平成25年10月26日(02時10分)の福島県沖の地震で発表した津波注意報について

地震の概要

平成25年(2013年)10月26日2時10分、福島県沖の深さ56kmでMw7.1の地震が発生した。発震機構(気象庁CMT解)は東西方向に張力軸を持つ正断層型であった。 (地震の詳細は、平成25年10月地震・火山月報(防災編)を参照)

震源要素
震源時刻(日本時間) 震央地名 緯度 経度 深さ Mw
2013年10月26日 02時10分 福島県沖 北緯37度11.7分 東経144度34.1分 56km 7.1 7.1


今回の地震の震央分布図
1997年10月1日~2013年10月31日の期間に発生した、M≧4.0、深さ0~100kmの地震を表示している。 2011年3月10日以前に発生した地震を+、 2011年3月11日~2013年9月30日に発生した地震を薄い○、2013年10月1日以降の地震を濃い○で表示している。発震機構はCMT解。

発表した津波注意報の概要

この地震に対して発表した津波注意報は、以下のとおりである。

発表時刻 概要 発表予報区
10月26日 02時14分 津波注意報発表

福島県
津波注意報発表予報区(地図、png形式)
02時50分 津波注意報発表

岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房
津波注意報発表予報区(地図、png形式)
04時05分 津波注意報解除 全ての予報区
津波注意報の発表で、黒文字は「津波注意報」のグレードであることを示す。

津波の観測

各予報区において予測した津波の高さと、観測した津波の高さ
津波予報区 予測(津波の高さ) 予報区内で観測した津波の高さの最大
岩手県 津波注意報(1m) 30cm
宮城県 津波注意報(1m) 36cm
福島県 津波注意報(1m) 27cm
茨城県 津波注意報(1m) 観測されず
千葉県九十九里・外房 津波注意報(1m) 観測されず
黄は「津波注意報」のグレードであることを示す。
表中の観測値は後日変更される場合がある。

詳細は、下記資料をご覧下さい。

各津波観測施設で観測した津波の最大の高さ(津波を観測した地点のみ表示)
津波観測点で観測した津波の最大の高さ

津波観測施設の津波波形
津波観測点で観測した津波
潮汐成分を除いた津波波形を表示している。
港)は国土交通省港湾局、海)は海上保安庁、国)は国土地理院の観測点であることを示す。
GPS波浪計の観測単位は0.1mである。

津波予測の評価

 この地震について、地震発生時に緊急的に求めた震源、マグニチュード(M6.8)で近地地震用津波予測データベースを検索し、 得られた結果を使用して福島県に津波注意報を発表した。その後、地震波形に基づくCMT解析結果(Mw7.1)をもとに、 地震発生から約40分後の2時50分に津波注意報の範囲を岩手県から千葉県九十九里・外房にまで拡大した。 この地震により、福島県の相馬で27cmの津波を観測したほか、宮城県の石巻市鮎川で36cm、 岩手県の久慈港で30cmの津波を観測するなど、津波注意報を拡大した津波予報区においても、概ね予測どおりの高さの津波を観測した。
 本事例では複数の手法のCMT解析結果(*)によるMwの評価に時間を要したため、津波注意報の切り替えまで時間を要し、 結果として切り替えから沿岸に津波が到達するまでに時間的な余裕が無かった。 これについては、各手法によるMwの特性などを踏まえて活用するタイミング等を明確化し、 迅速な津波警報等の切り替えができるように改善を行った。

(*)広帯域地震計の波形を使ったW-phase解析及びCMT解析、広帯域強震計の波形を使ったCMT解析

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本ページ内の図の作成にはGMT(Generic Mapping Tool[Wessel,P., and W.H.F.Smith, New, improved version of Generic Mapping Tools released, EOS Trans. Amer. Geophys. U., vol.79 (47), pp.579, 1998]) を使用しています。