火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第24号
平成29年10月19日16時45分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 本日(19日)、火山噴火予知連絡会拡大幹事会が開催され、霧島山(新
燃岳)の火山活動について検討を行い、結果を取りまとめました。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 火山噴火予知連絡会拡大幹事会見解

 霧島山(新燃岳)では、10月11日05時34分頃に山頂の火口から噴
火が発生し、17日未明まで概ね連続的に噴火が続きました。
 噴煙の高さは、開始当初の火口縁上数百mから12日以降は高まり、14
日に2300mが観測されています。これまでのところ、大きな噴石の火口
外への放出や火砕流はみられず、火山灰を噴出する活動が続いています。火
山灰の放出量は、16日までで数十万トンと見積もられています。一時的に
日量1万トンを超える火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も観測されています
。火山灰の付着成分の分析から、高温のマグマに由来する火山ガスが関与し
たと考えられます。
 この噴火に先立ち、今年7月頃から霧島山を挟むGNSS基線で、霧島山
の深い場所での膨張を示すと考えられる伸びの変化が続いています。また9
月下旬から新燃岳の火口直下付近で火山性地震が増加しました。その後、1
0月9日に傾斜変動を伴う火山性微動が発生し、10月11日の噴火に至り
ました。この傾斜変動は、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられ
るマグマだまりの収縮と、新燃岳付近のわずかな膨張を捉えているという解
釈も可能です。
 噴火開始後には、低周波の微動や地震の増加もみられます。また、緩やか
な傾斜変動が9日の微動以降、16日頃まで継続しました。

 以上のことから、今回の活動はマグマが関与した噴火であると考えられま
す。

 2011年の新燃岳の噴火活動では、1月26日から31日にかけて多量
の火山灰と軽石、溶岩を噴出するマグマ噴火が発生し、その後、大きな噴石
を飛散する噴火が数カ月間断続的に発生しました。この活動の中で、急激な
収縮がみられたマグマだまりは、その後に収縮前と同程度に回復していると
考えられます。
 当面、火山灰を噴出する噴火活動は継続すると考えられます。また、現在
も地下深くのマグマだまりにはマグマが蓄積されていると考えられ、今後、
多量のマグマが新燃岳直下へ供給されれば、規模の大きな噴火が発生する可
能性もあります。

2.防災上の警戒事項等
 火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな
噴石や火砕流に警戒してください。
 噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が風に流
されて降るおそれがあるため注意してください。
 風下側では、火山ガスにも注意してください。また、地元自治体等が発表
している火山ガスの情報にも留意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあ
るため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。