コラム②

梅雨明け後(7月)の少雨

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沖縄県の各地点の月別降水量の平年値

 沖縄地方では、梅雨の時期にあたる5月から6月にかけては、降水量が多い時期となりますが、梅雨明け後の7月は、太平洋高気圧に覆われて、晴れて気温の高い日が続き、降水量が少なくなります(図1)。8月から9月の降水量は、台風などの影響を受けやすいため多くなりますが、南大東島では、太平洋高気圧に覆われやすく、他の地点に比べて少なくなります。



図1 沖縄県の各地点(那覇、南大東島、宮古島、石垣島)の月別降水量の平年値(1991年~2020年の30年平均値)。

6月(梅雨の時期)の大気の流れの模式図

 6月(梅雨の時期)は、梅雨前線の影響を受けたり、沖縄付近は、太平洋高気圧の縁(ヘリ)にあたり、暖かく湿った風が入りやすいため、降水量は多くなります。フィリピン付近では季節風(モンスーン)と貿易風(東風)がぶつかり合うことによって風が収束し、気圧の谷(トラフ)となります。この領域をモンスーントラフと呼びます(図2)。



図2 6月(梅雨時期)の大気の流れの模式図。
等値線は海面気圧の平年値(1991年~2020年の30年平均値)。

7月(少雨期)の大気の流れの模式図

 梅雨明け(6月下旬ころ)から7月にかけては太平洋高気圧に覆われるため、7月の降水量は少なくなります。また、北上した梅雨前線に向かって南から安定した暖かく湿った強い風が吹き、晴れて蒸し暑い日が続きます。季節風が強まることでモンスーントラフが発達しています(図3)。



図3 7月(少雨期)の大気の流れの模式図。
等値線は海面気圧の平年値(1991年~2020年の30年平均値)。

8月(多雨期)の大気の流れの模式図

 8月になると、太平洋高気圧は北上します。沖縄の南の海上では、モンスーントラフが発達し、沖縄地方は、暖かく湿った風や台風の影響を受けやすくなり、降水量は多くなります(図4)。



図4 8月(多雨期)の大気の流れの模式図。
等値線は海面気圧の平年値(1991年~2020年の30年平均値)。




6月~8月



図5 6月~8月の大気の流れの模式図の連続表示。