季節ごとの平年の天候についてのコラム  「地形の特長による天候への影響」

関東甲信地方は、日本で最も大きい平野と最も高い山を含んでおり、多様な地形の特性が見られますが、地形に関わる気候特性として大きく3種類に「海岸気候」「内陸気候」「山岳気候」として分類することができます。特に、冬の気候は地形によって大きく異なります。

関東甲信地方の地図

※地形データにはUSGSのGTOPO30を利用

海岸気候」は沿岸に主に分布し、海洋の影響を受けます。主な特徴として「海が近いことから湿度が高い」、「温まりにくく冷めにくい海の特徴により、気温の変化が小さい」、「海面の摩擦は陸面より小さいことから風が強い」などがあげられます。

例えば、千葉県銚子市などでは周囲に高い山などがなく、海洋に突き出しているため、年中強い風が吹いています。また、年を通しての平年の雪日数は6.1日で、過去最も多い積雪の深さの観測値は17cmにすぎません。

内陸気候」は海洋から距離を隔てていることから海洋の影響を受けにくくなります。主な特徴として、「乾燥している」、「温まりやすく冷めやすい陸地の特徴により、気温の変化が大きい」などがあげられます。

中でも関東平野では、晴れた日の風の弱い夜には放射冷却が強く働き、気温が下がり、空気が十分に湿っている場合、霧が発生することがあります。関東平野の内陸に位置する熊谷では、年を通しての平年の雪日数は11日ですが、南岸低気圧によって大雪となることがあり、2014年2月15日の積雪の深さは62cmに達しました。

山岳気候」は山岳に固有な気候であり、標高の低い平地と異なった気候となります。特徴として、「地表面温度が比較的冷涼」、「斜面の向きで日照条件が変わる」、「複雑な地形の影響による温度分布等を要因として山谷風が吹く」などがあげられます。山地にある奥日光では、年を通しての平年の雪日数は102日で、冬は雪が降ると気温が低いために融けにくく、過去最も多い積雪の深さの観測値は125cmとなっています。