平成27年 No.43 週間火山概況 (10月16日~10月22日)

【火山現象に関する警報等の発表状況】

21日に口永良部島の警戒の必要な範囲を新岳火口から概ね2kmの範囲及び新岳火口の西側の概ね2.5kmの範囲とする噴火警報を発表しました。噴火警戒レベル5(避難)は継続しています。また、口永良部島の火山現象に関する海上警報を切り替え、警戒が必要な範囲を新岳火口から半径1.4海里以内の周辺海域に変更しました。その他の火山については、噴火に関する予報警報事項(警戒が必要な事項)に変更はありません。

表1 10月22日現在の火山現象に関する警報等の発表状況

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベル及びキーワード 該当火山
噴火警報 レベル5(避難) 口永良部島※
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 阿蘇山、桜島
入山危険 西之島※
レベル2(火口周辺規制) 雌阿寒岳、吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、箱根山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島※
噴火警報(周辺海域) 周辺海域警戒 福徳岡ノ場※
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 十勝岳、樽前山、倶多楽、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、安達太良山、磐梯山、那須岳、新潟焼山、焼岳、白山、富士山、伊豆東部火山群、伊豆大島、三宅島、九重山、雲仙岳、霧島山(御鉢)、薩摩硫黄島
活火山であることに留意 上記以外の活火山
※印のついた火山は火山現象に関する海上警報も発表中。

図1 噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報及び火山現象に関する海上警報を発表中の火山(10月22日現在)




【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


雌阿寒岳 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動は活発な状態で経過しています。
 ポンマチネシリ火口付近の浅いところを震源とする、身体には感じない程度の微小な火山性地震は17日に一時的に増加するなど(17日:23回)、2015年4月中旬より前の活動と比べて依然としてやや多い状態が続いています(図2)。
 全磁力連続観測では、ポンマチネシリ96-1火口近傍の地下における熱活動の活発化の可能性を示す全磁力の変化が継続しています。
 ポンマチネシリ火口から約500mの範囲では、ごく小さな噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
 雌阿寒岳 火山性地震の発生状況(日回数及び積算回数 2015年1月1日~10月22日)  

図2 雌阿寒岳 火山性地震の発生状況(日回数及び積算回数 2015年1月1日~10月22日)


吾妻山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 大穴火口からの噴気はやや活発な状態が続いています。また、14日から15日に実施した現地調査では、一切経山(いっさいきょうざん)西側の登山道沿いで弱い噴気を観測しました。
 大穴火口周辺で実施している全磁力繰り返し観測では、2014年10月から2015年8月にかけて大穴火口周辺の地下の熱活動の活発化を示す可能性がある変化が観測されています。
 大穴火口付近直下が震源とみられる火山性地震は1回発生しました(前期間1回:図3)。火山性微動は観測されていません。
 浄土平の傾斜計2)では、2014年4月以降緩やかな西側(火口方向側)上がりの変動が継続していましたが、2015年7月頃から停滞しています。GNSS3)連続観測では、2014年9月頃から一切経山の膨張を示す緩やかな変化がみられていましたが、2015年6月頃から停滞しています。
 大穴火口付近では小規模な噴火が発生する可能性がありますので、大穴火口周辺(火口から概ね500mの範囲)では弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、大穴火口の風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)、火山ガスに注意してください。
 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年4月1日~2015年10月22日)  

図3 吾妻山 火山性地震の発生状況(2014年4月1日~2015年10月22日)


草津白根山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 2014年3月上旬から湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加しましたが、2014年8月下旬以降概ねやや少ない状態で経過しています。
 GNSS3)観測によると、湯釜を挟む基線で2014年4月頃からわずかな伸びの変化がみられていましたが、2015年4月頃より停滞しています。また、湯釜周辺に東京工業大学が設置した傾斜計2)によると、2014年3月から湯釜付近浅部での膨張を示す変動が鈍化しながらも継続しています。全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示す変化は、2014年7月以降停滞しています。
 湯釜火口内北東部や北壁及び水釜火口の北から北東側にあたる斜面で熱活動の活発な状態が継続しています。また、東京工業大学によると、2015年9月以降、北側噴気地帯で噴気活動が活発化しています。北側噴気地帯のガス組成及び湯釜湖水の化学成分の活動活発化を示す変化が継続しています。
 小規模な噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1㎞の範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。また、ところどころで火山ガスの噴出が見られ、周辺のくぼ地や谷地形などでは滞留した火山ガスが高濃度になることがありますので、注意してください。


