全球の海面水温の変動(2019年4月)

令和元年5月15日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断

4月の全球の海面水温の状況は、以下の通りです。

太平洋赤道域の海面水温は、インドネシア付近を除いて、ほぼ全域で正偏差でした。NINO.3海域の月平均海面水温偏差及び基準値との差はいずれも+0.7℃でした。
北太平洋では、南シナ海から中央部にかけて、アリューシャン近海からアラスカ湾にかけてと熱帯域の東部で顕著な正偏差が見られました。
南太平洋では、ニューギニアの東から20°S, 120°W付近にかけて、オーストラリア南東岸付近から50°S, 140°W付近にかけてとチリ西方沖で顕著な正偏差、30°S, 135°W付近とチリ西岸付近で顕著な負偏差が見られました。
インド洋では、ほぼ全域で顕著な正偏差となり、オーストラリア南西岸では顕著な負偏差が見られました。
北大西洋では、メキシコ湾から30°N, 30°W付近にかけて顕著な正偏差、グリーンランドの南で顕著な負偏差が見られました。

全球海面水温平年偏差の分布

2019年4月の全球海面水温平年偏差の分布（平年
値は1981年〜2010年）。等値線の間隔は0.5℃。

解説

　2014年半ばから続いていた正のPDO（太平洋十年規模振動）時に見られる海面水温偏差パターン（北太平洋中央部付近で負偏差、北米沖などで正偏差）が、2017年夏頃から不明瞭になっています。
　全球平均海面水温は、長期的な昇温傾向が持続しています（海面水温の長期変化傾向（全球平均））。

全球の海面水温の診断にあたっては、海面水温平年偏差を標準偏差で規格化して（規格化海面水温偏差）、＋1を上回る正偏差（高温）、−1を下回る負偏差（低温）を顕著な現象として主に記述しています。ただし、ある程度の大きさ(数1000km以上)を持つ空間パターンを対象にしています。