2007年 No.31 火山の概況 (平成19年7月27日 〜 平成19年8月2日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
7月27日に実施した現地調査では、A火口の温度は約510℃1)(前回6月28日の北海道立地質研究所による観測では約470℃1))と依然として高温状態が続いていた。また、B噴気孔群でも高温の状態が続いていると推定される。
樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いており、地殻変動に特段の変化はなかった。
1)赤外放射温度計または赤外線熱映像装置による。これらの装置は物体が放射する赤外線を感知して温度分布を測定する測器であり、熱源から離れた場所から測定することができる利点があるが、測定距離や大気等の影響で実際の熱源の温度よりも低く測定される場合がある。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
なお、火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、2006年8月に始まった島北部を中心として島全体が大きく隆起している地殻変動は、鈍化しながらも継続しており、島内の地震活動は回数がやや多いものの落ち着いた状況で推移している。
硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、従来から小規模な水蒸気爆発が見られていた領域では、今後も注意が必要である。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
今期間、昭和火口及び南岳山頂火口からの噴火は観測されなかった。
火山性地震は少ない状態が続いており、火山性微動は観測されなかった。
8月1日に行った火山ガス観測では、二酸化硫黄の放出量は一日あたり200〜600トン(前回7月24日 400〜800トン)で、今年5月に始まった昭和火口の噴火以前の状態に戻っている。
国土地理院のGPS観測によると、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張傾向が続いている。
桜島では長期にわたり噴火活動が継続しており、昭和火口及び南岳山頂火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震はやや多い状態が続いている。今期間は天候不良のため硫黄岳山頂火口の噴煙の状況はほとんど確認できなかったが、7月27日に火口縁上100mまで上がるのが観測された。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、硫黄岳山頂火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、新岳しんだけ火口周辺では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(新岳火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島としま村役場諏訪之瀬島出張所によると、7月27日から30日にかけて御岳おたけ火口で小規模な噴火が発生した。7月27日には、噴煙が火口縁上1,000mの高さに達し、集落(御岳の南南西約4km)で少量の降灰が確認された。7月27日から29日にかけて、噴火に伴う火山性連続微動が観測されたほか、火山性地震がやや多くなった。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状態が続いており、御岳火口から半径2km以内では注意が必要である。