中部航空地方気象台で発表している航空気象情報

航空気象観測報(METAR、SPECI)

飛行場実況気象通報式(METAR、SPECI)

観測の種類

定時観測、又は特別観測で観測した成果は一定の形式に従って国際航空固定通信網等を通じて国際的に交換されます。

観測には大きく分けて定時観測と特別観測があります。
定時観測は定められた時刻に行う観測で、中部航空地方気象台の場合、毎正時と毎30分の一日48回行います。
特別観測は気象現象の重要な変化を認めた時に行います。一定の基準を満たした時に随時観測、通報します。
その他に、管制機関などから照会があった時に行う照会特別観測や、事故があった時に行う事故特別観測があります。

発表時刻

観測を行った後に速やかに発表します。
定時観測を行った後にはMETARという名称で、特別観測を行った後にはSPECIという名称で発表しますが、形式はどちらも同じです。

特別観測実施基準

特別観測は国土交通大臣が空港ごとに定めた最低気象条件のほか、航空法や関係機関との協議によって定められています。
その基準値は表のようになっています。

要 素 特別観測の実施基準
最低雲層の
雲底の高さ
雲量が5/8以上の雲層の内、最も低い層の雲底の高さが減少(増加)して基準値未満(以上)になった場合
雲層の雲量 一つの雲層の雲量が増加(減少)して基準値を超えた場合
視程 卓越視程の値が変化して基準値未満(以上)になった場合
滑走路視距離 滑走路視距離の値が変化して基準値未満(以上)になった場合
風向風速 ・平均風向が60度以上変化して、変化前または変化後の平均風速が10kt以上ある場合
・平均風速が10kt以上変化した場合
・平均風速が15kt以上で、最大瞬間風速が10kt以上上回った場合
大気現象 並又は強い降水、雷電、竜巻、着氷性の降水など航空機の運航に影響のある大気現象の開始、終了、及び強度が変化した場合
気温 現在の気温が32度以上で、前の観測値から2度以上上昇した場合
その他 関係機関と協議し、運航上必要と認められた場合

内容と形式

形式は飛行場内にのみに発表する場内報形式と、国際的に交換する場外報形式の2種類があります。ここでは場外報のみ紹介します。

電文には次の内容が含まれます。
(1)地点名
(2)観測日時
(3)風向風速
(4)卓越視程、滑走路視距離
(5)現在天気
(6)雲の量、雲底の高さ
(7)気温、露点温度
(8)気圧
(9)補足情報


○電文例(電文中の下線をクリックして下さい。その項目の形式について解説をしています。)
METAR RJGG 150230Z 34007KT 300V010 2300 SHRA BR FEW005 SCT020 BKN030 FEW030CB 13/12 Q1009 RMK 1ST005 3CU020 7CU030 1CB030 A2982 CB 10KM E MOV N=
なお、上記電文には解説のためにア~ケのカナ文字及び下線を施しましたが、正式な電文にはありませんのでご承知願います。

ア:地点略号

観測の対象となっている飛行場をICAO*1の国際4文字地点略号で表します。
当飛行場は「RJGG」です。

 *1:ICAOは「国際民間航空機関」の略語です。

イ:観測日付時分

観測した日付及び時刻を協定世界時(UTC)で表します。

ウ:風向風速・最大瞬間風速

(1)風向は真方位により10度刻みの3数字で表します。
(2)風速は2桁で表し、数値に続けて風速の単位を付します。わが国ではkt(ノット、1kt=1,852m/h=約0.5144m/s)単位で表します。
(3)平均風速を10kt以上上回る最大瞬間風速(「ガスト」といいます。)が観測された場合は、平均風速の後にGを付して、続けて観測されたガストの値を記述します。
   (例)05030G40KT
(4)風速が100kt以上(50m/s以上)の場合は、P99で表します。
   (例)28080GP99KT
(5)静穏(0.4kt以下【0.2m/s以下】)は00000KTで表します。風速が3kt未満(1.5m/s未満)で風向が定まらないとき(60度以上変動するとき)には、風向はVRBを使い、それに続けて風速を記述します。
  (例)VRB03KT  なお、VRBはVariableの略語です。

