南極の気象(2025年10月)
1.概 況
10月は、低気圧の影響をたびたび受けて強風やふぶきとなる日が頻発した。月平均気温は平年より著しく高く、10月としての観測史上1位を記録するなど、顕著な高温の月であった。特に月末にかけては0℃前後まで気温が上昇する日が相次ぎ、10月の日最高気温の高い方から2位・3位・5位を、10月の日最低気温の高い方から1位をそれぞれ記録した。また、降雪の深さ月合計は45cmで、10月の記録としては6位となる多降雪となったが、一方で、高温傾向の影響もあり、月最深積雪は10月の小さい方から7位となる100cmを記録した。
上旬は、発達した低気圧の接近が相次ぎ、強風とふぶきの日が多かった。特に、1日から2日にかけてと6日のふぶきはそれぞれB級とC級のブリザードとなった。また、9日は、10月の降雪の深さ日合計が5位となる15cmを記録する大雪となった。低気圧に伴う暖気流入により、旬平均気温は平年と比べて著しく高く(平年差+8.9℃)、10月としては異例の暖かさであった。
中旬は、旬の前半には高気圧に覆われて晴れや快晴となる日が多く、風も弱かったため、放射冷却による冷え込みや霧の流入が見られたが、旬の後半には低気圧の影響で強風・ふぶきとなる日が多くなり、特に、16日から17日にかけてのふぶきはB級ブリザードとなった。
下旬は、低気圧に伴う暖気流入等の影響で気温が上昇し、特に29日から31日にかけては0℃前後まで上昇した。また、強風・ふぶきとなる日も多く、24日から25日にかけてのふぶきはB級ブリザードとなった。
ブリザード、カタバ風‥‥用語解説
2.気温、風向風速等の気候統計値
| 平均気温 | -7.2℃ | 平均湿度 | 73% |
|---|---|---|---|
| 最高気温 | 0.4℃(30日) | 平均雲量 | 8.1 |
| 最低気温 | -24.9℃(14日) | 日照時間 | 162.4h |
| 平均風速 | 10.0m/s | 全天日射量 | 14.0MJ/㎡ |
| 最多風向 | NE | 雪日数 | 25日 |
| 最大風速 | 32.4m/s(NE 16日) | 霧日数 | 3日 |
| 最大瞬間風速 | 37.7m/s(NE 16日) | 平均気圧(海面) | 981.0hPa |
3.日平均気温の推移および月平均気温の累年値

日平均気温の推移

月平均気温の累年値
4.大気の流れ

南半球月平均500hPa高度および平年偏差
等値線は500hPa高度を表し、間隔は60m。陰影域は平年偏差を表す。平年値は1991-2020年の期間の平均値。
5.南極昭和基地上空のオゾン層と紫外線の状況について
南極昭和基地上空のオゾン層と紫外線の状況についてはオゾン層・紫外線のページを参照してください。
毎月下旬、最新版に更新されます。またオゾン層に関する報道発表を随時行っています。
