諏訪之瀬島 有史以降の火山活動

 文化噴火(1813年)以降は、明治噴火(1884年)で溶岩が流出し、最近約50年間は主に断続的なストロンボリ式噴火やブルカノ式噴火により火山灰等の火砕物が放出されている。

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代 現象 活動経過・被害状況等
▲1813(文化10)年 大規模:噴火 「文化噴火」。噴火場所は御岳火口、旧火口。火砕物降下、火砕流の発生後、溶岩流出し、海に達する。山体崩壊も発生。 この活動で住民全員避難、1883(明治16)年まで無人島となる。マグマ噴出量は0.1 DRE km 3
▲1877(明治10)年頃 噴火 3日間音響。噴火場所は御岳火口。
▲1884(明治17)年 噴火 「明治噴火」。噴火場所は御岳火口。溶岩流出し、海に達する。噴火活動は翌年まで継続。降灰。
▲1885(明治18)年 噴火 噴火場所は御岳火口。鳴動、噴煙。
▲1889(明治22)年 噴火 10月2日~13日。噴火場所は御岳火口。奄美大島名瀬港で、空振・爆発音。
1914(大正3)年 噴煙、鳴動 3月21日。噴火場所は御岳火口。
1915(大正4)年 噴煙 7、9月。噴火場所は御岳火口。
▲1921(大正10)年 噴火 12月8、9日。噴火場所は御岳火口。
▲1922(大正11)年 噴火 1月26日。以降1925年まで小活動。噴火場所は御岳火口。
▲1925(大正14)年 噴火 5月13日。溶岩流出。
▲1938(昭和13)年 噴火 3月11日。以降もしばしば噴火。
▲1940(昭和15)年 噴火 11月29日。噴火場所は御岳火口。
▲1949(昭和24)年 噴火 10月。黒煙、鳴動、地震、地割れ。噴火場所は御岳火口。
▲1950~54(昭和25~29)年 噴火 ときどき噴火。噴火場所は御岳火口。
▲1956(昭和31)年 噴火 11、12月。噴煙、空振。噴火場所は御岳火口。
▲1957~95(昭和32~平成7)年 噴火 頻繁に噴火。噴火場所は御岳火口。
1989(平成元)年 地震 10月。諏訪之瀬島で有感地震あり。
▲1992(平成4)年 噴火 2月、10月。2月に島内降灰。10月の噴火では赤熱噴石。以降断続的に1997年4月まで噴火。1994年12月の噴火では火映が見られる。噴火場所は御岳火口。
▲1997(平成9)年 噴火 3、4月。少量の火山灰噴出。噴火場所は御岳火口。
1998(平成10)年 地震 10月23、24日。諏訪之瀬島でM2.2、M2.3の地震発生。
▲1999(平成11)年 噴火 1、9、11月。集落で時々降灰を確認。噴火場所は御岳火口。
▲2000(平成12)年 噴火 1、2、12月に集落で降灰を確認。12月に新噴出口生成。
▲2001(平成13)年 噴火 1~5、7、10~12月。噴火場所は御岳火口。集落で時々降灰を確認。火山性地震は7月以降活発となった。振幅の小さい火山性微動が時折発生した。
▲2002(平成14)年 噴火 爆発が2月を除き毎月発生し、年間の爆発回数は306回。 特に、8月19日22回、11月22日に22回、12月5日には72回爆発が発生し、また、8月19~21日には連続的な噴火が発生するなど噴火活動が活発となった。 火山性連続微動は、1月下旬、3月上旬、4月中旬および7月以降は度々発生した8月20日に、奄美大島の名瀬市で降灰を観測した。噴火場所は御岳火口。
▲2003(平成15)年 噴火 爆発が8月と11月を除き毎月発生し、年間の爆発回数は64回。その中で、7月4日に7回、翌5日に13回と、2日間で20回の爆発が発生した。 また、3月7日03時00分~13時00分と6月10日08時00分~09時00分過ぎに連続的な噴火が発生。火山性連続微動は、2月下旬~3月中旬、7月に断続的に発生。火山性地震も短期間に多発する活動が繰り返された。噴火場所は御岳火口。
▲2004(平成16)年 噴火 爆発は、1月、3~7月、10月、および12月に発生。2月御岳火口内の北東側に新しい火口形成。
▲2005(平成17)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、1月、5~7月、10月、12月に発生し、1年間に46回発生。噴火場所は御岳火口。
▲2006(平成18)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、1~3月、7月、8月、10~12月に発生し、年間の爆発回数は519回。噴火場所は御岳火口。
▲2007(平成19)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、1~5月、9~12月に発生し、年間の爆発回数は70回。噴火場所は御岳火口。
▲2008(平成20)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、2~4月、6月、8~12月に発生し、年間の爆発回数は194回。噴火場所は御岳火口。
▲2009(平成21)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、年間を通して発生し、年間の爆発回数は216回。噴火場所は御岳火口。
▲2010(平成22)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は、6月を除いた年間を通して発生し、年間の爆発回数は283回。噴火場所は御岳火口。
▲2011(平成23)年 噴火 爆発を含む小規模な噴火を繰り返し、火山活動は活発な状態が続いた。 爆発は1~5月、9月に発生し、年間の爆発回数は51回。2月に北東海域で地震群発。3月は東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)以降、地震が一時的に増加。噴火場所は御岳火口。
