季節ごとの平年の天候についてのコラム 「秋の降水」
下左図は1991年から2020年における東京での季節ごとの総降水量を表します。秋の降水量は他の季節より比較的多い傾向があります。
秋の降水量が多くなる要因としては、夏から秋への季節の移行期に日本付近に現れ長雨をもたらす秋雨前線や、台風があげられます。下右表によると、1991年から2020年における関東甲信地方における台風の接近数(各県の気象官署から300km以内に入った台風の数)は、9月前後で多くなっています。
(注)接近は2か月にまたがる場合があり、各月の接近数の合計と年間の接近数とは必ずしも一致しません。

東京における季節ごとの総降水量(mm)

関東甲信地方への台風の接近数
秋雨前線と台風について
夏から秋への季節の移行期には、日本付近に長雨をもたらす秋雨前線が現れます。関東甲信地方ではこの時期は曇りや雨となる日が多くなります。
秋雨前線の活発化には台風が関係することもあります。左図に示した2005年9月4日21時の例では台風第14号が沖縄の東を北上中で、台風から流れ込む暖かく湿った空気の影響で、右図の同時刻のレーダー画像のように、関東地方でも各地で積乱雲が発達し、特に東京都や埼玉県では局地的に1時間100ミリを超える猛烈な雨が降り、河川の氾濫等により7千棟を超える浸水被害が発生しました。

2005年9月4日21時の地上天気図


2005年9月4日21時の気象レーダーによる10分間降水強度(mm/h)