火山名 草津白根山 火山の状況に関する解説情報 第50号
平成28年12月9日16時00分 気象庁地震火山部

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>
 12月2日から12月9日15時までの草津白根山の活動状況をお知らせ
します。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 火山活動はやや活発な状態で経過しています。
 湯釜火口の北から北東内壁及び水釜火口の北から北東側にかけての斜面で
の熱活動や、北側噴気地帯での活発な噴気活動が継続しています。東京工業
大学によると、北側噴気地帯のガス組成と湯釜湖水の化学成分には火山活動
の活発化を示す変化が引き続きみられ、湯釜の水温は平年よりも高い状態が
続いています。
 GNSS連続観測によると、2014年4月頃からみられる湯釜を挟む基
線のわずかな伸びの変化は、2015年11月頃より停滞しています。湯釜
周辺に設置している東京工業大学の傾斜計によると、2014年3月から湯
釜付近浅部での膨張を示すと考えられる変動が観測されていましたが、20
15年10月頃から停滞または収縮を示すと考えられる変動に変化していま
す。
 全磁力観測によると、2014年5月以降の湯釜近傍地下の温度上昇を示
すと考えられる変化は、2014年7月以降停滞しています。
 湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震は少ない状態で経過してい
ます。

 火山性地震の発生回数(速報値を含む)は以下のとおりです。
             火山性地震
 12月 2日         1回
     3日         3回
     4日         0回
     5日         1回
     6日         1回
     7日         0回
     8日         0回
     9日(15時まで)  2回
  
 遠望カメラによる噴気などの状況等他のデータには特段の変化はみられて
いません。

2.防災上の警戒事項等
 湯釜火口から概ね1キロメートルの範囲では、小規模な噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体等の指示に従っ
て危険な地域には立ち入らないでください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 また、ところどころで火山ガスの噴出が見られます。周辺のくぼ地や谷地
形などでは高濃度の火山ガスが滞留する事がありますので、注意してくださ
い。

  次の火山の状況に関する解説情報は、16日(金)16時頃に発表の予定
です。
  なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>