平成21年1月4日のニューギニア付近(インドネシア)の地震で発表した津波注意報について
地震の概要
平成21年1月4日04時43分にニューギニア付近(インドネシア)でMw7.6(MwはGlobal CMT解のモーメントマグニチュード)の地震が発生した。また、同日07時33分(日本時間)にほぼ同じ場所でMw7.4(MwはGlobal CMT解のモーメントマグニチュード)の地震が発生した。地震のメカニズムは北東-南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとインド・オーストラリアプレートの境界で発生した地震と考えられる。
(地震の詳細は、平成21年1月地震・火山月報(防災編)を参照)
震源時刻(日本時間) | 震央地名 | 緯度 | 経度 | 深さ | Ms | Mw |
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2009年1月4日 4時43分 | ニューギニア付近 | 南緯0度24.4分 | 東経132度53.1分 | 17km | 7.5 | 7.6 |
今回の地震の震央分布図
1970年1月1日~2009年1月31日の期間に発生した、深さ0~100km、M6.0以上の地震の震央分布。震源はUSGSによる。
発表した津波注意報の概要
地震発生から津波注報発表、解除までの経緯は、以下のとおりである。
発表時刻 | 事象 | 概要 | |
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地震発生(Mw7.6) | |||
地震情報 | 津波については、日本への津波の有無は調査中を付加。 |
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マラカルに津波到達 |
最大高さ4cm(西海岸/アラスカ津波警報センターによる) |
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ヤップに津波到達 |
最大高さ4cm(西海岸/アラスカ津波警報センターによる) |
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津波予報(若干の海面変動) |
発表予報区:北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、伊勢・三河湾、三重県南部、淡路島南部、和歌山県、徳島県、 愛媛県宇和海沿岸、高知県、大分県瀬戸内海沿岸、大分県豊後水道沿岸、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美諸島・トカラ列島、鹿児島県西部、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島・八重山地方 |
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地震発生(Mw7.4) | |||
石垣島に津波到達 | |||
父島に津波到達 |
第1波の高さ11cm |
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父島で最大波観測 |
高さ36cm |
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津波注意報発表 |
発表予報区:伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県 →津波注意報発表予報区(地図、png形式) |
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津波注意報を切り替え(津波注意報の追加) |
津波注意報を追加で発表した予報区:宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、奄美諸島・トカラ列島 →津波注意報発表予報区(地図、png形式) |
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全ての津波注意報解除 |
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串本で最大波観測 |
高さ43cm |
津波の観測
津波予報区 | 予報(津波の高さ) | 予報区内で観測した津波の高さの最大 |
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宮古島・八重山地方 | 若干の海面変動 | 12cm |
沖縄本島地方 | 若干の海面変動 | 11cm |
大東島地方 | 若干の海面変動 | 5cm |
奄美諸島・トカラ列島 | 津波注意報(0.5m) | 24cm |
種子島・屋久島地方 | 津波注意報(0.5m) | 33cm |
鹿児島県東部 | 津波注意報(0.5m) | 26cm |
鹿児島県西部 | 若干の海面変動 | 36cm |
宮崎県 | 津波注意報(0.5m) | 21cm |
高知県 | 津波注意報(0.5m) | 24cm |
徳島県 | 津波注意報(0.5m) | 32cm |
和歌山県 | 津波注意報(0.5m) | 43cm |
大阪府 | 予報なし | 4cm |
兵庫県瀬戸内海沿岸 | 予報なし | 4cm |
三重県南部 | 津波注意報(0.5m) | 32cm |
愛知県外海 | 津波注意報(0.5m) | 26cm |
静岡県 | 津波注意報(0.5m) | 22cm |
伊豆諸島 | 津波注意報(0.5m) | 23cm |
小笠原諸島 | 津波注意報(0.5m) | 36cm |
東京湾内湾 | 予報なし | 9cm |
相模湾・三浦半島 | 津波注意報(0.5m) | 25cm |
千葉県内房 | 若干の海面変動 | 28cm |
千葉県九十九里・外房 | 若干の海面変動 | 5cm |
詳細は、下記資料をご覧下さい。
- 津波の観測値(気象庁所管の検潮所:詳細)
(① 「表示年」で「2009年」を選択、② 「全地点表示」を選択、③ 「津波(全地点表示のみ)」を選択、④ 「各項目を入力してクリック」をクリックして表示させてください。)
津波予測の評価
今回の地震による津波では、過去にこの付近で発生した津波の資料がなく、量的津波予報データベースの想定断層モデルが置かれていなかった。このため、今回の震央より東側で約400kmの地震による津波シミュレーション結果および過去の津波記録を用いて、日本沿岸での津波の影響を評価した結果、日本の沿岸での津波の高さは、津波注意報基準の20cmには達しないと判断し、07時27分に若干の海面変動が予想される旨を発表した。その後09時55分に父島で36cmの津波が観測されたため、10時08分に津波注意報を発表した。
父島での津波の高さが予想より高くなった原因を調べるため、波源を今回の地震の震央付近においたものと震央の約400kmにおいた2つに津波シミュレーションを行った(下図)。この結果、今回の津波は、九州パラオ海嶺付近に集中した津波により、父島付近の津波が高くなったことがわかった。
この結果を踏まえ、量的津波予報データベースの想定地震に、この付近の地震を緊急的に追加している。
津波シミュレーションによる津波の最大波の高さ分布の違い。左側が今回の地震の位置、右側が今回の地震の位置から約400km東側