世界の過去および将来の海面水位変化

IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書(2021)によると、過去及び将来の海面水位変化について下記のとおり結論しています。
なお、角括弧の範囲は「可能性が非常に高い範囲(90~100%)」を示します。

  • 1901年から2018年の期間に、世界平均海面水位は0.20 [0.15~0.25] m上昇した。
  • 気候システムの蓄熱は、陸域の氷の減少と海洋温暖化による熱膨張により、世界平均海面水位の上昇をもたらした。
  • 世界平均海面水位は2081~2100年には、1995~2014年の平均海面水位に対して、SSP1-2.6シナリオの場合0.32~0.62mになると予測される。SSP5-8.5シナリオの場合0.63~1.01mになると予測される。
  • 海面水位の上昇は全てのSSPシナリオにおいて、2100年以降も継続すると予測される。
過去の海面水位変化

過去および将来の世界平均の海面水位変化

1900年を基準とした過去および将来の世界平均海面水位の変化。
過去の世界平均海面水位は黒線で示しており、将来の世界平均海面水位はSSP1-2.6シナリオを青色で、SSP5-8.5シナリオを茶色で示しており、可能性が非常に高い範囲は陰影部分で示されています。


※) SSPは、「Shared Socio-economic Pathway(共有社会経済経路)」の略です。気候変動の予測を行うためには、 放射強制力(地球温暖化を引き起こす効果)をもたらす大気中の温室効果ガス濃度や エーロゾルの量がどのように変化するか仮定(シナリオ)を用意する必要があります。 SSP1-2.6は、CMIP6のシミュレーションにおいて3分の2の確率で地球温暖化を2100年までに2℃より低く抑える、温室効果ガスの排出量が少なく緩和が大きい将来を示します。それに対しSSP5-8.5は、温室効果ガスの高排出シナリオで、気候変動に対処する政策を実施せず、その結果大気中の温室効果ガスの濃度が継続的及び持続的に増加するシナリオです。


【更新のお知らせ】IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書(2021)の内容に修正しました。(2022年2月15日)

参考文献

  • IPCC, 2021: Summary for Policymakers. In: Climate Change 2021: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Sixth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Masson-Delmotte, V., P. Zhai, A. Pirani, S. L. Connors, C. Pean, S. Berger, N. Caud, Y. Chen, L. Goldfarb, M. I. Gomis, M. Huang, K. Leitzell, E. Lonnoy, J.B.R. Matthews, T. K. Maycock, T. Waterfield, O. Yelekci, R. Yu and B. Zhou (eds.)]. Cambridge University Press. In Press.

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