災害をもたらした気象事例

昭和53年夏の高温・少雨
昭和53年(1978年) 1月~10月
全国的な冬から続いた少雨傾向と夏の高温
災害概要
農作物被害1,382億円
算出期間:7月
被害地域:全国(主に関東地方)
(農林水産省統計部資料)
概要
 冬から秋にかけてほぼ全国的に少雨の状態が続き、梅雨期の降水も少なく、農作物の一部に干害が発生した。被害の大きかったのは野菜で水陸稲が続き、さらに果樹、飼肥料作物にも及んだ。水稲は一部で干ばつによる被害があったものの作況指数の全国平均は108、作柄は「良」であった。一方、陸稲は梅雨明け後、干害が発生し、作況指数は66、作柄は「不良」であった。果樹については、6月から7月にかけて青森県を中心に断続的な高温・日照不足・多雨などの不順な天候が続き、りんごの幼果の落果現象が相次いだ。
 1月から西日本を中心に少雨傾向が続いた。西日本は1月~4月には寒気の影響が少なく、5月には移動性高気圧に覆われることが多かった。九州地方北部は昨年来の慢性的な少雨に加え、4月から5月にかけて異常な少雨に見舞われた。特に福岡市では水源が枯渇し、きびしい水道の使用制限が6箇月以上続いた。このため、高台や周辺団地では水道の水が一滴も出ない異常な事態が出現した。6月~8月は太平洋高気圧の勢力が強かった。梅雨期間は高温が続き、降水量も新潟、青森を除いて非常に少なかった。九州地方~東北地方の各地は平年よりも10~19日早く梅雨が明けた。梅雨明け後も南西諸島を除いて、高温・少雨が続いた。秋雨前線の活動は全般に不活発で、西日本中心に少雨は秋まで続いた。
 台風による降水も少なかった。日本に上陸した台風は6月に第3号、8月に第8号・第13号、9月に第18号の4個で、いずれも日本接近時には勢力が弱まっていて被害も少なかった。
経過図(千葉) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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