災害をもたらした気象事例

平成6年夏の高温・少雨
平成6年(1994年) 4月~11月
全国的な春から続いた高温・少雨傾向
災害概要
農作物被害1,409億円
算出期間:5月上旬以降
被害地域:全国
(農林水産省統計部資料)
概要
 北海道~九州地方では春以来の少雨により渇水が深刻化し、給水制限や断水を行った都道府県は40に及んだ。特に北九州では翌年の1995年5月末まで時間給水が続いた。また、大規模な山火事が7件発生した。農作物被害は、関東地方、中国地方、四国地方および九州地方を中心として、果樹、野菜、水稲、陸稲(「著しい不良」)、飼肥料作物、工芸農作物、雑穀、豆類等に発生した。畜産業も家畜が暑さのために死んだり衰弱するなどの被害が46道府県に及んだ。水稲の作柄は作況指数の全国平均が109の「良」であった。
 4月には近畿地方~北海道で、5月には九州地方~東北地方で少雨傾向であった。6月、梅雨前線は1~4日には20°N~30°N帯に位置し、5~24日には30°N帯を東西に伸びることが多かった。梅雨前線は6月下旬後半には本州付近に停滞したものの、月を通して梅雨前線の活動は不活発で6月は九州地方~北海道の大部分で少雨傾向になった。梅雨前線は7月初めには東北地方まで北上し、前線の南側では猛暑が続いた。7月1~2日頃には九州地方、四国地方で梅雨が明けた。前線はその後6~9日に本州中部まで南下したものの、11日には再び東北地方まで北上し、その後弱まり消滅した。9~13日頃に中国地方、近畿地方~東北地方で梅雨が明けた。九州地方~東北地方各地の梅雨明けは平年より1~2週間早かった。梅雨明け後は7月12~27日、8月1~17日を中心に全国的に猛暑が続いた。7月、8月は全国的に高温・少雨になった。残暑は9月上旬まで続いた。9月には秋雨前線、台風、上空の寒気などの影響により北海道~東海地方・山陰地方東部の大部分の地域では降水量が平年を上回ったが、西日本では秋雨前線の影響を殆ど受けず、特に九州地方では台風第26号による降水もわずかであった。全国的な高温傾向と西日本を中心とする少雨は10月、11月と続いた。
経過図(福岡) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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