火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第89号 平成30年6月20日18時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 本日(20日)、第141回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新 燃岳)の火山活動について検討を行い、結果を以下のとおり取りまとめまし た。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果 新燃岳では3月1日から噴火が始まり、3月6日から9日にかけて溶岩が 火口内に噴出し、一部は北西側火口縁を越えて外側斜面に流出しました。広 域のGNSS連続観測では、2017年7月頃から膨張が続いていた地盤が 、溶岩の噴出時期に収縮したことが観測されました。3月9日からは爆発的 噴火が活発になり、3月中旬以降は噴火の間隔は次第に長くなりました。5 月14日を最後に噴火は発生していません。 新燃岳では、噴火活動は3月の溶岩噴出時期に比べて次第に低下してきて いますが、地震活動は3月の噴火以前より高い状態を保っていますので、噴 火を繰り返す可能性があります。 また、広域のGNSS連続観測では、3月の新燃岳の溶岩噴出時期の収縮 後、再び膨張傾向を示す変化がみられており、深部のマグマの蓄積を反映し ていると推定されます。霧島山の火山活動の長期化や活動のさらなる活発化 も視野に入れて、引き続き慎重に火山活動の変化を監視する必要があります 。 2.防災上の警戒事項等 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概 ね2kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範 囲では警戒してください。 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流 されて降るおそれがあるため注意してください。 2011年と同様に爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れ るなどのおそれがあるため注意してください。 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。また、地元自治体 等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。 なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性があり ますので留意してください。