火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第138号
平成30年12月19日16時20分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、ごく小規模ながら噴火が継続しています。引き続き昨日
と同程度の規模の噴火の可能性がありますので、新岳火口から概ね2kmの
範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒し
てください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、昨日(18日)16時37分に新岳火口で火砕流を伴う
噴火が発生しました。噴火はごく小規模ながら現在も継続しており、引き続
き昨日と同程度の規模の噴火の可能性があります。

 本日(19日)実施した現地調査及び聞き取り調査では、屋久島と南種子
町の一部で降灰が確認されました。
 
 本日、第十管区海上保安本部の協力により実施した上空からの観測では、
新岳の西側約1km及び東側数百m付近まで火砕流の痕跡を確認しました。
観測中、わずかに感じる程度の火山ガスによる臭気が認められました。
 
 火山性地震は、噴火以降増加しましたが、昨日22時以降は減少していま
す。噴火に伴う火山性微動が昨日発生しました。

 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、やや多い状態で経過しています。

 GNSS連続観測では、島内の長い基線では緩やかな伸びがみられていま
したが、11月以降、鈍化もしくは停滞したと考えられます。
 
 12月13日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と東京大学大学院
理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測による火山
ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。いずれも速
報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震 火山性微動 火山ガス
                        (二酸化硫黄)
 12月13日       15回    7回  100トン
    14日        7回    0回  200トン
    15日        7回    0回    -
    16日       23回    0回    -
    17日       31回    0回    -
    18日      110回    6回  200トン
    19日15時まで   6回    0回   調査中
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、天候不良や観測条件が悪いなど観測
値が得られなかった日は「-」としています。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、21日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。