▲2012(平成24)年 噴火 爆発が1~3月に発生。噴火場所は御岳火口。
▲2013(平成25)年 噴火 8月以降、爆発を含む噴火が断続的に発生。12月下旬には爆発が247回発生し、 12月29日に125回、翌30日に66回と、2日間で191回の爆発が発生。 12月29日00時頃から03時過ぎにかけて微弱な空振を伴う連続的な噴火が発生。 噴火場所は御岳火口。
▲2014(平成26)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、1月には爆発が23回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。また、ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2015(平成27)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、9月には爆発が89回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。また、ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2016(平成28)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、8月には爆発が26回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。8月1日07時44分に発生した噴火では、灰白色の噴煙が火口縁上2,700mの高さまで上がった。ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2017(平成29)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、8月には爆発が12回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。8月3日18時28分に発生した爆発では、灰白色の噴煙が火口縁上2,800mの高さまで上がり、2003年の観測開始以降の最高となった。ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2018(平成30)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、11月には爆発が21回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2019(令和元)年 噴火 爆発を含む噴火が時々発生し、爆発が15回発生するなど、噴火活動は活発な状態で経過した。爆発に伴い、火口周辺に飛散する噴石を時々確認。ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2020(令和2)年 噴火 爆発が764回発生するなど、噴火活動が活発な状況で経過した。4月28日から29日にかけて活動が一時的に活発化し、28日04時32分の噴火では、噴煙が火口縁上1,600mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石が同火口から約800mまで飛散。この噴火以降爆発が多発し、同月28日から30日にかけて116回発生。10月以降、爆発回数が増加し、活発化の傾向が認められた。12月21日から29日にかけて、さらに爆発回数が増加し、28日02時48分に発生した爆発では、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から南東方向に約1.3km まで達した。その後も断続的に噴火が発生。ほぼ年間を通して火映を観測。噴火場所は御岳火口。
▲2021(令和3)年 噴火 3月、6月、9月や12月など、短期的な噴火活動のさらなる活発化がみられた。これらの短期的な活発化時には、爆発の増加とともに、火口中心から1㎞前後まで飛散する大きな噴石を多数観測した。10月26日13時17分に発生した爆発では、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から南方向に約1.9kmまで達した。噴火場所は御岳火口。
▲2022(令和4)年 噴火 2021年12月中旬から2022年4月上旬にかけて噴火活動が活発化した。その後、9月下旬から10月中旬にかけて噴火活動は一時的に活発化したものの、低調な状態で推移した。爆発の増加とともに、火口中心から1㎞前後まで飛散する大きな噴石を多数観測した。噴火場所は御岳火口。
▲2023(令和5)年 噴火 1月下旬から3月中旬及び6月中旬に爆発が増加するなど、一時的に噴火活動が活発化した。その後、爆発は減少し、10月を除いて発生しなかった。2月には火口中心から1㎞付近まで飛散する大きな噴石を観測した。噴火場所は御岳火口。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)による。2012年以降は火山活動解説資料(年報)による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース (工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。 また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。 詳しくはこちらを参照のこと。



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