火山名  阿蘇山  火山の状況に関する解説情報  第57号
平成26年12月5日16時00分  福岡管区気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>

1.火山活動の状況
(12月1日から12月5日15時)
 阿蘇山では、活発な噴火活動が続いています。
 11月25日の噴火の発生以降、天候不良により噴煙が確認できない時も
ありましたが、火山性微動や空振の発生状況などから、噴火が継続している
と考えられます。
 遠望観測では、噴煙は最高で火口縁上500メートルまで上がりました。

 12月3日に実施した現地調査では、中岳第一火口の北東側約2キロメー
トルの仙酔峡付近で、ごく少量の降灰を確認しました。

 熊本大学教育学部が11月25日から29日にかけて実施した現地調査に
よると、この期間の噴火による火山灰の総量は15万トン程度と概算されて
います。

 中岳第一火口では、夜間に遠望カメラ(高感度カメラ)で、赤熱した噴石
が火口縁上に上がっていることを時々確認したほか、火映を時々観測しまし
た。また、阿蘇火山博物館の火口カメラでは、141火孔から火炎や赤熱し
た噴石を時々観測しました。

 火山性微動は消長を繰り返しながら振幅の大きい状態で継続しており、空
振を伴う火山性地震が時々発生しています。
 
 GNSS連続観測では、一部の基線にわずかな伸びの傾向が認められます
。傾斜計では、特段の変化は認められません。

 12月1日からの火山性地震の回数及び微動積算時間(いずれも速報値)
は以下のとおりです。

              火山性地震    微動積算時間
 12月 1日         23回   24時間00分
 12月 2日         20回   24時間00分
 12月 3日         38回   24時間00分
 12月 4日         46回   24時間00分
 12月 5日(15時まで)  35回   15時間00分

2.防災上の警戒事項等
 火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな
噴石に警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るため注意して
ください。

  次の火山の状況に関する解説情報は、8日(月)16時頃に発表の予定で
す。
  なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>