から
の観測では、宮崎県小林市と高原町の一部で多量の降灰を確認しました。
 聞き取りによる降灰調査では、新燃岳の北側(熊本県人吉市)、北東側(
宮崎県門川町)、東側(宮崎県宮崎市)にかけての広範囲で降灰を確認しま
した。
 火山ガスの放出量は、1日あたり1400トン(前回3月28日、300
トン)と増加しました。

 火山性地震は、3日以降多い状態で経過していましたが、本日の噴火後は
減少しています。噴火に伴う火山性微動が発生しました。

 2日からの火山性地震、火山性微動、爆発的噴火の回数は以下のとおりで
す。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります
。
 
               火山性地震  火山性微動  爆発的噴火
 4月2日            10回     0回     0回
   3日           490回     0回     0回
   4日           358回     0回     0回
   5日00時から06時まで 227回     4回     1回
     06時から12時まで  17回     0回     0回
     12時から18時まで   6回     0回     0回

 新燃岳では、今後も同程度の噴火が発生する可能性がありますので、今後
の火山情報に注意してください。

<訂正箇所>
 「1.火山活動の状況」で4月4日の火山性地震の回数を「219回」か
ら「358回」に訂正します。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流されて降る
おそれがあるため注意してください。
 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ
るなどのおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体
等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり
ますので留意してください。

 火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。