衛星保守及び太陽・月などの観測画像への影響

衛星保守に伴う観測精度低下

軌道制御、アンローディング等の衛星保守時の領域観測は、衛星姿勢の変動に伴い観測精度が低下(観測位置にずれが発生)する場合があります。 軌道制御等の直後のフルディスク・領域観測についても、観測精度が低下する可能性があります。 観測精度の低下した観測例を図1に示します。右の画像は、アンローディング中の観測であるため、海岸線と地図にずれが生じています。

なお、ひまわり標準データでは、ヘッダ部の #1 基本情報ブロック 品質フラグに、軌道制御及びアンローディングの情報が格納されています。 最新の観測運用計画は、「観測運用計画」をご覧ください。

アンローディング直前の観測
アンローディング直前の観測
(2015年8月5日02時37分30秒観測開始)
アンローディング中の観測
アンローディング中の観測
(2015年8月5日02時40分00秒観測開始)

春分期・秋分期の太陽自動回避による画像欠損

春分期・秋分期の真夜中前後には、太陽自動回避機能により観測の一部をスキップし、該当箇所を欠損データとして配信することがあります。 太陽自動回避の観測例を図2に示します。太陽自動回避により、画像に欠損が生じています。

ひまわり標準データでは、ヘッダ部の「#1 基本情報ブロック 品質フラグ」に、太陽の影響による品質低下(太陽回避、迷光など)の可能性の情報が格納されています。 太陽自動回避の予定時刻及び範囲は、「太陽自動回避の予測情報」をご覧ください。

太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
2015年4月1日15時20分観測開始のバンド13
太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
2016年10月12日14時10分観測開始のバンド13
太陽自動回避の観測例(機動観測)
太陽自動回避の観測例(機動観測)
2015年4月11日14時30分観測開始のバンド13
太陽自動回避の観測例(機動観測)
太陽自動回避の観測例(機動観測)
2015年4月14日14時40分観測開始のバンド13
太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
太陽自動回避の観測例(フルディスク観測)
2018年10月13日14時10分観測開始のバンド13

春分期・秋分期の太陽迷光の画像への影響

春分期・秋分期の真夜中前後に、太陽迷光が発生することがあります。太陽迷光については、春分期・秋分期の観測について(太陽自動回避及び太陽迷光)をご覧ください。 太陽迷光の観測例を図3に示します。夜間の可視カラー合成画像に太陽迷光による光が映り込んでいます。また、太陽自動回避により画像に欠損が生じています。一方、赤外バンドであるバンド7では、太陽光が映り込むことで、画像に黒い(輝度温度の高い)領域が発生しています。

ひまわり標準データでは、ヘッダ部の #1 基本情報ブロック 品質フラグに、太陽の影響による品質低下(太陽回避、迷光など)の可能性の情報が格納されています。

太陽迷光の観測例(フルディスク観測)
太陽迷光の観測例(フルディスク観測)
2015年4月13日14時30分観測開始のフルディスク観測のカラー合成画像
太陽迷光の観測例(フルディスク観測)
太陽迷光の観測例(フルディスク観測)
2015年2月10日14時50分観測開始のフルディスク観測のバンド7
太陽迷光の観測例(日本域観測)
太陽迷光の観測例(日本域観測)
2015年4月13日14時30分観測開始の日本域観測のカラー合成画像
太陽迷光の観測例(日本域観測)
太陽迷光の観測例(日本域観測)
2015年2月10日14時50分観測開始の日本域観測のバンド7

月の影響による画像品質低下

地球、ひまわり、月の位置関係により、可視赤外放射計に月の光が入り込むことがあります。 この場合、月の光により校正処理に影響が出るため、画像の品質が低下することがあります。 図4に月の影響による画像品質低下の観測例を示します。画像中央に横縞が見えます。

ひまわり標準データでは、ヘッダ部の「#1 基本情報ブロック 品質フラグ」に、月の影響による品質低下の可能性の情報が格納されています。

月の影響による画像品質低下の観測例
月の影響による画像品質低下の観測例
2015年6月22日 19時00分(UTC)観測開始のバンド11

ストライプ(縞模様)

可視赤外放射計の検出素子ごとの感度のバラつきの影響により、画像に縞模様がでることがあります。 図5に縞模様の観測例を示します。画像中央に横縞が見えます。

画像の縞模様の観測例の観測例
画像の縞模様の観測例の観測例
2015年6月23日 04時00分(UTC)観測開始のバンド2

周期的なノイズと除去処理

ひまわり8号及び9号では、地上システムの画像処理により周期的なノイズを除去する処理を適用しており、 ひまわり8号ではバンド1、2、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15に、ひまわり9号ではバンド1から8及び10から16を対象としています。 ノイズは、図のように画面上の放射輝度が低い領域で縦縞として現れ、強弱はバンドにより異なります。 なお、除去処理は地球、ひまわり、月の位置関係等の影響により実行できない場合もあります。

ノイズ除去処理が実行されなかった事例
ノイズ除去処理が実行されなかった事例
2022年12月29日 19時30分(UTC)観測開始のバンド7