火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第29号
平成29年10月23日16時10分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 10月22日から10月23日15時までの霧島山(新燃岳)の活動状況
をお知らせします。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、活発な火山活動が続いています。
 
 本日(23日)、新湯温泉付近から実施した現地調査では、新燃岳の西側
斜面の割れ目付近と割れ目の下方の噴気や熱異常域の状態に、特段の変化は
認められませんでした。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あたり5
0トンと前回(16日、1日あたり500トン)と比べ減少しました。
 
 本日、九州地方整備局の協力により実施した上空からの観測では、10月
11日に噴火が発生した火口内東側の火孔付近から白色の噴煙が上がり、そ
の他、火口内の複数の箇所から白色の噴煙が火口縁上100mまで上がって
いるのを確認しました。火口内の複数の窪地に水たまりがあるのを確認しま
した。新燃岳の西側斜面の割れ目付近と割れ目の下方の噴気や熱異常域の状
態に、特段の変化は認められませんでした。

 監視カメラによる観測では、白色の噴煙が火口縁上600mまで上がりま
した。
 
 新燃岳付近の火山性地震は、昨日(22日)は11回、本日は15時まで
に3回発生しました。 
 火山性微動は、昨日から本日15時までは観測していません。
 
 地殻変動観測では、新燃岳の明瞭な山体膨張を示す傾斜変動は認められま
せんが、GNSS連続観測によると、2017年7月頃から霧島山を挟む基
線で伸びの傾向がみられており、霧島山の深い場所で膨張している可能性が
あります。

 えびの岳付近(新燃岳の北西6km付近)の地震は、昨日は観測されませ
んでした。本日は15時までに1回発生しました。この付近は、2011年
の新燃岳の噴火でマグマを供給したと推定される領域です。
 
 新燃岳では、当面、火山灰を噴出する噴火活動が継続すると考えられます
。また、今後、多量のマグマが新燃岳直下ヘ供給されれば、規模の大きな噴
火が発生する可能性もあります。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね1kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 風下側では、火山ガスにも注意してください。また、地元自治体等が発表
している火山ガスの情報にも留意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあ
るため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。
 
 次の火山の状況に関する解説情報は、24日(火)16時頃に発表の予定
です。
 なお、噴煙が火口縁上2000m以上に上がった場合や、火山活動の状況
に変化があった場合には、随時お知らせします。