平成26年4月2日のチリ北部沿岸の地震で発表した津波注意報について

地震の概要

平成26年(2014年)4月2日08時46分、チリ北部沿岸の深さ25kmでMw8.1の地震が発生した。発震機構(気象庁CMT解)は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。 (地震の詳細は、平成26年4月地震・火山月報(防災編)を参照)

震源要素
震源時刻(日本時間) 震央地名 緯度 経度 深さ Mw
2014年4月2日 08時46分 チリ北部沿岸 南緯19度36.5分 西経70度46.1分 25km 8.1
震源要素は米国地質調査所(USGS)の Preliminary Determination of Epicenters (PDE) による。 ただしMw は気象庁のCMT解による。


今回の地震の震央分布図
1963年1月1日~2014年4月30日の期間に発生した、M≧5.0、深さ0~200kmの地震を表示している。深さ50km未満の地震を薄い○、深さ50km以上の地震を濃い○で表示している。2014年3月17日、4月2日及び4月3日の地震の発震機構とMwは気象庁による。また、1995年7月30日、2001年6月24日の地震の発震機構とMwはGlobal CMTによる。その他の震源要素は米国地質調査所[USGS]による。

発表した津波注意報の概要

この地震に対して発表した津波注意報は、以下のとおりである。

発表時刻 概要 発表予報区
4月3日 03時00分 津波注意報発表

北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、北海道太平洋沿岸西部、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、伊豆諸島、小笠原諸島
津波注意報発表予報区(地図、png形式)
18時00分 津波注意報解除 上記全ての予報区

津波の観測

各予報区において予測した津波の高さと観測した津波の高さ
津波予報区 予測(津波の高さ) 予報区内で観測した津波の高さの最大
北海道太平洋沿岸東部 津波注意報(1m) 18cm
北海道太平洋沿岸中部 津波注意報(1m) 23cm
北海道太平洋沿岸西部 津波注意報(1m) 16cm
青森県太平洋沿岸 津波注意報(1m) 18cm
岩手県 津波注意報(1m) 55cm
宮城県 津波注意報(1m) 24cm
福島県 津波注意報(1m) 19cm
茨城県 津波注意報(1m) 0.3m※1
千葉県九十九里・外房 津波注意報(1m) 7cm
千葉県内房 津波予報(若干の海面変動) 15cm
伊豆諸島 津波注意報(1m) 0.2m※1
小笠原諸島 津波注意報(1m) 18cm
静岡県 津波予報(若干の海面変動) 14cm
愛知県外海 津波予報(若干の海面変動) 14cm
伊勢・三河湾 津波予報(若干の海面変動) 6cm
三重県南部 津波予報(若干の海面変動) 15cm
和歌山県 津波予報(若干の海面変動) 19cm
徳島県 津波予報(若干の海面変動) 14cm
高知県 津波予報(若干の海面変動) 25cm
宮崎県 津波予報(若干の海面変動) 18cm
鹿児島県東部 津波予報(若干の海面変動) 12cm
種子島・屋久島地方 津波予報(若干の海面変動) 18cm
奄美群島・トカラ列島 津波予報(若干の海面変動) 15cm
沖縄本島地方 津波予報(若干の海面変動) 8cm
黄は「津波注意報」のグレードを示す。
表中の観測値は後日変更される場合がある。
※1 観測単位が0.1mの巨大津波観測計で観測。

詳細は、下記資料をご覧下さい。

各津波観測施設で観測した津波の最大の高さ(津波を観測した地点のみ表示)
津波観測点で観測した津波の最大の高さ

津波観測施設の津波波形
津波観測点で観測した津波

港)は国土交通省港湾局の観測点。
巨大津波観測計の観測単位は0.1mである。
4月4日の波形については悪天候による影響が大きく、津波による影響と区別がつかない。
 

津波予測の評価

 地震が発生した場所は日本から遠く離れており、日本に津波が到達するまでに時間的に余裕があったことから、 CMT解析結果によるモーメントマグニチュードをもとに津波の数値シミュレーション計算を行った。 津波の伝播経路上にある海外検潮所(ヒバオア、ヒロ、カワイヒエ、カフルイ)で実際に観測した津波の高さと予測した津波の高さを比較 (各地のシミュレーション計算波形と観測波形)したところ、 予測した津波の高さは検潮所で観測した津波の高さよりも高い値であった。 そこで、日本への津波の高さの予測(シミュレーション計算によって予測した津波の高さ分布)を、 検潮所で観測した津波の高さと整合がとれるように0.8倍し、その結果を用いて津波注意報を発表した (伊豆諸島及び小笠原諸島には若干の海面変動が予測されていたが、 過去の地震でも津波を観測していることから、津波注意報を発表することとした)。
日本の沿岸で観測した津波の高さは、北海道から関東にかけての地域でやや高い傾向が見られるなど、発表した津波注意報の内容と概ね整合し、妥当な予測であった。

各地のシミュレーション計算波形と津波波形図
各地のシミュレーション計算波形と観測波形

検潮所と震央の位置の図
各地の検潮所と震央の位置

シミュレーションした結果によって予測した太平洋沿岸での津波の高さ分布図
シミュレーション計算によって予測した津波の高さ分布
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本ページ内の図の作成にはGMT(Generic Mapping Tool[Wessel,P., and W.H.F.Smith, New, improved version of Generic Mapping Tools released, EOS Trans. Amer. Geophys. U., vol.79 (47), pp.579, 1998]) を使用しています。