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愛媛県内にはこれまで「石鎚山」、「宇和島」、「波止浜」など有人の測候所や気象通報所、気象観測所等がありましたが、高度化した新しい観測・予報・通信技術などの採用によって、その役目を終え廃止・無人化されました。
■石鎚山測候所
石鎚山測候所は、1943年(昭和18年)10月1日より中央気象台石鎚山測候所として業務を開始し、1949年(昭和24年)3月31日に閉鎖しました。
運用期間が5年にも満たない気象観測施設でしたが、標高2000m近くある西日本最高峰の山頂における気象観測所であり、年間を通じた厳しい気象環境の中、当時としては貴重な四国地方の高層(山岳気象)観測データの収集を行っていました。
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■宇和島測候所(現宇和島特別地域気象観測所)
宇和島測候所は、1922年(大正11年)に愛媛県によって「愛媛県立松山測候所宇和島支所」として設置され気象業務を開始しました。
その後、松山地方気象台と同様に国に移管され気象観測を継続していましたが、2005年(平成17年)10月1日に測候所無人化により「特別地域気象観測所」へ移行し、現在は自動による「地上気象観測」を継続しています。
なお、宇和島は桜(ソメイヨシノ)が日本一早く咲いたことが何度かあり、桜の開花が早いことで有名となっています。
このようなことから、桜の開花についての生物季節観測を行っていた宇和島測候所は、桜開花の情報発信地としてよく知られていました。
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宇和島測候所の沿革
1922年(大正11年)4月1日 |
愛媛県立松山測候所宇和島支所として設置 (所在地:宇和島市住吉町) |
1938年(昭和13年)9月30日 |
愛媛県立松山測候所の国営移管にともない、愛媛県立宇和島測候所に改称 |
1939年(昭和14年)11月1日 |
国に移管され、宇和島測候所となる |
1993年(平成5年)2月1日 |
現在地(宇和島市住吉町)の宇和島港湾合同庁舎に移転。 |
2005年(平成17年)10月1日 |
無人化により、宇和島特別地域気象観測所に移行。 |
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■波止浜気象通報所(前身は波止浜観測所)
通報所の前身である波止浜観測所は、航空気象観測網の充実のため、1939年(昭和14年)1月11日より中央気象台波止浜観測所として観測を開始しましたが、1949年(昭和24年)11月1日に廃止されました。
しかし、1954年(昭和29年)11月1日に新たに気象通報所として設置され、1978年(昭和53年)4月31日に閉鎖しました。
波止浜港付近にあった通報所では、瀬戸内海の穏やかな気候のなか、時には霧に覆われた気象状況のなかで、気象観測を行っていました。
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■大洲気象通報所
大洲気象通報所は、1955年(昭和30年)5月1日より気象通報所として業務を開始し、1971年(昭和46年)3月31日に閉鎖しました。
通報所は眼下に肱川の豊かな流れと町並みを見下ろす小高い山の上にあり、約16年間、気象観測業務を行うとともに大野ヶ原無線ロボット雨量観測所(現西予市。廃止済み)のデータ管理や保守も行っていました。
■その他の気象観測所
上記のほか、私立測候所として住友別子鉱業所(当時の名称)による「住友新居浜測候所」及び「別子(べっし)・四阪島(しさかじま)・東平(とうなる)の各観測所」や旧日本海軍による「佐田岬観測所」などの気象観測所の存在が確認されています。
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