平成24年8月31日(21時47分)のフィリピン諸島の地震で発表した津波注意報について
地震の概要
平成24年(2012年)8月31日21時47分、フィリピン諸島の深さ28kmでM7.6の地震が発生した。発震機構(気象庁CMT解)は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。(地震の詳細は、平成24年8月地震・火山月報(防災編)を参照)
震源時刻(日本時間) | 震央地名 | 緯度 | 経度 | 深さ | Mw |
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2012年8月31日 21時47分 | フィリピン諸島 | 北緯10度48.7分 | 東経126度38.3分 | 28km | 7.6 |
今回の地震の震央分布図
2001年1月1日~2012年9月4日の期間に発生した、M≧4.5、深さ0~100kmの地震を表示している。2012年8月1日以降の地震を濃く表示している。本震の発震機構は気象庁によるCMT解。その他の震源要素は米国地質調査所[USGS]による。
発表した津波注意報の概要
この地震に対して発表した津波注意報は、以下のとおりである。
発表時刻 | 概要 | 発表予報区 | |
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津波注意報発表 |
岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ列島、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島・八重山地方 →津波注意報発表予報区(地図、png形式) | ||
津波注意報解除 | 全ての予報区 |
津波の観測
津波予報区 | 予測(津波の高さ) | 予報区内で観測した津波の高さの最大 |
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北海道太平洋沿岸東部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
北海道太平洋沿岸中部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
北海道太平洋沿岸西部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
オホーツク海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
青森県日本海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
青森県太平洋沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
岩手県 | 津波注意報(0.5m) | 観測されず |
宮城県 | 津波注意報(0.5m) | 6cm |
福島県 | 津波注意報(0.5m) | 観測されず |
茨城県 | 津波注意報(0.5m) | 観測されず |
千葉県九十九里・外房 | 津波注意報(0.5m) | 観測されず |
千葉県内房 | 津波注意報(0.5m) | 12cm |
東京湾内湾 | 若干の海面変動 | 観測されず |
伊豆諸島 | 津波注意報(0.5m) | 0.5m※1 |
小笠原諸島 | 津波注意報(0.5m) | 12cm |
相模湾・三浦半島 | 津波注意報(0.5m) | 14cm |
静岡県 | 津波注意報(0.5m) | 12cm |
愛知県外海 | 津波注意報(0.5m) | 11cm |
伊勢・三河湾 | 若干の海面変動 | 観測されず |
三重県南部 | 津波注意報(0.5m) | 17cm |
大阪府 | 若干の海面変動 | 観測されず |
兵庫県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
淡路島南部 | 若干の海面変動 | 観測されず |
和歌山県 | 津波注意報(0.5m) | 19cm |
岡山県 | 若干の海面変動 | 観測されず |
広島県 | 若干の海面変動 | 観測されず |
徳島県 | 津波注意報(0.5m) | 13cm |
香川県 | 若干の海面変動 | 観測されず |
愛媛県宇和海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
愛媛県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
高知県 | 津波注意報(0.5m) | 19cm |
山口県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
福岡県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
長崎県西方 | 若干の海面変動 | 観測されず |
壱岐・対馬 | 若干の海面変動 | 観測されず |
熊本県天草灘沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
大分県瀬戸内海沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
大分県豊後水道沿岸 | 若干の海面変動 | 観測されず |
宮崎県 | 津波注意報(0.5m) | 9cm |
鹿児島県東部 | 津波注意報(0.5m) | 12cm |
種子島・屋久島地方 | 津波注意報(0.5m) | 11cm |
奄美群島・トカラ列島 | 津波注意報(0.5m) | 22cm |
鹿児島県西部 | 若干の海面変動 | 14cm |
沖縄本島地方 | 津波注意報(0.5m) | 6cm |
大東島地方 | 津波注意報(0.5m) | 観測されず |
宮古島・八重山地方 | 津波注意報(0.5m) | 5cm |
表中の観測値は後日変更される場合がある。
※1 巨大津波観測計で観測されたため、観測単位は0.1m単位
詳細は、下記資料をご覧下さい。
- 津波の観測値(気象庁所管の検潮所:詳細)
(① 「表示年」で「2012年」を選択、② 「全地点表示」を選択、③ 「津波(全地点表示のみ)」を選択、④ 「各項目を入力してクリック」をクリックして表示させてください。)
日本国内の検潮所で観測した津波の最大の高さ
日本国内の主な検潮所で観測した津波
海)は海上保安庁の観測点であることを示す。
津波予測の評価
津波注意報を発表した時に求めたマグニチュード(M7.9)が、最終的に求まったモーメントマグニチュード(Mw7.6)より大きかったため、 発表した津波注意報で予測した津波の高さは、実際に観測した津波の高さを若干上回った。モーメントマグニチュードをもとに、 遠地津波予測シミュレーション計算を行い、 震源に近い海底津波計(D52405)で実際に観測した津波の高さと予測した津波の高さを比較(D52405のシミュレーションと津波波形)した。その結果、 日本沿岸で津波注意報程度の津波を観測するおそれは無いと判断(シミュレーションした結果の太平洋沿岸での津波の高さ分布)し、 津波注意報を解除した。最終的にこの地震で観測した津波の高さは、 副振動が励起した結果であると思われる八丈島八重根の観測値を除き、全ての津波観測点で20cm程度以下に収まるものであり、津波注意報解除の時期は妥当であった。

D52405のシミュレーションと津波波形

D52405と震央の位置

シミュレーションした結果の太平洋沿岸での津波の高さ分布