地表面の識別

図1は、可視画像観測波長帯での地表の状態に対応する反射率(都市部コンクリート:赤線、砂地:茶線、広葉樹林:緑線、牧草地:黄緑線、積雪:水色線)です。

図1の応答関数のうち、もっとも左側がバンド1のものです。地表面の反射特性に注目すると、積雪に対する反射が特に大きいことがわかります。 バンド2(図中央の応答関数)については、中心波長 0.51μm 付近では植生からの反射が非常に小さいことがわかります。この波長領域付近では植生からの反射のピークは0.55μm 付近にありますが、観測バンドの応答関数の幅は狭くほぼ外れています。このため、バンド2画像(図2)を単独で示すと、オーストラリア大陸内陸のやや明るい領域(砂漠等に対応)などを除き、植生のある領域を含めて、陸地に対応する領域の反射が概ね少なく暗く見えます。 0.64μm 付近の反射特性をみると、可視波長帯の中では砂地に対する反射が比較的大きいことがわかります。

以上の特性を理解しやすい例として可視3バンドを合成した True color RGB 合成画像を図3に示します。 この画像からは、オーストラリア大陸中央部の砂漠等では、青色のバンド1と緑色のバンド2の反射の寄与が赤色のバンド3に比べ相対的に少ないため、赤茶色で表示されます。また、熱帯雨林等の植生がある領域でも緑色の色調が見られないのは、前述のように植生からの反射はバンド2において少ないためです。

図1 可視画像の観測波長帯における様々な地表の状態に対応する反射率(都市部コンクリート:赤線、砂地:茶線、広葉樹林:緑線、牧草地:黄緑線、積雪:水色線)(CRTM(Delest P and Han Y, 2008)で使用している地表面の反射率, データ元は NPOESS)。
図2 オーストラリア大陸付近のバンド 2 画像の例
図3 オーストラリア大陸付近における「True color(トゥルーカラー)」合成画像の例。