海洋汚染の観測

浮遊汚染物質

海

浮遊汚染物質の観測は、航海中毎日、日の出から日の入りまでの間、海洋気象観測船の船橋から目視によって行います。浮遊汚染物質を発見するたびに日時、位置、種類、形状、大きさ、個数などを記録し、発見されない場合は「なし」という記録を残します。

気象庁では、浮遊汚染物質のうちプラスチック類に特に着目しており、発泡スチロール、漁具類(流失したり廃棄されたりしたボンデン(魚網等に取り付ける浮き)等)、薄膜状プラスチック(ポリ袋など、フィルム状のもの)、その他に分類して、それぞれの発見個数を航走100kmあたりの数に換算してデータを整理しています。


さらに詳しく知りたいかたは、総合診断表 3.1 浮遊プラスチック類 をご覧ください。

浮遊汚染物質の情報・データ


浮遊タールボール

採取されたタールボール
タールボールネット観測中の様子

タールボールは、船舶から排出されたビルジ(船底にたまった海水・水あか)や、海難事故などにより流出した重油が風化作用で揮発成分を失って、ボール状に固まったものです。大きさは、多くの場合直径1mmから数mm程度ですが、まれに数十cmに達することもあります。

浮遊タールボールは、海洋気象観測船からロープで繰り出した水平曳きネット(開口部の幅:75cmまたは50cm、網目:0.35mm)を1.5海里曳航(えいこう)して採取します。採取された重量をネット開口部が通過した面積で割って、タールボール密度(単位:mg/m2)とし、観測を実施した位置、日時等とともに報告します。タールボールが採取されない場合は「なし」という記録を残します。

この観測は、海面状態が静穏で、ネットを安全に曳航できる場合に、原則として1日1回実施します。


さらに詳しく知りたいかたは、総合診断表 3.2 浮遊タールボール・油分 をご覧ください。

浮遊タールボールの情報・データ


油分

油分採水用の瓶

油分とは、海水中に溶け込んだり分散した状態で存在している石油系炭化水素をいいます。その主な発生源は、家庭からの生活排水や工場などの排水で、年平均で300万トンを超える量の油が海洋に流れ込んでいるといわれています。

油分の測定に用いる表面海水は、船体からの汚染を避けるため、微速前進時に船首付近からロープの付いたネットに入れた採水ビンを投入して採取します。油分の測定は溶媒抽出-蛍光光度法によりますが、石油系炭化水素は様々な化合物が混合したものなので、蛍光の測定値をそのまま油分と結びつけることはできません。このため、油分の測定値はクリセンを標準物質とした当量(単位:ng/kg)に置き換えて示すことになっています。


さらに詳しく知りたいかたは、総合診断表 3.2 浮遊タールボール・油分 をご覧ください。

油分の情報・データ


重金属(水銀・カドミウム)

水銀用(左)とカドミウム用(右)の採水瓶重金属とは、金属の中でも比重がある程度大きい(4~5が目安)ものをいい、その多くが生物にとって必須の元素です。たとえば、鉄は血液のヘモグロビンの主要構成成分で、亜鉛も様々な酵素を作るために欠かせません。しかし、必須とされる元素も環境における濃度が高くなると有害になることがありますし、水銀やカドミウムのように生物にとって有害なものもあります。気象庁は、生体内に蓄積されやすく、しかも有害とされる、この二種類の重金属を観測項目としています。

重金属の測定に用いる表面海水は、外部環境から汚染されないよう注意を払う必要があるので、観測点に到着したらすぐに風上の舷側から採水します。また、水深が深いところの採水は内部に金属が使用されていない採水器を使用して行います。水銀、カドミウムは海水中の濃度が極めて低いうえ、海水に含まれる他の化学物質が分析を妨害するので、直接測定することは不可能です。このため、分析の最初に分離・濃縮操作を施してから原子吸光法によって測定しています。しかし、採水から分離・濃縮に至るまでのあらゆる段階で混入を受ける可能性があり、以前はこれを防ぐことができなかったために正しい濃度を測定することができませんでした。専門の研究者の間でさえ、海洋の重金属についての確からしい分析値を得るようになったのは、1970年代後半以降とされています。

なお、海水中のカドミウム濃度はリン酸塩濃度と高い相関を示すことが知られており、その鉛直分布型も類似しています。このため、リン酸塩などの栄養塩に富む親潮域の表面海水では、栄養塩に乏しい黒潮域に比べて高濃度のカドミウムが検出されます(北海道南方と本州南方のカドミウム濃度を比較してください)。


さらに詳しく知りたいかたは、総合診断表 3.3 重金属 をご覧ください。

重金属の情報・データ

海洋の健康診断表 海洋の総合情報 ~海洋の健康診断表~
気象庁の海洋情報のサイトです。様々な情報を掲載しています。

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