浅間山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。6月19日の噴火以降、噴火は観測されていません。
 山頂火口で、夜間に高感度カメラにより微弱な火映4)を時々観測しています。火口からの噴煙は白色で、火口縁上100m~1,200mで経過しています。噴煙量は6月以降、増加傾向がみられます。
 4月下旬頃から増加している山頂直下のごく浅い所を震源とする体に感じない火山性地震は、多い状態で経過しています。17日には106回を観測しました。(図4)。日地震回数が100回を超えたのは8月1日以来です。
 光波測距観測5)では、6月頃から山頂と追分の間で縮みの傾向がみられており、山頂部のごく浅いところの膨張によるものであると考えられます。傾斜計2)による地殻変動観測では、6月上旬頃からの穏やかな変化が継続しています。国土地理院のGNSS3)の観測でも、5月頃からわずかな伸びがみられます。これらは浅間山の西側のやや深いところを膨張源とする変化によるものと考えられます。
 山頂火口から概ね2kmの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒が必要です。登山者等は危険な地域には立ち入らないよう地元自治体等の指示に従ってください。また、風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。
 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~10月22日)  

図4 浅間山 火山性地震の日別回数(2015年4月1日~10月22日)


御嶽山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 御嶽山では、火山活動は低下した状態が継続しており、2014年10月中旬以降、噴火は観測されていません。山頂火口からの噴煙は、白色で火口縁上50m~1,000mで経過しています。
 火山性地震は、少ない状態で経過していますが、2014年8月以前の状態には戻っていません。
 地殻変動観測では火山活動の高まりを示す変化は観測されていません。
 御嶽山の火山活動は低下した状態が続いており、2014年9月27日と同程度の噴火の可能性は低下していると考えられます。一方、火口列からの噴煙活動や地震活動は続いており、今後も小規模の噴火が発生する可能性があります。
 火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石1)に注意してください。


箱根山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 これまでに実施した現地調査及び大涌谷に設置している遠望カメラによる観測では、大涌谷周辺の噴気活動は、7月はじめの噴火直後の頃よりは低下しているものの、5月上旬頃よりは活発な状態で継続しています。
 火山性地震は少ない状態で経過しています。低周波地震及び火山性微動は観測されていません。
 気象庁と神奈川県温泉地学研究所が設置している傾斜計2)及び気象庁の湯河原鍛冶屋の体積ひずみ計6)では8月以降、火山活動に関連する変動はみられていません。GNSS3)連続観測でみられていた箱根山を挟む基線の伸びは、8月下旬頃から停滞しています。
 地震活動は引き続き低下傾向がみられるものの、4月の活発化以前の程度に戻るまでは、引き続き大涌谷周辺の火口や噴気孔での小規模な噴火の可能性があると考えられます。
 大涌谷周辺の想定火口域では小規模な噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰や風に流されて降る小さな噴石1)や火山ガスに注意してください。地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。
 ※今回の「火口周辺警報」の対象となる火口は「大涌谷周辺」です。


西之島 [火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報]

 18日に第三管区海上保安本部が実施した上空からの観測によると、第7火口から断続的に灰色の噴煙を噴出していました。噴火間隔は約5分間に1回程度で、噴火の継続時間は約1分でした。熱赤外線画像では第7火口付近を中心に高温域が認められました。
 海岸付近に薄い黄緑色の変色水域が分布していました(図5)。
 西之島では、活発な噴火活動が継続しています。また、西之島周辺の海底で噴火が発生する可能性も引き続き考えられ、噴火による影響が海上まで及んだ場合、弾道を描いて飛散する大きな噴石1)や水面を高速で広がるベースサージ7)等の影響が概ね2kmの範囲に及ぶおそれがありますので、西之島の中心から概ね4km以内の範囲では噴火に警戒してください。
 西之島の状況(18日14時29分 第三管区海上保安本部提供)  

図5 西之島の状況(18日14時29分 第三管区海上保安本部提供)


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)及び火山現象に関する海上警報]

