火山名  霧島山(新燃岳)  火山の状況に関する解説情報  第50号
平成23年3月22日17時00分  福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

火山噴火予知連絡会の検討結果
 本日(22日)、第119回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新
燃岳)の火山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめまし
た。

 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果

 新燃岳は間欠的に噴火が発生しているものの最盛期の活動に比べ低下した
状態で推移しています。一方、新燃岳の北西数kmの地下深くのマグマだま
りへのマグマの供給は続いており、また、マグマだまりから新燃岳へのマグ
マの上昇は断続的に続いていると推定され、噴火活動は今後も続くと考えら
れます。

 霧島山(新燃岳)では、1月26日から本格的なマグマ噴火が始まり、多
量の火山灰等を放出する噴火活動があり、火口内に溶岩が噴出、爆発的な噴
火が繰り返されました。
 2月15日以降、2月18日と3月1日に爆発的噴火が発生し、3月13
日には火口上4000mに噴煙を上げる噴火が発生して風に流された直径1
〜4cmの小さな噴石(火山れき)が火口から9kmまで降下するなど、間
欠的に噴火が発生しています。しかし、2月上旬までの最盛期に比べ噴火の
規模や頻度は低下した状態になっています。傾斜観測では、噴火の数時間〜
2日前に新燃岳がわずかに膨張し、噴火に伴い収縮して元に戻る変化が見ら
れ、これは間欠的なマグマの動きによると推定されます。また噴火の前後で
火山性地震がやや増加する傾向が見られます。
 最盛期は1万トン以上であった1日あたりの二酸化硫黄の放出量は、概ね
1000トン以下で経過しています。

 GPS観測によると、1月26日から2月1日の本格的なマグマ噴火に対
応して急激に収縮した新燃岳の北西数kmの地下深くのマグマだまりは、再
び緩やかな膨張に転じています。新燃岳周辺の地震活動には、顕著な変化は
認められません。

 以上のように、新燃岳の噴火活動は最盛期に比べ低下した状態で推移して
います。しかしながら新燃岳へのマグマ上昇は断続的に続いていると推定さ
れ、噴火活動は今後も続くと考えられます。また、新燃岳の北西数kmの地
下深くのマグマだまりへのマグマの供給は2009年12月以降、同程度の
割合で続いています。マグマだまりから新燃岳へ大量にマグマが上昇するよ
うなことがあれば噴火活動が再び活発化すると考えられます。

 引き続き、新燃岳付近では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石と
火砕流に警戒が必要です。風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小
さな噴石(火山れき)に注意が必要です。また、爆発的噴火に伴う大きな空
振に注意が必要です。
 噴火警報等及び霧島山上空の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意くだ
さい。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>