エ:視程又はCAVOK

(1)わが国では卓越視程を4桁の数字で表します。5,000m未満は100m単位、5Km以上10km未満は1km単位、10km以上のときは9999としています。
(2)CAVOK*2
CAVOKとは次の条件が満たされた場合に使用します。
ア)卓越視程は10km以上。
イ)5,000ftまたは最低扇形別高度*3の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がない。
ウ)天気略語表に該当する天気がない。
  (例)METAR RJGG 010300Z 32008KT CAVOK 14/05 Q1025=
    1日03UTCの実況。
    風向320度・風速8ktでCAVOKの条件に該当し、気温14℃、露点温度5℃、
    気圧1,025hPa。

*2:CAVOKはVisibility,cloud and present weather better than prescribedvalues or conditionsの略語です。
*3:最低扇形別高度とは、航行用無線施設を中心とした半径25NM(ノーティカルマイル、1NM=1,852m)の円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から、平野部では300m(1,000ft)、山岳部については600m(2,000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度です。各空港でこの値は異なり、当飛行場では5,200ftとなっています。

オ:現在天気

天気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・そのほかの現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。

よく使われる天気現象は次のとおりです。

天気略語表
付帯条件 天気現象
強度 特性 降水現象 視程障害現象

(弱)
SH
(しゅう雨性)
RA
(雨)
  BR
 (もや)
(表示なし)
(並)
TS
(雷電)
SN
(雪)
  FG***
   (霧)

(強)
  GR
(ひょう)
  VA
   (火山灰)
        HZ**
   (煙霧)

*   :視程1km以上5km以下
**  :視程5km以下
***:視程1km未満

カ:雲又は鉛直視程、及びNSC

(1)雲量及び雲底の高さは3層まで使用しています、ただし、重要な対流雲(積乱雲、塔状積雲)が存在する場合は4層まで使用しています。
(2)雲量は次のとおり使用しています。

雲量電文表示 意味 8分雲量 参考(10分雲量)
FEW 少しの 1以下で0(雲がない)ではない~2 1以下で0(雲がない)ではない~3
SCT 散在している 3~4 4~5
BKN すき間あり 5~7以上ですき間があります 6~9以上ですき間があります
OVC 全天を覆う 8(すき間がありません) 10(すき間がありません)

*全天を8とした時に、雲によって覆われた部分の全天空に対する見かけ上の割合

(3)雲底の高さは100ft単位の3桁の数字で表し、5,000ft未満は100ft刻みで、5,000ft以上は1,000ft刻みで表します。
(4)重要な対流雲(積乱雲、塔状積雲)が存在する場合は、雲底の高さに続けて雲形(CB、TCU)を記述します。
  (例)雲量4のCBが2,000ftのとき SCT020CB
(5)いくつもの雲層が存在する場合は次の要領で行っています。
ア)雲量に関係なく最も低い雲層をFEW、SCT、BKN、OVCのいずれかで表します。
イ)第1層の高さより上にあって、雲層の量が3オクタス以上の場合SCT、BKN、OVCで表します。
ウ)第2層の高さより上にあって、雲層の量が5オクタス以上の場合BKN、OVCで表します。
エ)雲の群は、雲底の高さの低い雲から順に表します。
オ)上記のいずれの項にも重要な対流雲を記述しない場合は重要な対流雲を雲形を付加して1層だけ表します。この場合、重要な対流雲の雲底の高さを他の雲層又は雲塊の高さと同一に存在する場合は、重要な対流雲を後に記述しています。
  (例)・・・・・BKN008 BKN020 SCT020CB OVC040
(6)鉛直視程
霧(FG)などで空を透視できない時は、鉛直視程(上空の見通しが遮られている場合の鉛直方向の最大可視距離)で表します。
  (例) RJGG 010300Z ・・・ FG VV003 ・・・
    天気霧で、鉛直視程300FT
(7)NSC(Nil Significant Cloud)の使用
NSCは次の条件が満たされたときに使用します。
ア)CAVOKではない
イ)5,000ft又は最低扇形別高度*3の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がないとき。
  (例)RJGG 010300Z 16008KT 6000 NSC ・・・

*3:最低扇形別高度とは、航行用無線施設を中心とした半径25NM(ノーティカルマイル、1NM=1,852m)の円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から、平野部では300m(1,000ft)、山岳部については600m(2,000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度です。各空港でこの値は異なり、当飛行場では5,200ftとなっています。

