火山名  霧島山(新燃岳)  火山の状況に関する解説情報  第21号
平成23年2月3日16時00分  福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続)>

 本日、火山噴火予知連絡会拡大幹事会が開催され、霧島山(新燃岳)の火
山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめました。

 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する火山噴火予知連絡会拡大幹事会見解

 霧島山(新燃岳)の火山活動は活発な噴火活動が続いており、当分の間は
、現在と同程度の溶岩を吹き飛ばす爆発的な噴火を繰り返すと考えられます
。

 霧島山(新燃岳)の火山活動は、2008年8月、2010年3〜7月に
、ごく小規模〜小規模な噴火が発生するなど、やや活発な状態が続いていま
したが、本年(2011年)1月19日から噴火が始まり、活発な噴火活動
が続いています。

 1月19日から始まった噴火は、26日から本格的なマグマ噴火となり、
新燃岳火口に溶岩が噴出し、火口内での蓄積量は次第に増加しました。噴火
に伴い、風下側では居住地の付近で風の影響を受けた小さな噴石(火山れき
)や多量の火山灰が降りました。火口近傍でごく小規模な火砕流の発生の痕
跡も認められています。27日からは爆発的な噴火が時々発生するようにな
り、2月1日07時54分の爆発では、弾道を描いて大きな噴石が火口から
3.2kmにまで飛散し、空振によって窓ガラスが割れる等の被害がありま
した。
 これまでの噴出物量は、4千万〜8千万トン程度と推定されます。
 1日あたり1万トン以上の二酸化硫黄の放出が観測されており、火山ガス
の放出活動も活発です。

 GPSの観測では、2009年12月から霧島山周辺では地盤の伸びが観
測されていましたが、噴火活動が活発化するのに伴い縮みに転じました。1
月26日からは、傾斜・ひずみ観測により、顕著な噴煙活動期や火口内への
溶岩の噴出期に収縮率が大きくなる傾向が認められます。収縮は、新燃岳の
北西数kmの地下深くに存在するマグマだまりから新燃岳へマグマが上昇・
噴出していったことを示すと推定されます。収縮に伴う地盤の縮みは、20
09年12月からの伸びの4分の3程度となっています。収縮は1月31日
から鈍化・停滞していますが、2月1日以降は、活発な爆発的噴火活動が続
いています。
 当分の間は、現在と同程度の溶岩を吹き飛ばす爆発的な噴火を繰り返すと
考えられます。

 18世紀のマグマ噴火では、2年程度噴火活動が続いています。今回の火
山活動は、約300年ぶりの本格的なマグマ噴火であり、活動の推移を注意
深く見守る必要がありますので、今後観測体制の強化が必要です。

 噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒が必要です。
 風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石(火山れき)に注意が必
要です。また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等
及び霧島山上空の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に注意が必要です。降雨に関する情報に注意くだ
さい。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>