災害をもたらした気象事例

昭和46年夏の低温
昭和46年(1971年) 5月~10月
低温と多雨・日照不足
災害概要
農作物被害1,333億円
算出期間:7月~10月
被害地域:北海道を中心に全国
(農林水産省統計部資料)
概要
 4月末から9月前半にかけて北日本を中心に断続的に低温に見舞われた。4月下旬~5月上旬、北日本を中心に低温になった。5月9~10日には強いおそ霜がおり、東北地方を中心に果樹や水稲の苗、野菜などに被害が発生した。東海地方、北陸地方、関東甲信地方、東北地方南部は平年に比べ6日程度早く、梅雨入りした。6月13~14日、道北・道東地方を中心に大規模なおそ霜がおりた。7月中旬~下旬中頃は、20日頃をピークに日本付近にオホーツク海高気圧が張り出し、低温が持続した。特に7月11~24日には北海道付近に低気圧が停滞することが多く、北日本では冷涼な曇雨天が続いた。7月下旬後半、この低温が解消するとともに九州地方~東北地方の各地で平年より大きく遅れて梅雨が明けた。8月中・下旬には中旬後半をピークに日本付近に寒気が南下した。9月前半もオホーツク海高気圧や北偏高気圧の影響で北日本を中心に低温が続いた。また、8月末に始まった秋雨が10月半ばまで長期間続いた。
 また、6月中頃から10月中頃まで連日のようにどこかで集中豪雨が発生した。主なものは①6月後半~7月初めに起こった九州地方南部、山陰地方、新潟・福島両県の豪雨、②7月中旬~下旬の西日本と北陸地方の豪雨、③8月の台風第19号、第23号に伴う豪雨、④9月の台風第25号による千葉県下の豪雨、⑤9月10~11日の高知県東部、紀伊半島尾鷲付近の豪雨である。
 水稲の作柄は作況指数の全国平均が93の「不良」となった。北海道で「著しく不良」(道北地方東部はほとんど収穫皆無)、東北地方、中国・九州地方で「不良」であった。大豆、小豆の作柄はともに不良で、特に小豆の作柄が著しく不良であった。麦は5月下旬以降の長雨により、特に徳島県、香川県で被害が大きかった。主な被害農作物は、水陸稲、飼料作物、雑穀豆、野菜である。
 一方、南西諸島では3月から9月初めまで少雨が続き、大干ばつになった。特に宮古島、石垣島方面でひどく、6月に入ってからは草も枯れ、水もなく、牧牛の餓死が始まった。また、さとうきびは大部分が立ち枯れた。各島では飲料水が無くなり、本土から運んだ。農作物もほとんど枯れ、離島騒ぎにまで発展した島もあった。沖縄地方と奄美地方では平年より12日遅く梅雨入りしたものの、沖縄地方では平年より13日、奄美地方では18日早く梅雨が明けた。
経過図(札幌) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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