 火山性地震はやや少ない状態で経過しています。今期間火山性微動は発生しませんでした。
 国土地理院のGNSS3)観測によると、地殻変動は2014年12月上旬頃から隆起の傾向がみられ、2015年3月頃から隆起速度が上がっています。また、2015年4月中旬頃から西向きの変動速度が上がっていましたが、7月以降は以前の速度まで戻っています。
 硫黄島の島内は全体に地温が高く、多くの噴気地帯や噴気孔があり、過去には各所で小規模な噴火が発生しています。このことから火山活動はやや活発な状態で経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されますので、従来から小規模な噴火が発生した地点(ミリオンダラーホール(旧噴火口)等)及びその周辺では引き続き噴火に警戒してください。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 18日に第三管区海上保安部が実施した上空からの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面に変色水域等は認められませんでした。これまでの観測によると、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されるなど、やや活発な状態で経過しており、今後も小規模な海底噴火が発生すると予想されますので、周辺海域では噴火に警戒してください。


阿蘇山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 阿蘇山では、9月14日の噴火以降、連続的な噴火が発生しています。本日(23日(期間外))02時59分に発生した噴火では、火口周辺に大きな噴石1)が飛散するのを確認しました。また、同日06時02分に発生した噴火では、噴煙が火口縁上1,600mまで上がりました。
 21日に実施した現地調査では、二酸化硫黄放出量は1日あたり300トン(前回6日1,900トン)と少ない状態でした。
 火山性微動の振幅は、19日以降大きな状態で経過しましたが、23日02時27分に発生した噴火以降は概ね小さな状態となっています(図6)。
 GNSS3)連続観測では、深部にマグマだまりがあると考えられている草千里を挟む基線で、8月頃からわずかに伸びの傾向が認められます。
 阿蘇山では活発な火山活動が続いており、当分の間は9月14日と同程度の噴火が発生する可能性があります。中岳第一火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)及び火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るため注意してください。
 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年11月1日~2015年10月22日)  

図6 阿蘇山 火山性微動の30分間平均振幅(2014年11月1日~2015年10月22日)


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震は時々発生しています。火山性微動は観測されていません。
 傾斜計2)では、火山活動に伴う特段の変化は認められません。
 GNSS3)連続観測によると、新燃岳周辺の一部の基線では、わずかに伸びの傾向が認められます。また、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられるマグマだまりの膨張を示す地殻変動は、2013年12月頃から伸びの傾向が見られていましたが、2015年1月頃から停滞しています。
 新燃岳では火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性がありますので、新燃岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき8))が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には、泥流や土石流に注意してください。


桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 昭和火口では、21日と22日にごく小規模な噴火が発生しました。
 南岳山頂火口では、噴火は観測されていません。
 火山性地震、火山性微動はともに少ない状態で経過しました。
 以上のように桜島では低調な活動となっていますが、GNSS3)連続観測によると、姶良カルデラの膨張は続いています。また、長期的には活発な噴火活動が続いてきたことから、今後も活発な噴火活動が継続すると考えられますので、火山活動の推移に注意してください。
 昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)及び火砕流に警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)(火山れき8))が遠方まで風に流されて降るため注意してください。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。


口永良部島 [噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)及び火山現象に関する海上警報]←21日に噴火警戒レベル5(避難)及び火山現象に関する海上警報を切替

 新岳では、6月19日の噴火以降、噴火は発生していません。
 1日あたりの二酸化硫黄放出量は、6月は概ね多い状態でしたが、次第に減少し、9月にはやや少ない状態となりました。
 また、火映4)は5月29日の噴火以降観測されておらず、9月には、新岳火口付近の熱異常域の温度の低下が認められています。
 火山性地震は、8月上旬までは時々多くなりましたが、その後少なくなりました。
 地殻変動観測で3月頃までにみられていた島の隆起を示す変動はその後停滞しており、マグマの上昇を示すような顕著な変化は認められません。
 以上のように火山活動が高まる傾向はみられないことから、5月29日と同程度の噴火が発生する可能性は低くなっているものと考えられます。しかしながら、5月29日の噴火前にみられた島の隆起が維持されていることから、引き続き噴火の可能性があり、火砕流にも警戒が必要と考えられます。
 このため、21日18時00分に噴火警戒レベル5(避難)を切替え、警戒の必要な範囲を新岳火口から概ね2kmの範囲及び新岳火口の西側の概ね2.5kmの範囲としました。
 遠望観測では、白色の噴煙が最高で火口縁上100mまで上がりました。
 火山性地震は少ない状態で経過しています(図7)。火山性微動は観測されていません。
 噴火に伴う大きな噴石1)の飛散が予想される新岳火口から概ね2kmの範囲、及び火砕流の流下による影響が及ぶと予想される新岳火口の西側の概ね2.5kmの範囲では、厳重な警戒(避難等の対応)をしてください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石1)が遠方まで風に流されて降るため注意してください。降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。
 新岳火口から半径1.4海里以内の周辺海域では、噴火による影響が及ぶ恐れがありますので、噴火に警戒してください。
 口永良部島 火山性地震の日別回数(2015年3月1日~10月22日)  