キ:気温及び露点温度

気温及び露点温度は小数点以下1/10位まで読み取り、値が正の場合は1/10位の値は四捨五入、値が負の場合は五捨六入し1℃単位で表します。
0℃未満の気温はM(マイナス)で表します。例えば-9.4℃はM09、-0.3℃はM00と表します。

ク:気圧

気圧はQNHと言われる値を通報します。QNHとは滑走路に着陸した航空機の気圧高度計が滑走路の標高を示すように気圧高度計原点を平均海面上3mの高さに合わせるための気圧値を言います。
QNHはhPaを単位とし、10分位を切り捨てた値を指示文字Qに続けて4桁の数値で通報します。

ケ:国内記事

RMKS以下は国内記事を示し、以下の内容などが含まれます。
・雲についての詳細な情報:8分雲量、雲形、雲底の高さ
・QNHとして報じた気圧の値をinHg(水銀柱の高さ、インチ単位)に換算した値
・方向視程
・操縦士報告(航空機の操縦士からの気象に関する報告)
・雷・積乱雲・霧などの、強度・存在位置および移動方向
・その他 現在天気であられを観測した場合の氷あられ(SMALL HAIL)、雪あられ(SNOW PELLETS)の区別

運航用飛行場予報(TAF)

運航用飛行場予報(TAF)

航空機の運航用に使用され、飛行計画作成のために目的空港等の気象状態の把握、代替空港の選択、積載貨物・燃料の見積もり等に利用されます。この予報は国際航空固定通信網等を通じて国際的に交換されます。

発表時刻、発表回数及び有効期間

運航用飛行場予報は1日4回、00、06、12、18UTC(協定世界時)を発表時刻としています。有効期間は発表時刻から30時間後までです。発表時刻に対する有効期間は次のとおりです。

発表時刻 有効期間
00UTC 当日00UTCから翌日06UTC
06UTC 当日06UTCから翌日12UTC
12UTC 当日12UTCから翌日18UTC
18UTC 当日18UTCから翌日24UTC

内容と型式

運航用飛行場予報の内容は、

(1)地上の風向、風速(10分間平均)及び最大瞬間風速(平均風速を5m/s以上【10kt以上】上回るもの)
(2)地上視程(卓越視程)
(3)天気(飛行場の標点からおおむね9km以内の現象)
(4)雲又は鉛直視程

以上の事項及びこれに関する重要な変化を予想します。次に電文例を示します。最初の一行目が基本群で、二行目の識別語(ここの例ではBECMG)以降を変化群といいます。

○電文例(電文中の下線をクリックして下さい。その項目の型式について解説をしています。)

TAF RJGG 232310Z 2400/2506 21008KT 4000 -RA BR BKN008 OVC040 BECMG 2418/2420  7000 NSW  BKN040=

上記電文を言葉で表現しますと、次のとおりです。
なお、上記電文には解説のためにア~コのカナ文字及び下線を施しましたが、正式な電文には施してありませんのでご承知願います。

ア:地点略号

予報の対象となっています飛行場をICAO*1の国際4文字地点略号で表します。
当飛行場は「RJGG」です。

 *1:ICAOは「国際民間航空機関」の略語です。

イ:発表日付時分

発表する日付時刻を協定世界時(UTC)で表します。

ウ:日付、発効時刻、終了時刻

 予報の期間の始まりと終わりを、日付と協定世界時(UTC)で表します。有効期間は30時間です。

エ:風向風速・最大瞬間風速

(1)風向は真方位により10度刻みの3数字で表します。
(2)風速は2桁で表し、数値に続けて風速の単位を付します。わが国ではkt単位で表します。
(3)平均風速を10kt以上上回る最大瞬間風速(「ガスト」といいます。)が予想される場合は、平均風速の後にGを付して、続けて予想される値を記述します。
  (例)05030G40KT
(4)風速が100kt以上(50m/s以上)の場合は、P99で表します。
  (例)28080GP99KT
(5)静穏(0.4kt以下【0.2m/s以下】)は00000KTで表します。風速が2kt以下(1m/s以下)で風向が定まらないとき(60度以上変動するとき)には、風向はVRBを使い、それに続けて予想風速を記述します。
  (例)VRB02KT  なお、VRBはVariableの略語です。

