火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第32号
平成29年10月26日16時20分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 10月25日から10月26日15時までの霧島山(新燃岳)の活動状況
をお知らせします。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、火山活動がやや高まった状態が続いています。
 
 本日(26日)、実施した現地調査では、新燃岳の西側斜面の割れ目付近
と割れ目下方の噴気や熱異常域の状態に、特段の変化は認められませんでし
た。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あたり60トンで前回(23
日、1日あたり50トン)と変化はありませんでした。
 
 監視カメラによる観測では、白色の噴煙が火口縁上100mまで上がりま
した。
 
 新燃岳付近の火山性地震は、昨日(25日)は8回、本日は15時までに
1回発生しました。 
 火山性微動は、観測されていません。
 
 地殻変動観測では、新燃岳の明瞭な山体膨張を示す傾斜変動は認められま
せんが、GNSS連続観測によると、7月頃から霧島山を挟む基線で伸びの
傾向がみられており、霧島山の深い場所で膨張している可能性があります。
 
 えびの岳付近(新燃岳の北西6km付近)の火山性地震は、昨日は1回発
生しました。本日15時までは観測されていません。この付近は、2011
年の新燃岳の噴火でマグマを供給したと推定される領域です。
 
 新燃岳では、当面、火山灰を噴出する噴火の発生が考えられます。また、
今後、多量のマグマが新燃岳直下ヘ供給されれば、規模の大きな噴火が発生
する可能性もあります。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口から概ね3kmまで、火砕流が概
ね1kmまで達する可能性があります。そのため、火口から概ね3kmの範
囲では警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流さ
れて降るおそれがあるため注意してください。
 地元自治体等が発表する火山ガスの情報にも留意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあ
るため注意してください。また、降雨時には土石流に注意してください。
 
 次の火山の状況に関する解説情報は、27日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、噴煙が火口縁上2000m以上に上がった場合や、火山活動の状況
に変化があった場合には、随時お知らせします。