世界の天候に関する解説
世界の天候のページ
社会経済活動の国際化により、世界各国で発生する異常気象が、その国だけでなく、日本の社会経済にも大きな影響を与えるようになっています。また、地球温暖化やエルニーニョ現象等の気候変動により、世界的に異常気象が増加する可能性もあります。このため、気象庁では世界の異常気象等に関する情報を逐次提供しています。
世界の天候のページでは週・月・季節・年毎に、世界の天候の情報を掲載しています。
また、異常気象の特徴と要因に関する情報には、異常気象など平年から大きくかけ離れた天候により社会的に大きな影響をもたらした現象について、その特徴と要因を分析した結果を掲載します。
データ
使用している気温や降水量のデータは、国際連合の専門機関である世界気象機関(WMO)に加盟している各国の気象機関から毎日通報される気象通報または毎月通報される気象通報に基づいています。気象災害に関する記述は、国際連合人道問題調整事務所(OCHA)の統合地域情報ネットワーク(IRIN)による災害ニュースや米国国際開発庁海外災害援助局とルーベンカトリック大学災害疫学研究所(ベルギー)の緊急災害データベース(EM-DAT)、各国気象局など公的機関による報道発表資料などに基づいています。
気温と降水量の平年値等の統計値は1991~2020年の30年間のデータから作成しています。ただし、週(または旬、半月)平均気温や週降水量の平年値は、大部分の地点では月統計値を内挿して作成しているため、平年差・比の分布図には推定誤差が含まれています。また、このページでは、世界の異常気象速報(全球異常気象監視速報)の掲載日に合わせて、水曜日から火曜日までを週としています。
異常天候図表の見方
異常気象 発生地域分布図(週・月・季節)
異常高温・異常低温および異常多雨・異常少雨の地点がある程度まとまって現れた場合にその地域を曲線で囲み、番号を付しています。また、被害や社会的な影響の大きな気象災害についても記号で示し、同じく番号を付しています。異常気象に付した番号は天候のまとめの概況文の番号と合わせてあります。台風やハリケーンなど熱帯低気圧による異常気象の場合には、その熱帯低気圧の名前やおおよそ経路も示します。
異常天候 発生地点分布図(月)
異常高温・異常低温および異常多雨・異常少雨が発生した地点を緯度5度×経度5度の領域毎に選んで表示した分布図で、気象災害の情報は含まれません。「異常気象」は気温や・降水量の異常だけでなく、数時間の大雨や数か月以上の干ばつといった気象災害も含むのに対し、「異常天候」は数日以上にわたる気温・降水量の異常のみを指すということで区別しています。
異常天候 地点リスト(月)
その月の異常高温・異常低温が観測された主な地点の月平均気温と平年差、異常多雨・異常少雨が観測された主な地点の月降水量と平年比を示しています。
異常高温・異常低温 出現頻度分布図(年)
緯度5度×経度5度毎に各観測地点を対象に、その年の各月の月平均気温が異常高温・異常低温となったのべ回数を数え、それをのべ観測データ数で割って出現頻度を算出しています。異常高温・異常低温の出現頻度の平年値は約3%なので、出現頻度が10%以上であれば「平年より多い」と判断します。ただし、観測地点数や観測データ数が極端に少ない領域については計算しません。
異常多雨・異常少雨 出現頻度分布図(年)
月降水量の異常多雨・異常少雨を対象にしているほかは、異常高温・異常低温の出現頻度と、算出方法は同様です。ただし、異常少雨については、多くの月で無降水となる一部の乾燥地域については、計算対象から除外しています。
異常気象とは 一般に、過去に経験した現象から大きく外れた現象で、人が一生の間にまれにしか経験しない現象を言います。大雨や強風等の激しい数時間の現象から数か月も続く干ばつ、極端な冷夏・暖冬なども含まれます。また、気象災害も異常気象に含む場合があります。 気象庁では、気温や降水量などの異常を判断する場合、過去30年間に発生しなかったような値が観測された場合に「異常気象」としています。 異常高温・異常低温異常高温・異常低温は、それぞれの地点の平均気温において、1981~2010年の30年間の気温から求めた平年値と標準偏差を基準にして、現在観測された週あるいは月の平均気温が異常かどうか判断しています。