図7 口永良部島 火山性地震の日別回数(2015年3月1日~10月22日)


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 諏訪之瀬島では、今期間噴火は観測されていません。御岳(おたけ)火口では、期間を通して夜間に高感度カメラで見える火映4)を観測しました。
 火山性地震は時々発生しています。火山性微動の振幅は15日(期間外)から20日にかけて大きい状態で経過しましたが、それ以降は小さい状態となっています。
 今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想されますので、火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。



【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】

霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺) [噴火予報(活火山であることに留意)]

 霧島山のえびの高原(硫黄山)周辺では、19日15時45分頃に継続時間約3分30秒の振幅の小さな火山性微動が発生しました。この周辺で火山性微動が発生したのは、2015年9月2日以来です。この火山性微動に伴い、硫黄山の北西がわずかに隆起することを示す傾斜変動を観測しました。
 20日に実施した現地調査では、硫黄山及びその周辺では熱異常域や噴気等は観測されませんでした。
 活火山であることから、規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性がありますので、留意してください。



上記以外の火山では、期間中、火山活動に特段の変化はなく、予報事項に変更はありません。

1) 噴石については、その大きさによる風の影響の程度の違いによって到達範囲が大きく異なります。本文中「大きな噴石」とは「風の影響を受けず弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とはそれより小さく「風に流されて降る小さな噴石」のことです。
2) 火山活動による山体の傾きを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの貫入等により変化が観測されることがあります。1μrad(マイクロラジアン)は1km先が1mm上下するような変化量です。
3) GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般を示す呼称です。
4) 火映は赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象です。
5) レーザーなどを用いて山体に設置した反射鏡までの距離を測定し、山体の膨張や収縮による距離の変化を観測します。
6) センサーで周囲の岩盤から受ける力による体積の変化をとらえ、岩石の伸びや縮みを精密に観測する機器。火山体直下へのマグマの注入等により変化が観測されます。
7) 火山ガスと火山灰等の混合物が、水面や地表面を高速で横方向に広がり、地表の物を巻き込む現象で、人体や建物、船舶等に大きな被害を与える恐れがあり、とても危険です。
8) 霧島山・桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現しています。

注)本資料には速報的な内容を含みます。データについては精査により、後日修正することがあります。
  詳細については、毎月発表の火山活動解説資料を参照してください。

表2 火山現象に関する警報等の発表履歴 (10月16日~10月22日)

発表日時 火山名 特別警報・
警報・予報
概要
21日 18時00分 口永良部島 噴火警報 噴火警戒レベル5(避難)を切り替え警戒が必要な範囲を新岳火口から概ね2kmの範囲及び新岳火口の西側の概ね2.5kmの範囲に設定(噴火警戒レベル5(避難)は継続)
火山現象に関する海上警報 警戒範囲を新岳火口から半径1.4海里以内の周辺海域に変更
毎日 02時から3時間毎に8回 阿蘇山
桜島
口永良部島
諏訪之瀬島
降灰予報(定時) 噴火した場合に予想される、降灰範囲及び小さな噴石の落下範囲を予想
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布予想

【参考】 火山現象に関する警報等と噴火警戒レベル等の対応表

特別警報・警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを運用していない火山に対するキーワード
噴火警報※ レベル5(避難) 居住地域厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(活火山であることに留意) 活火山であることに留意

海底火山については、噴火警報(周辺海域)(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:活火山であることに留意)で発表します。
※印のついた噴火警報は、特別警報に位置づけられています。



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