火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第48号
令和2年4月24日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、ごく小規模な噴火が断続的に発生しています。新岳火口
から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及
び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新岳火口では、ごく小規模な噴火が断続的に発生しています。20日以降
、灰白色の噴煙が最高で火口縁上800mまで上がりました。噴火に伴う大
きな噴石や火砕流は観測されませんでした。
 11日以降、高感度の監視カメラで火映を時々観測しています。

 21日から23日にかけて実施した現地調査では、新岳火口西側割れ目付
近の地熱域にわずかな温度の上昇傾向がみられます。
  
 火山性地震は20日は多い状態でしたが、21日以降は少ない状態で経過
しました。火山性地震の震源は、新岳火口及び古岳火口付近の浅い場所と推
定されます。噴火に伴う火山性微動を観測しました。
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は多い状態で経過していま
す。

 GNSS連続観測では、島内の基線において1月頃から伸びがみられます
。
 
 4月20日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸化
硫黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。なお、これらの値は速報
値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
                火山性地震 火山性微動  火山ガス
                           (二酸化硫黄)
 4月20日            10回    3回   -
   21日             4回    0回 2200トン
   22日             2回    0回 1300トン
   23日             1回    0回 2500トン
   24日15時まで        3回    0回 1600トン
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、東京大学大学院理学系研究科、京都
大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測によるものです。天候不良や観
測条件が悪いなど観測値が得られなかった日は「-」としています。
 
 口永良部島では、噴火活動が継続している中で、火映が観測されるなど熱
活動も高まっている状態が確認されています。今後の火山情報に注意してく
ださい。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、27日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。