2007年 No.9 火山の概況 (平成19年2月24日 〜 平成19年3月1日)
【噴火した火山】
【活発もしくはやや活発な状況の火山】
- ● 樽前山 [やや活発な状況]
- A火口及びB噴気孔群では高温状態が続いていると推定される。
- ● 御嶽山 [やや活発な状況]
- 火山性地震のやや多い状態が続き、山体のわずかな膨張が見られている。
- ● 三宅島 [やや活発な状況]
- 噴煙活動は活発で、多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
- ● 硫黄島 [やや活発な状況]
- 大きな隆起の地殻変動はやや鈍化しながら継続している。
- ● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山活動はやや活発な状況が続いている。
- ● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動のやや多い状態が続いている。
- ● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 噴煙活動はやや活発で、火山性地震のやや多い状態が続いている。
- ● 口永良部島 [やや活発な状況(レベル2)]
- 火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
図1 活動解説を掲載した各火山の今期間の活動状況
注1 本資料で示すレベルは、火山活動度レベルを導入した火山におけるレベルを言う。
注2 記号の意味
▲:噴火した火山
●:活動が活発もしくはやや活発な状況の火山
◇:静穏な状態であるが観測データ等に変化のあった火山、もしくはその他記事を掲載した火山
①②等の丸付き数字:火山活動度レベル
【各火山の活動解説】
● 樽前山 [やや活発な状況]
A火口及びB噴気孔群では依然として高温の状態が続いていると推定される。
樽前山の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
なお、噴煙活動・地震活動は低調な状態が続いている。地殻変動に特段の変化はなかった。
● 御嶽山 [やや活発な状況]
火山性地震はやや多い状態が続いている。今期間、火山性微動は観測されなかった。
気象庁のGPSによる地殻変動観測では、昨年12月以降、御嶽山の膨張を示すと考えられるわずかな伸びの変化が続いている。
御嶽山の火山活動はやや活発な状況が続いており、山頂付近では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(剣ヶ峰けんがみねの南東約14kmに設置)では、噴気などの表面現象に特に異常は見られなかった。
● 三宅島 [やや活発な状況]
噴煙活動は活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上100〜200mで推移した。
火山性地震はやや多い状態が続いている。火山性微動は観測されず、地殻変動に特段の変化はなかった。
今期間は火山ガス観測を行わなかったが、三宅村によると山麓では時々高濃度の二酸化硫黄が観測されており、噴煙活動に大きな変化が見られないことから、依然として多量の火山ガスの放出が続いていると推定される。
三宅島では多量の火山ガスの放出が続いており、特に風下にあたる地区では火山ガスに対する警戒が必要である。また、雨による泥流にも注意が必要である。
● 硫黄島 [やや活発な状況]
国土地理院及び防災科学技術研究所の観測によると、島内の地震活動は落ち着いた状態となっているが、昨年8月頃始まった島北部の元山もとやま地域付近での大きな隆起の地殻変動は、やや鈍化しながら継続している。
硫黄島では火山活動がやや活発な状況となっており、従来から小規模な水蒸気爆発が繰り返されてきた島北部の元山地域を取り囲む円周上の領域(東部や北部の海岸部から阿蘇台陥没孔あそだいかんぼつこうから千鳥ヶ原ちどりがはらにかけて)では、今後も注意が必要である。
● 霧島山(御鉢) [やや活発な状況(レベル2)]
御鉢おはちでは、2月5日に振幅のやや大きな火山性微動が観測され、その後も振幅の小さな火山性微動が時々観測された。
今期間、火山性地震は少なく火山性微動も観測されなかったが、火山活動は現在もやや活発な状況が続いていると考えられ、火口付近では注意が必要である。
● 桜島 [比較的静穏な噴火活動(レベル2)]
南岳山頂火口及び昭和火口からの噴火は発生しなかった。
火山性地震及び火山性微動はやや多い状態が続いている。地殻変動観測では、姶良あいらカルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部へのマグマ注入による長期的な膨張は引き続き観測されている。
桜島では噴火活動が継続しており、南岳山頂火口及び昭和火口から半径2km以内では注意が必要である。
● 薩摩硫黄島 [やや活発な状況 (レベル2)]
硫黄岳山頂火口の噴煙活動はやや活発な状態が続いており、噴煙高度は火口縁上概ね200mで推移した。火山性地震はやや多い状態が続いている。
薩摩硫黄島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
● 口永良部島 [やや活発な状況 (レベル2)]
火山性地震及び火山性微動は消長を繰り返しながらやや多い状態が続いている。
口永良部島の火山活動はやや活発な状況が続いており、火口周辺では注意が必要である。
なお、遠望カメラ(新岳しんだけ火口の北西約3kmに設置)による観測では、新岳火口周辺の噴気等は観測されなかった。地殻変動に特段の変化はなかった。
▲ 諏訪之瀬島 [活発な状況 (レベル3)]
十島村役場諏訪之瀬島出張所によると、23日から28日にかけて小規模な噴火が発生し、噴煙高度は火口縁上300〜500mに達した。
火山性地震、火山性微動ともにやや多い状態が続いており、25日及び27日には噴火に伴う火山性連続微動を観測した。
諏訪之瀬島の火山活動は活発な状況が続いており、御岳おたけ火口から半径2km以内では注意が必要である。