東海地方の天候の特徴
東海地方の天候が季節とともにどう変わり、それがどのような大気の流れによってもたらされるのかについて解説します。
気候の特徴と地勢図
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東海地方は、南側は紀伊半島から伊豆半島にかけ太平洋側に面して、濃尾平野などの海岸平野が広がり、その周辺には緩やかな丘陵台地が多くあります。西側には紀伊山地から伊吹山地、両白山地があり、北側から東側には山岳地帯や盆地となっています。 東海地方の気候は、太平洋側では熊野灘や遠州灘を流れる黒潮の影響を受けて、四季を通じて温暖な気候ですが、岐阜県飛騨地方などの内陸では冬季を中心に寒冷な気候となります。 また、南海上から暖かく湿った気流が入りやすいため南側の斜面を中心に雨が降りやすく、低気圧や前線、台風などが通過する時には大雨となることがあります。このため東海地方では三重県南部などの日本でも有数の多雨地帯があります。 |
気温・降水量・日照時間の季節変動
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太平洋側の代表地点として愛知県「名古屋市」、内陸の代表地点として岐阜県「高山市」、東西の代表地点として、それぞれ静岡県「静岡市」と三重県「尾鷲市」の気候特性を月ごとの「平年値」(1991~2020年)で示した資料です。 【平均気温】 夏季は、太平洋高気圧に覆われて、8月を中心に高くなります。名古屋市などでは最高気温が30℃以上の「真夏日」や35℃以上の「猛暑日」が続くことがあります。また、高山市では冬型の気圧配置の影響で、冬季(12月から2月)を中心に氷点下となる日が多くなります。 【降水量、日照時間】 名古屋市では6月から7月と9月は、前線や台風の影響でまとまった雨となりやすく、期間をとおして雨が多く、日照時間が少ない時期となります。静岡市では3月から7月と9月から10月に、尾鷲市では3月から10月にかけて雨が多くなります。特に、尾鷲市では9月から10月にかけて台風や湿った空気の影響をうけて他の地域と比べて雨が非常に多くなります。 冬季は、名古屋市など太平洋側では晴れた日が多くなるため、期間をとおして雨が少なくなります。高山市では日本海からの季節風に伴った雪雲や雨雲が流れ込むため、曇りや雪または雨の日が多くなり、日照時間は少なくなります。 |
東海地方の季節ごとの天候の特徴
春(3月から5月) | 夏(6月から8月) | 秋(9月から11月) | 冬(12月から2月) |
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天気図の特徴と平年の天候 | |||
2021年4月13日09時の地上天気図 移動性の高気圧が日本の東に進み、日本海や南岸を低気圧が通過しました。東海地方では、前日まで高気圧に覆われ晴れた日が続きましたが、低気圧や前線の通過により雨となりました。その後は大陸から進んできた高気圧に覆われ広い範囲で晴れました。 春季は、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変りますが、高気圧に覆われて晴れる日が多くなります。 一方、前線が本州付近に停滞して長雨となるという、梅雨に先立って現れるぐずついた天気となることもあります。 |
2018年7月11日09時の地上天気図 太平洋高気圧が本州付近に張り出し、梅雨前線が北上しました。太平洋高気圧の暖かい空気に覆われ、強い日射により各地で真夏日(最高気温30℃以上)となりました。 夏季は、前半は梅雨前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多くなり、降水量が多く、日照時間の少ない時期となります。 後半は太平洋高気圧に覆われて晴れの日が多くなります。 気温も高くなり、猛暑日(日最高気温35℃以上)や熱帯夜(夜間の最低気温25℃以上)は、この時期に現れやすくなります。また、南海上から北上してくる台風の影響を受けるときもあります。 |
2018年9月9日09時の地上天気図 日本の東に後退した太平洋高気圧と中国東北区の高気圧に挟まれた本州付近は低圧部となり、秋雨前線が停滞しました。この前線に向かって暖かく湿った気流が流れ込み東海地方は雨となりました。 秋季は、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変ります。前半は前線が本州付近に停滞して長雨となることがあります。 また、台風が接近・通過し大きな影響を受けることがあります。三重県南部では特に降水量が多くなる時期です。 後半は高気圧に覆われて晴れの日が多くなります。また、西高東低の冬型の気圧配置も現れはじめ、岐阜県飛騨地方では次第に日照時間も少なくなります。 |
2020年12月17日09時の地上天気図 カムチャッカ半島付近で低気圧が発達し、大陸の高気圧が本州付近に張り出し、冬型の気圧配置となりました。東海地方では太平洋側で晴れましたが、岐阜県山間部で大雪となりました。 冬季は、冬型の気圧配置が現れやすくなり、太平洋側では晴れて乾燥した日が続き、少雨となります。岐阜県山間部では曇りや雪または雨の日が多くなります。 強い寒気が上空に流入すると日本海側(若狭湾付近)から雪雲が流れ込み、濃尾平野周辺でも積雪となることがあります。また、低気圧が太平洋沿岸を北東に進み、低気圧北側に流れ込む冷たい空気の影響で雪が降り、積雪となる場合もあります。 |