オ:視程又はCAVOK

(1)わが国では卓越視程を4桁の数字で表します。5,000m未満は100m単位、5km以上10km未満は1km単位、10km以上のときは9999としています。
(2)CAVOK*2
CAVOKとは次の条件が満たされた場合に使用します。
ア)卓越視程は10km以上。
イ)5,000ftまたは最低扇形別高度*3の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がない。
ウ)予報すべき天気がない。
  (例)TAF RJGG 010300Z 011206 32008KT CAVOK=
    1日12UTCから2日06UTCの予報。
    風向風速320度の8ktでCAVOKの条件に該当することが予想されます。

*2:CAVOKはVisibility,cloud and present weather better than prescribed values or conditionsの略語です。
*3:最低扇形別高度とは、航行用無線施設を中心とした半径25NMの円内の部分に含まれる区域に所在する全ての障害物件から、平野部では300m(1,000ft)、山岳部については600m(2,000ft)の垂直間隔をもって設定した緊急時用の最低高度です。各空港でこの値は異なり、
当飛行場では5,200ftとなっています。

カ:天気

天気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・そのほかの現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。

よく使われる天気現象は次のとおりです。

             天気略語表
付帯条件 天気現象
強度 特性 降水現象 視程障害現象 終了

(弱)
SH
(しゅう雨性)
RA
(雨)
  BR
  (もや)
NSW
(表示なし)
(並)
TS
(雷電)
SN
(雪)
  FG***
  (霧)
 

(強)
  GR
(ひょう)
  VA
  (火山灰)
 
        HZ**
  (煙霧)
 
*   :視程1km以上5km以下
**  :視程5km以下
***:視程1km未満

キ:雲又は鉛直視程及びNSC

(1)雲量及び雲底の高さは3層まで使用しています、ただし、重要な対流雲(積乱雲CB)が予想される場合は4層まで使用しています。
(2)雲量は次のとおり使用しています。

雲量電文表示 意味 8分雲量 参考(10分雲量)
FEW 少しの
1~2オクタス
1以下で0(雲がない)ではない~2 1以下で0(雲がない)ではない~3
SCT 散在している
3~4オクタス
3~4 4~5
BKN すき間あり
5~7オクタス
5~7以上ですき間があります 6~9以上ですき間があります
OVC 全天を覆う
8オクタス
8(すき間がありません) 10(すき間がありません)

(3)雲底の高さは100ft単位の3桁の数字で表し、5,000ft未満は100ft刻みで、5,000ft以上は1,000ft刻みで表します。ただし、2004年(平成16年)11月3日03UTCより、予報対象とする雲の変更があり、「5,000ft又は最低扇形別高度の最大値のいずれか高い値以上の雲(積乱雲を除く)は、飛行場予報に記述しない」こととなりましたので、当飛行場では5,200ft以上の雲が予想されましても予報電文には反映されませんのでご承知おき下さい。
(4)重要な対流雲(積乱雲CB)が予想される場合は、雲底の高さに続けて雲形(CB)を記述します。
  (例)雲量4のCBが2,000ftのとき SCT020CB
(5)いくつもの雲層又は雲塊を予想する場合は次の要領で行っています。
ア)雲量に関係なく最も低い雲層又は雲塊をFEW、SCT、BKN、OVCのいずれかで表します。
イ)第1層の高さより上にあって、雲層又は雲塊の量が3オクタス以上の場合SCT、BKN、OVCで表します。
ウ)第2層の高さより上にあって、雲層又は雲塊の量が5オクタス以上の場合BKN、OVCで表します。
エ)雲の群は、雲底の高さの低い雲から順に表します。
オ)上記のいずれの項にも重要な対流雲を記述しない場合は重要な対流雲を雲形を付加して1層だけ表します。この場合、重要な対流雲の雲底の高さを他の雲層又は雲塊の高さと同一に予報する場合は、重要な対流雲を後に記述しています。
  (例)・・・・・BKN008 BKN020 SCT020CB OVC040
(6)鉛直視程
霧(FG)で空を透視できないと予想される時は、天気は「FG」とし、鉛直視程で表します。
  (例) TEMPO 2003 0300 FG VV003
(7)NSC(Nil Significant Cloud)の使用
NSCは次の条件が満たされたときに使用します。
ア)卓越視程は10km未満。
イ)5,000ft又は最低扇形別高度の最大値のいずれか高い値未満に雲がなく、かつ重要な対流雲がないとき。
  (例)RJGG 010300Z 011206 16008KT 6000 NSC

