バンド11差分画像

バンド11は雲粒子の相(水・氷)について特徴的な性質を持っており、バンド11による差分画像でこの差を確認することができます。

図1に雲頂が水滴または氷晶の雲域における輝度温度の差分(バンド13-バンド15:10.4-12.4μm、バンド11-バンド13:8.6-10.4μm)の比較散布図を示します。青色のプロットは雲粒の相が水滴、赤色が氷晶を表します。このように雲粒の相によって温度分布が異なるために相判別できることが示唆されます。

図2に実際の衛星画像で雲域の輝度温度を確認した例を示します。同じ赤外窓領域のバンド14(11.2μm)との比較で見ると、氷粒子を含む雲域(図中×印)では相対的にバンド11の射出率が高い(観測される輝度温度が高い)です。一方、バンド11では下層の水蒸気の吸収の影響をより受けるため、下層雲(水雲)(図中星印)や海面(図中十字印)で観測される輝度温度が低くなります。

図1 雲頂が水滴(青色)または氷晶(赤色)の雲域における輝度温度の差分の比較散布図(縦軸バンド13-バンド15:10.4-12.4μm、横軸バンド11-バンド13:8.6-10.4μm)。
図2 左:バンド11の輝度温度比較の例。図中×印は上層雲、星印は下層雲、十字印は海面の輝度温度に対応。 右:バンド14の輝度温度比較の例。図中×印は上層雲、星印は下層雲、十字印は海面の輝度温度に対応。