降水・降下じん化学成分の品質管理

酸性雨国際比較調査

降水・降下じんの観測では高い分析技術が求められることから、世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)計画に参加している各機関の分析技術の維持・向上及び分析データの品質管理を目的として、降水の分析技術に関する国際比較が行われています。この国際比較の実施及び取りまとめは、WMO/GAW品質保証科学センターであるアメリカ地区品質保証科学センター( http://qasac-americas.org/ )が担当しています。

国際比較は1978年から毎年1回実施されてきましたが、1999年12月のWMO/GAWの会議において、GAWの枠組では重金属の国際比較を実施しないこととする一方、降水のpH、各種イオンなどについては従来どおりGAWの品質保証科学センターが担当し、2001年以降は国際比較を年2回実施することとされました。この変更に併せてGAW計画に参加している各機関の国際比較への参加が求められ、これに参加しない機関の降水・降下じんの観測データについてはGAWデータとして認めないことになりました。気象庁は、GAWの品質保証科学センターが担当する降水のpH、各種イオンなどの国際比較に1983年(第6回)から参加しています。

重金属の国際比較については、2000年1月よりヨーロッパ以外の国も含めて、ヨーロッパ監視・評価計画(Co-operative Programme for Monitoring and Evaluation of the Long-range Transmission of Air pollutants in Europe: EMEP)の枠組で実施することになりました。EMEPは、国連ヨーロッパ経済委員会(UNECE)が推進している重金属や酸性雨などによる大気汚染や広域輸送の監視・評価を行っており、この国際比較の実施及び取りまとめをノルウェー大気研究所に設置されたEMEP化学調整センター( http://www.nilu.no/projects/ccc/index.html )が担当しています。気象庁は、EMEPによる重金属の国際比較に第2回(2002年)から参加しています。

降水の国際比較の手順は次のとおりです。

  • アメリカ地区品質保証科学センターが、各成分を降水に近い濃度に調製した3種類の水溶液試料を参加各機関に濃度を伏せたまま配布します。
  • 参加する各機関はそれらの試料を分析して結果を報告します。
  • 重金属の国際比較も同様に、ノルウェー大気研究所が、重金属を降水に近い濃度に調製した4種類の水溶液試料を参加各機関に濃度を伏せたまま配布し、各機関はそれらの試料を分析して結果を報告します。
  • 各機関が報告した分析値はそれぞれの国際比較担当機関で集計・評価が行われ、その結果が分析機関の実名入りで公表されます。
  • 許容値から外れた分析値にはフラグが付けられ、この結果が各機関の分析能力の評価になります。

気象庁では毎回許容値の範囲内の結果を出しています。

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