ク:変化群

変化群は基本群で全予報要素を記述した後に用います。変化群の識別語及び変化開始日時(YYGG)と終了日時(YeYeGeGe)に続いて、その後に変化基準に該当すると予想されるすべての要素を続け、記述されない要素は、基本群の状態が持続すると考えて下さい。

(1)BECMG(becoming)
指示された予報期間の中で天気状態が規則的に或いは不規則に変化することが予想され、その後は変化後の状態が続くと予想される場合に使用します。

変化群の識別語BECMGのイメージ図です。

(2)TEMPO(temporarily)
変化すると予想した状態が一度もしくは繰り返し発生し、それぞれが1時間以上連続して続かず、全体としてその現象の予想期間が予報有効期間の1/2未満の場合に用います。気現象は天気略語の組み合わせで、降水現象・視程障害現象・そのほかの現象ごとに必要に応じて強度・特性を付加して、最大3群まで、1つの群につき最大9文字で表します。天気現象の組み合わせの表し方は卓越順としています。

変化群の識別語TEMPOのイメージ図です。

ケ:変化開始時刻と終了時刻

上記変化群の識別語の後には、重要な天気現象が予想される期間を示し、最初の2つの数字が変化開始時刻(YYGG)を、後の2つの数字が終了時刻(YeYeGeGe)を示します。

コ:NSW(天気の終了:Nil Significant Weather)

重要な天気現象が終了すると予報する場合に天気現象に代わって記述する略語です。NSWは変化群のみ使用し、現象が終了するという意味と、並又は強い降水現象が弱くなるという意味の2通りがあります。


((中部国際空港における23日2310UTC発表の、有効期間が24日00UTCから25日06UTCまでの30時間の予報です。有効期間内の24日18UTCまでの平均的な値は、風向風速が210度の8kt(4m/s)、卓越視程は4,000mで天気は弱い雨ともや、雲量と雲底の高さはBKN(5~7オクタス)で800ft、OVC(8オクタス)で4,000ftの雲を予想しますが、24日18UTC~24日20UTC頃から弱い雨ともやが終了し、卓越視程は5,000m以上、最低雲層の高さはBKNの4,000ftに変化すると予想しています。))
着陸用飛行場予報(TREND)

着陸用飛行場予報(TREND)

着陸予定前おおむね1時間以内の航空機の着陸時の判断に使用されます。

発表時刻、発表回数及び有効期間

発表時刻は、1日48回で毎正時及び毎30分です。有効期間は2時間です。

内容と型式

着陸用飛行場予報の内容は、

(1)地上の風向、風速(10分間平均)及び最大瞬間風速(平均風速を5m/s以上【10kt以上】上回るもの)
(2)地上視程(卓越視程)
(3)天気(飛行場の標点からおおむね9km以内の現象)
(4)雲又は鉛直視程

以上の事項及びこれに関する重要な変化を予想します。
電文型式の概要ですが、着陸用飛行場予報は定時航空実況気象報(METAR)に付加して、有効期間内の気象状態の変化傾向を予報します。いずれの要素も変化しないと予想する場合は、NOSIGと報じます。

*:NOSIGとは、No Significant Changeの略語です。

○電文例

BECMG FM0130 3000 RA BR=

((視程が0130UTCから変化し、並雨ともやにより3,000mとなる予想です。))

基本群の解説

着陸用飛行場予報は、定時航空実況気象報からの変化を報ずる飛行場予報ですので、定時航空実況気象報を基本群としています。

変化群の解説

規則的又は不規則な変化が予想される場合は、変化の識別語「BECMG」「TEMPO」のいずれかで始めます。電文例にあります識別語の後の「FM」は時刻群といいますが、時刻群は該当する場合のみ用い、指示文字と共に時分を示します。

指示文字の種類 意味 使用法
FM ~から その変化が有効期間内の途中で始まり、
その期間の終了時以降に終息すると予報する場合。
TL ~まで その変化が有効期間の開始時に発生し、
その期間の終了する前に終息すると予報する場合。
AT ~に その変化が有効期間内のある特定の時刻に
発生すると予報する場合。
離陸用飛行場予報(TAKE-OFF FCST)

離陸用飛行場予報(TAKE-OFF FCST)

