那須岳[なすだけ] Nasudake【常時観測火山】
北緯 37°07′29″ 東経 139°57′46″ 標高 1,915m (茶臼岳)(標高点) |
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那須岳 南西側から 2012年 9月 10日 気象庁撮影 |
概要
那須火山は関東平野北端の関谷断層に沿って南北に配列する主として安山岩からなる成層火山群。活火山としての那須岳はその1峰で別名、茶臼岳。構成岩石のSiO2量は52.1~65.2wt.%である。
那須火山群では北から南に活動中心が移動して、甲子(かっし)旭岳火山は約50万年前、三本槍火山は約30万年前、朝日岳火山と南月山(みなみがっさん)火山は約10~20万年前に、それぞれ活動した成層火山である。また、那須火山群では過去に数回の山体崩壊が起きて、20万年前以前に黒磯岩屑なだれ、約14~17万年前に那珂川岩屑なだれ、約3~4万年前に御富士山(おふじやま)岩屑なだれなどを発生させ、その堆積物は東側の山麓の広い範囲を覆っている。
那須火山群で最も新しい茶臼岳火山は、約1.6万年前から活動を開始し、溶岩・火砕物を大部分は東山麓に、一部は西側の那珂川上流部に堆積させている。
茶臼岳は東に開く大きな崩壊凹地中に生じた新しい火山で、数枚の溶岩流・火砕流と頂部の火砕丘・その中の溶岩ドームからなる。溶岩ドームの中央火口(直径100m)の内外には噴気孔が多いが、特に西斜面の2つの爆裂火口内では活発な噴気活動が続いている。有史以降の噴火はすべて爆発型。泥流を生じやすい。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
最近1万年間は茶臼岳の活動が続いており、約11000年前~6000年前までの5000年間に、それぞれに降下火砕物・火砕流・厚い溶岩流を噴出する3回の大きな活動があり、山体の大部分が形成された。約6000年前以降は、数百年に1回程度の水蒸気爆発が発生していたが、約2600年前に比較的規模の大きな活動があり、山頂の火砕丘が形成された。その後、水蒸気爆発が繰り返される活動に戻ったが、1408年から1410年の活動によって、降下火砕物・火砕流が噴出し、さらに茶臼岳溶岩ドームが形成された。この後、小規模な水蒸気爆発が繰り返されている。近年に那須岳付近地域では群発性の地震活動の発生があるが、火山活動との関係は認められていない。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 那須岳 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関協力の下、那須岳の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 那須岳の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 那須岳の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。