平成20年 No.42 週間火山概況 (平成20年10月10日 〜 平成20年10月16日)

【火山現象に関する予報及び警報の状況】

 17日(期間外)、雌阿寒岳に噴火予報(平常)を発表し、火口周辺警報(火口周辺危険)から引き下げた。
 その他の火山は、噴火に関する予報警報事項に変更はない。

表1 火山現象に関する予報及び警報の発表履歴(10月10日〜10月17日(期間外含む))

発表日時 火山名 警報・予報 概要
17日10時00分 雌阿寒岳 噴火予報 「火口周辺危険」から「平常」に引下げ
毎日07時、17時 三宅島 火山ガス予報 島内の火山ガスの分布状況

表2 10月17日現在の噴火警報及び噴火予報等の発表状況

警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード* 当該火山
火口周辺警報 レベル2(火口周辺規制) 浅間山、三宅島、霧島山(新燃岳)、桜島、薩摩硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島
火口周辺危険 硫黄島
噴火警報及び火山現象に関する海上警報 周辺海域警戒 福徳岡ノ場
噴火予報 レベル1(平常) 樽前山、有珠山、北海道駒ケ岳、岩手山、吾妻山、草津白根山、御嶽山、富士山、伊豆大島、九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山(御鉢)
平常 上記以外の活火山

噴火警戒レベルは、その活用が地域防災計画等で予め定められており、レベル毎の防災対応をキーワードで示している。噴火警戒レベルを導入していない火山については、警戒事項をキーワードで示している。


図1  噴火警報発表中の火山

図1 噴火警報発表中の火山(10月17日現在)





【警報発表中の火山の活動状況及び警報事項】


雌阿寒岳 [噴火予報(平常)] ←17日(期間外)に火口周辺警報(火口周辺危険)から引下げ

 火山性地震の発生回数は、12日に一時的に増加したが、それ以外は一日あたり10回以下と、3日以降概ね低調に推移している(図2)。火山性微動は観測されていない。ポンマチネシリ火口からは白色の噴煙が火口縁上概ね100m以下で推移し、特段大きな変化はなかった。GPSによる地殻変動観測では変化はみられない。これらのことから、ポンマチネシリ火口周辺に影響を及ぼす噴火の可能性は低くなったと考えられるため、17日(期間外)に噴火予報(平常)を発表し、火口周辺警報を解除した。
 なお、10月15日と16日に実施した現地調査により、ポンマチネシリ火口内の南東側にある複数の噴気孔等で温度上昇や噴気の勢いが若干強まっているのが確認されており、火口内や近傍では火山ガスや火山灰噴出に対する警戒が必要である。


図2 雌阿寒岳 火山性地震の時別回数(2008年10月10日〜10月16日)

1)噴石については、大きさによる風の影響の程度の違いによって飛散範囲が大きく異なる。本文中「大きな噴石」とは、「弾道を描いて飛散する大きな噴石」のことであり、「小さな噴石」とは、それより小さく「風の影響を受ける小さな噴石」のことである。

浅間山 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 山頂火口の噴煙量はやや多い状態が続き、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。また、夜間には高感度カメラ1)により微弱な火映が時々観測されている。
 火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。
 16日に行った現地調査では、二酸化硫黄放出量は一日あたり1,400〜1,600トン(前回10月2日、1,200〜2,500トン)と多い状態が続いている。
 GPSによる地殻変動観測では、7月初め頃から深部へのマグマ貫入を示すわずかな伸びの傾向がみられている。
 浅間山では、依然として火山活動が高まった状態が続いており、山頂火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では大きな噴石2)に警戒が必要である。風下側では、降灰及び小さな噴石1)にも注意が必要である。また、火山ガス放出量の多い状態が続いているので、風下側にあたる登山道等では火山ガスにも注意が必要である。


図3 浅間山 火山性地震の日別回数(2008年4月1日〜2008年10月17日)