出発予定前おおむね3時間以内の航空機の離陸用に使用され、航空機の最大積載量の算出等に利用されます。

発表時刻、発表回数及び有効期間

発表時刻は、1日8回、00、03、06、09、12、15、18、21UTCです。
有効期間は6時間です。

内容と型式

離陸用飛行場予報の内容は運航用飛行場予報で予想した
(1)地上の風向風速、(2)地上視程(卓越視程)、(3)雲又は鉛直視程、(4)天気
に加えて
(5)地上気温(0℃未満の場合は、”-又はM(マイナス)”で示します。)
(6)地上気圧(QNH)
以上の事項に関して予想します。
離陸用飛行場予報の有効期間は、発表時刻の次の正時刻から毎正時6時間です。

○発表型式例

離陸用飛行場予報の発表型式例です。


飛行場警報

飛行場警報

警報」とは、重大な災害の起こるおそれのある旨を警告して行う予報です。
このため、当台では飛行場に停留中の航空機を含む地上の航空機並びに飛行場の施設及び業務に悪影響を及ぼすおそれのある気象状態が予想された場合、民間航空会社等の運航責任者、飛行場業務機関及びその他の関係機関に対し、飛行場警報を発表します。

飛行場警報の種類及び基準

種  類
(英文)
基  準
飛行場強風警報
(Aerodrome Gale Warning)
10分間平均風速17.2m/s以上24.5m/s未満(34kt以上48kt未満)の風速が予想される場合
飛行場暴風警報
(Aerodrome Storm Warning)
10分間平均風速24.5m/以上(48kt以上)の風速が予想される場合
ただし、熱帯低気圧により10分間平均風速32.7m/s以上(64kt以上)の風速が予想される場合を除く
飛行場台風警報
(Aerodrome Typhoon Warning)
熱帯低気圧により10分間平均風速32.7m/s以上(64kt以上)の風速が予想される場合
飛行場大雨警報
(Aerodrome Heavy Rain Warning)
大雨によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合
1時間雨量50mm以上
飛行場大雪警報
(Aerodrome Heavy Snow Warning)
大雪によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合
6時間降雪の深さ6cm以上
飛行場高潮警報
(Aerodrome High Tide Warning)
高潮によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合
東京湾平均海面(TP)上2.7m以上
※基準は中部国際空港のものです。

飛行場気象情報

飛行場気象情報

飛行場気象情報は、飛行場に離着陸若しくは停留する航空機または飛行場施設に被害を及ぼすおそれのある気象状態が予想された場合、当台では当飛行場に所在する航空交通業務機関及び民間航空会社等の運航管理者に対して注意を喚起するために発表する情報です。

飛行場気象情報の種類と目安

種 類 発表目安
当飛行場からおおむね半径20km以内で発雷が予想される場合
飛行場気象解説情報

飛行場気象解説情報

該当する空港の今後の気象推移について、文字と図及び 3 時間毎の気象予想により、簡潔明瞭に分かりやすく航空関係者に伝える事を目的に発表されます。

発表時刻、発表回数及び有効期間

定時に発表する情報と臨時に発表する情報を設け、定時発表の気象解説情報は毎日5時(2000UTC)と16時(0700UTC)に発表し、臨時発表の気象解説情報は、飛行場に離着陸若しくは停留する航空機又は飛行場施設に被害を及ぼすおそれがある台風、大雪等の気象、地象及び水象の現象の発現が予想される場合、又は、顕著な現象が切迫しているあるいは発現して警報等を行っている場合、必要に応じて随時発表します。
対象期間は5時(2000UTC)発表では翌日9時(0000UTC)まで、16時(0700UTC)発表では翌日21時(1200UTC)までです。

内容と型式

本文は、文字と図及び 3 時間毎の気象予想により構成します。
当該空港の留意すべき現象について箇条書きで記述します。
当該空港の予想に対してサブシナリオを記述します。サブシナリオの記述に当たっては、予想していない現象が発現する可能性、予想している現象の時間ずれ等について、重要性を勘案しつつ記述します。
留意事項等をわかりやすく伝える上で有効な図を最大 2 種類用います。 対象時間帯において、各々3 時間内の正時値若しくは TEMPO 値の最も悪い値を予想します。

○発表例

飛行場気象解説情報の発表例です。


※情報名をクリックすると詳細を表示します。
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