平成25年2月6日(10時12分)のサンタクルーズ諸島の地震で発表した津波注意報について
地震の概要
平成25年(2013年)2月6日10時12分、サンタクルーズ諸島の深さ29kmでMw7.9の地震が発生した。発震機構(気象庁CMT解)は北東‐南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。(地震の詳細は、平成25年2月地震・火山月報(防災編)を参照)
震源時刻(日本時間) | 震央地名 | 緯度 | 経度 | 深さ | Mw |
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2013年2月6日 10時12分 | サンタクルーズ諸島 | 南緯10度44.3分 | 東経165度08.3分 | 29km | 7.9 |
今回の地震の震央分布図
2001年1月1日~2013年2月28日の期間に発生した、M≧5.0、深さ0~100kmの地震を表示している。2013年1月1日以降の地震を濃く表示している。発震機構は気象庁によるCMT解。その他の震源要素は米国地質調査所[USGS]による。
発表した津波注意報の概要
この地震に対して発表した津波注意報は、以下のとおりである。
発表時刻 | 概要 | 発表予報区 | |
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津波注意報発表 |
北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ列島、沖縄本島地方、宮古島・八重山地方 →津波注意報発表予報区(地図、png形式) | ||
津波注意報解除 | 全ての予報区 |
津波の観測
津波予報区 | 予測(津波の高さ) | 予報区内で観測した津波の高さの最大 |
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北海道太平洋沿岸東部 | 津波注意報(0.5m) | 13cm |
北海道太平洋沿岸中部 | 津波注意報(0.5m) | 20cm |
北海道太平洋沿岸西部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
青森県日本海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
青森県太平洋沿岸 | 津波注意報(0.5m) | 10cm |
岩手県 | 津波注意報(0.5m) | 35cm |
宮城県 | 津波注意報(0.5m) | 24cm |
福島県 | 津波注意報(0.5m) | 20cm |
茨城県 | 津波注意報(0.5m) | 15cm |
千葉県九十九里・外房 | 津波注意報(0.5m) | 10cm |
千葉県内房 | 津波注意報(0.5m) | 16cm |
伊豆諸島 | 津波注意報(0.5m) | 0.4m※1 |
小笠原諸島 | 津波注意報(0.5m) | 19cm |
相模湾・三浦半島 | 若干の海面変動 | 15cm |
静岡県 | 津波注意報(0.5m) | 19cm |
愛知県外海 | 津波注意報(0.5m) | 15cm |
伊勢・三河湾 | 若干の海面変動 | 観測されず |
三重県南部 | 津波注意報(0.5m) | 14cm |
大阪府 | 若干の海面変動 | 観測されず |
兵庫県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
淡路島南部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
和歌山県 | 津波注意報(0.5m) | 20cm |
徳島県 | 津波注意報(0.5m) | 17cm |
愛媛県宇和海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
愛媛県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
高知県 | 津波注意報(0.5m) | 25cm |
長崎県西方 | 若干の海面変動 | 観測されず |
大分県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
大分県豊後水道沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
宮崎県 | 津波注意報(0.5m) | 19cm |
鹿児島県東部 | 津波注意報(0.5m) | 22cm |
種子島・屋久島地方 | 津波注意報(0.5m) | 15cm |
奄美群島・トカラ列島 | 津波注意報(0.5m) | 25cm |
鹿児島県西部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
沖縄本島地方 | 津波注意報(0.5m) | 9cm |
宮古島・八重山地方 | 津波注意報(0.5m) | 7cm |
大東島地方 | 予報なし | 3cm |
表中の観測値は後日変更される場合がある。
※1 巨大津波観測計で観測されたため、観測単位は0.1m単位
詳細は、下記資料をご覧下さい。
- 津波の観測値(気象庁所管の検潮所:詳細)
(① 「表示年」で「2013年」を選択、② 「全地点表示」を選択、③ 「津波(全地点表示のみ)」を選択、④ 「各項目を入力してクリック」をクリックして表示させてください。)
日本国内の検潮所で観測した津波の最大の高さ
日本国内の主な検潮所で観測した津波
港)は国土交通省港湾局、海)は海上保安庁、国)は国土地理院の観測点であることを示す。
津波予測の評価
日本から遠く離れた場所で発生した地震であったため、日本への津波の到達まで時間的に余裕があったことから、 CMT解析結果によるモーメントマグニチュードをもとに津波の数値シミュレーション計算を行った。 震源に近い海底津波計(D52406)で実際に観測した津波の高さと 予測した津波の高さを比較(D52406のシミュレーションと津波波形)したところ、 予測した津波の高さは当該津波計で実際に観測した津波の高さよりも低い値となった。 そこで、日本への津波の高さの予測(シミュレーションした結果の太平洋沿岸での津波の高さ分布)を、 津波計で観測された津波の高さと整合がとれるように1.8倍し、その結果を用いて津波注意報を発表した。 予測した津波の高さが津波計で観測された津波の高さよりも低い値になったのは、シミュレーション計算に用いたモーメントマグニチュード(Mw7.7)が、 最終的に求まったモーメントマグニチュード(Mw7.9)よりも小さかったためであると考えられる。結果として、 日本の沿岸で観測された津波の高さは予測した津波の高さと整合し、概ね妥当な予測であった。

D52406のシミュレーションと津波波形

D52406と震央の位置

シミュレーションした結果の太平洋沿岸での津波の高さ分布