西之島 有史以降の火山活動
有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)
年代 | 現象 | 活動経過・被害状況等 |
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▲1973~74(昭和48~49)年 | 中規模:マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火 | 73年4月上旬~74年6月頃。降下火砕物、溶岩流。噴火場所は西之島新島。 1973年噴火:4月12日西之島の東方に変色海域。5月30日白煙。6月27日噴煙、噴石、水柱。9月11日直径30~50mの新島発見。9月14日新島の位置・本島南端から116°(東南東)に600m。径約150m、高さ40m。噴石、水柱200m。9月29日新島主火口より溶岩流出、その西約40mに第2新島発見。10月9日第2新島の西に第3新島出没。10月10日第1~3新島陸続き。12月21日海上保安庁は西之島新島と命名。 1974年噴火:(前年からの活動続く)3月2日新島東北端に新々島出現。溶岩流出。6月10日新島と旧島結合。8月3日海上保安庁航空測量、面積316,000m2(新島面積238,000m2)。 マグマ噴出量は0.017 DRE km3。 |
1975(昭和50)年 | 海水変色 | 新島の周囲で海水変色。 |
1990(平成2)年以降 | 海水変色 | 常時薄い黄緑色変色が認められる。 |
▲2013~15(平成25~27)年 | 噴火 | 2013年11月20日:10:20頃噴煙確認(海上自衛隊による)。同日16時頃、島の南東500m付近の海上に長径約300m、短径約200mの新島の出現を確認(海上保安庁による)。 2013年12月26日:新島の北側に延びた溶岩流が西之島と接続し、両島が一体となっているのを確認(海上保安庁による)。 2014年以降も噴火、溶岩流出継続。新島の拡大。 2015年11月17日:数メートル程度の火山弾を放出し、到達距離は約500~1000m。火砕丘南西山腹からの溶岩流出は認められたが、2014年9月17日以降継続していた火砕丘北側からの溶岩流出は停止(海上保安庁による)。 その後は噴火は確認されず、11月下旬以降溶岩流出もほぼ停止したとみられる。 |
2016(平成28)年 | 海水変色 | 西之島の周囲に変色水域が分布。 |
▲2017(平成29)年 | 噴火 | 4月20日:火砕丘の山頂火口からの噴火確認。大きな噴石の飛散、山頂及び山腹から溶岩流出(第三管区海上保安本部による)。 東京大学地震研究所が西之島に設置した地震計・空振計の記録および西之島の地表面温度の変化から、4月18日に噴火が発生、4月19日に溶岩流出が顕著になったと推定。 8月11日以降噴火は確認されず、溶岩流出も8月24日までには停止したものとみられる。 面積2.96km2(8月24日:海上保安庁による。2016年9月15日:約2.68km2)。 |
▲2018(平成30)年 | 噴火 | 7月12日:噴火確認(海上保安庁による)。 7月13日:火砕丘東側斜面に形成された新たな火口から大きな噴石の飛散と火砕丘からの溶岩流出。 7月下旬以降噴火は確認されず。 |
▲2019~20(令和元~2)年 | 噴火 | 2019年12月5日:気象衛星ひまわりが西之島の地表面温度が高い状態を観測。 12月6日:山頂火口からの噴火(噴煙高度約200m)及び溶岩流出確認(海上保安庁による)。その後、山頂火口からの噴火と山腹からの溶岩流出が継続。地表面温度は2017年噴火時よりも高い状態が継続し、溶岩流出率も2013年~2015年及び2017年の噴火活動を上回る規模で推移。 以降、火砕丘山頂火口からの噴火が継続(噴煙高度約300~2,700m)し、流出した溶岩の海への流入(陸域の拡大)、海域での変色水をしばしば確認。 2020年6月~:溶岩流出率の急増。大量の火山灰を噴出する活発な噴火。黒褐色~黒色の噴煙が約2,000~3,400m(6月15日、19日、29日)。7月に入り、火口縁上4,000m程度の噴煙を継続的に確認、4日には火口縁上8,300m(気象衛星ひまわりによる観測)。火砕丘が急激に成長。溶岩流出率が急減。7月中旬以降、西之島付近の地表面温度も低下。30日の観測では、火山灰を噴出する活発な噴火は継続するも、大きな噴石や溶岩流出は認められず((国研)防災科学技術研究所による)。8月中旬以降、噴煙高度も低下(概ね2,000m以下)。8月下旬以降は気象衛星ひまわりで火山灰が認められなくなった。 |
▲2021(令和3)年 | 噴火 | 8月14日:噴煙高度が火口縁上1,900mの噴火を確認(気象衛星ひまわりよる観測)。 8月16日:山頂火口の火口底の陥没を確認(海上保安庁による)。 8月26日:灰色及び白色の噴煙及び、山頂火口付近に硫黄昇華物を確認(海上保安庁による)。 8月頃から11月中旬頃にかけて、地表面温度がわずかに高い状態を観測(気象衛星ひまわりによる)。 |
▲2022(令和4)年 | 噴火 | 10月1日:噴煙高度が火口縁上1,600mの噴火を確認(気象衛星ひまわりよる観測)。以降、10月12日まで継続して火山灰を含む噴煙を確認。期間中の最大噴煙高度は3,500m。 3月中旬頃から12月上旬頃にかけて、地表面温度がわずかに高い状態を観測(気象衛星ひまわりによる)。 |
日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。