異常多雨・異常少雨異常多雨・異常少雨は、それぞれの地点において、1981~2010年の30年間の降水量の観測データを基準にして、現在観測された週あるいは月の降水量が異常かどうか判断しています。
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世界の天候図表の見方
平均気温 平年差図(月)
世界各国の気象機関から毎月通報される約2千地点のデータに基づく平均気温の平年差を等値線で表示しています。等値線は2℃毎で、平年より低い地域には陰影を付しています。
平均気温 規格化平年差 階級分布図(月・季節・年)
平均気温の平年差を標準偏差で割って求めた値(規格化偏差)を、緯度5度×経度5度の領域毎に平均し、6つの階級に分けて記号で表示しています。それぞれの階級のしきい値は±1.28、±0.44、0です。月・季節・年の分布図は、それぞれ1か月・3か月・年の平均気温とその平年値、標準偏差により作成しています。季節・年では、月の通報データが十分でない地域については計算しません。
気温の年々の変動は場所や季節によって違い、一般に高緯度で大きく低緯度で小さくなり、冬に大きく夏に小さくなります。このため、地点によって「1℃の重み」が違ってきます。この年々の変動の大きさ(1℃の重み)を示す指標が標準偏差で、平年差が標準偏差と比べて何倍となるかで、その平年差の「異常の程度」がわかります。平年差が標準偏差の0.44倍以上であれば3年に1回、1.28倍以上であれば10年に1回現れるような高温・低温と言えます。
降水量 階級分布図(月)
世界各国の気象機関から毎月通報される約2000地点のデータに基づく月降水量を緯度5度×経度5度毎に平均し、階級に分けて記号で表示しています。
降水量平年比 階級分布図(月・季節・年)
降水量の平年比を緯度5度×経度5度毎に平均し、4つの階級に分けて記号で表示しています。それぞれの階級のしきい値は70%、100%、120%です。月・季節・年の分布図は、それぞれ1か月・3か月・年の降水量とその平年値により作成しています。季節・年では、月の通報データが十分でない地域については計算しません。
主な地点の観測値(月)
その月の世界の主な観測点の月平均気温と平年差、月降水量と平年比を一覧表で示しています。「---」は気象庁で観測データを受信できなかったことを表します。
平均気温平年値 分布図(月・年) / 降水量 平年値分布図(月・年)
世界の天候のページで使用している世界の各地点の月平均気温と年平均気温および月降水量と年降水量の分布図を示しています。世界の平年値は米国の海洋大気庁のNCDC(National Climatic Data Center)が配布しているGHCN(Global Historical Climatology Network)データおよび気象庁で受信した地上月気候値気象通報(CLIMAT報)のデータを使っています。統計期間は1981~2010年の30年間で、この期間内の1月から12月すべてで8年以上のデータがある地点について平年値を求めました。世界の平年値を算出した地点数は、月・年平均気温で2549地点、月・年降水量で2658地点です。
主な地点の平年値(月)
上記の平年値分布図の中から主な地点について平年値を掲載しています。初めに表示される世界地図中の地域名(「アフリカ」などの青い太字)をクリックすると、その地域の主な国名が表示されます。各国名をクリックすると、その国の主な地点の名前の一覧が表示されます。地点名をクリックすると、その地点の各月の平年値を一覧表で示しています。「-」は平年値がないことを表します。
地域別天候図(旬・半月)
世界各国の気象機関から毎日通報されるデータに基き、旬・半月でそれぞれ統計をとり、平均気温・平均気温平年差・降水量・降水量平年比の地点プロット図・分布図を、世界の6地域に分けて掲載しています。旬の統計は、各月を上旬(1日から10日まで)・中旬(11日から20日まで)・下旬(21日から月の末日まで)に分けて行っています。半月の統計は、前半(1日から15日まで)・後半(16日から各月末日まで)に分けて行っています。
主な地点については、平均気温・積算降水量の時系列グラフも掲載しています。なお、時系列グラフにおいては、平均気温平年値は月平均気温平年値の内挿により求めており、積算降水量は表示期間の最初の月の初め(上旬または前半)からの積算値となっています。また、データが一定の数に満たない場合は描画していません。