2)長野県建設部佐久建設事務所の黒斑山設置カメラ、国土交通省利根川水系砂防事務所の山麓設置カメラ及び気象庁の追分カメラによる。

三宅島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
 16日に行った現地調査では、二酸化硫黄放出量は一日あたり1,400〜2,100トン(前回10月2日、1,100〜1,800トン)と依然として多量の火山ガス放出が続いている。
 三宅島では、山頂火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、山頂火口周辺では噴火に対する警戒が必要である。また、火山ガス予報で予想される地域では火山ガスに対する警戒が必要である。降雨時には泥流にも注意が必要である。


硫黄島 [火口周辺警報(火口周辺危険)]

 独立行政法人防災科学技術研究所及び国土地理院の観測によると、地震活動は落ち着いた状態で経過しているが、2006年8月以降みられている島全体の隆起を示す地殻変動が継続している。
 硫黄島では、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、従来から小規模な噴火が発生した領域では噴火に対する警戒が必要である。


福徳岡ノ場 [噴火警報(周辺海域警戒)及び火山現象に関する海上警報]

 今期間、観測は行われなかった。なお、これまでの海上保安庁海洋情報部、第三管区海上保安本部及び海上自衛隊による上空からの観測で、福徳岡ノ場付近の海面には長期にわたり火山活動によるとみられる変色水等が確認されている。
 福徳岡ノ場では、引き続き小規模な海底噴火が発生すると予想されるので、周辺海域では噴火に対する警戒が必要である。


霧島山(新燃岳) [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震は、少ない状態が続いているが、噴煙量は多い状態が続き、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。
 新燃岳では、山頂火口から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では大きな噴石2)に警戒が必要である。また、風下側では降灰及び小さな噴石2)に注意が必要である。

桜島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震及び火山性微動は少ない状態が続いている。桜島直下にマグマが新たに移動、上昇したことを示す地殻変動は観測されていない。
 国土地理院のGPS観測によると、姶良(あいら)カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入によると考えられる長期的な膨張が続いている。
 桜島では、引き続き南岳山頂火口及び昭和火口から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では大きな噴石2)に警戒が必要である。また、風下側では降灰及び小さな噴石2)(火山れき3))にも注意が必要である。降雨時には泥流や土石流に注意が必要である。

3)桜島では「火山れき」の用語が地元で定着していると考えられることから、付加表現している。

薩摩硫黄島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね100mで推移した。
 火山性地震はやや多い状態が続いている。
 薩摩硫黄島では、硫黄岳山頂火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、火口周辺では警戒が必要である。


口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 火山性地震は少ない状態が続いているが、火山性微動は時々発生している。
 島内に設置した遠望カメラでは、噴気が時々観測され、高さは火口縁上20〜200mで推移した。
 GPSによる地殻変動観測では、9月以降、新岳火口周辺の膨張傾向を示すわずかな変化がみられている。
 口永良部島では、依然として火山活動は高まった状態が続いており、新岳火口から概ね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では大きな噴石2)に警戒が必要である。また、風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石2)にも注意が必要である。


諏訪之瀬島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)]

 御岳(おたけ)火口では、小規模な噴火が時々発生した。
 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
 諏訪之瀬島では、御岳火口から約1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これらの地域では大きな噴石2)に警戒が必要である。


 上記以外の火山では、火山活動に特段の変化はなく、火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合は生命に危険が及ぶ)噴火の兆候はみられない。





【参考】 噴火警報及び噴火予報と噴火警戒レベル等の対応表

警報・予報 噴火警戒レベルとキーワード 噴火警戒レベルを導入していない火山に対するキーワード
噴火警報 レベル5(避難) 居住地域厳重警戒または山麓厳重警戒
レベル4(避難準備)
火口周辺警報 レベル3(入山規制) 入山危険
レベル2(火口周辺規制) 火口周辺危険
噴火予報 レベル1(平常) 平常

※海底火山については、噴火警報(キーワード:周辺海域警戒)と噴火予報(キーワード:平常)で発表する。


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