火山名 全国の活火山 火山の状況に関する解説情報 第14号 平成26年10月23日20時40分 気象庁地震火山部 **(本 文)** 本日、第130回火山噴火予知連絡会を開催し、全国の火山活動について 検討を行いました。現在までの全国の火山活動の評価のほか、御嶽山、口永 良部島、桜島、霧島山の火山活動について特に重点的に検討を行い、結果を 以下のとおりとりまとめました。その他の火山については気象庁ホームペー ジを参照ください。 1.主な火山活動の状況 ※※阿蘇山の火山の活動状況を訂正します※※ 御嶽山〔火口周辺警報(噴火警戒レベル3)〕については、別に「御嶽山 の火山活動に関する検討結果」として取りまとめましたので、御嶽山 火山 の状況に関する解説情報第184号を参照ください。 口永良部島〔火口周辺警報(噴火警戒レベル3)〕については、別に「口 永良部島の火山活動に関する検討結果」として取りまとめましたので、口永 良部島 火山の状況に関する解説情報第39号を参照ください。 桜島〔火口周辺警報(噴火警戒レベル3)〕昭和火口の噴火活動は、活発 な状態で経過しました。爆発的噴火は8月下旬から増加し、今期間265回 (10月13日まで)発生し、噴火による噴煙の最高の高さは火口縁上4, 500メートル、大きな噴石が最大3合目(昭和火口より1,300から1 ,800メートル)まで達しました。また、火口周辺にとどまるごく小規模 な火砕流が1回発生しました。 地殻変動観測では、桜島島内で山体が隆起・膨張する傾向がみられました が、2014年7月頃から沈降する傾向がみられます。また、姶良カルデラ 深部の膨張は、停滞していますが、長期的には膨張が進行してきており、引 き続き活発な噴火活動が継続すると考えられますので、火山活動の推移に注 意してください。昭和火口及び南岳山頂火口から概ね2キロメートルの範囲 では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してく ださい。 西之島〔火口周辺警報(入山危険)〕2013年11月20日に南東海上 での噴火が確認された西之島では、噴火による噴石等の堆積や溶岩の流出が 継続しています。新たな陸地(西之島と接続した新島部分)の拡大の継続が 確認されており、旧島のほとんどを埋没させています。2014年10月1 6日時点で、新たな陸地の面積は約1.85平方キロメートルになっていま す。 西之島では噴火活動が継続しており、新たな陸地、旧島及びそれらの付近 の海域では噴火に警戒してください。また、周辺海域では浮遊物に注意して ください。 霧島山(新燃岳)〔火口周辺警報(噴火警戒レベル2)〕GNSS観測に よると、新燃岳の北西数キロメートル地下深くにあると考えられるマグマだ まりの膨張を示す地殻変動は、2011年12月以降鈍化・停滞していまし たが、2013年12月頃から伸びの傾向がみられます。 新燃岳火口直下を震源とする地震は概ね少ない状態で経過しました。 新燃岳では火口周辺に影響のある小規模な噴火が発生する可能性がありま すので、新燃岳火口から概ね1キロメートルの範囲では、噴火に伴う弾道を 描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。 霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)〔噴火予報(平常)〕2013年1 2月以降、韓国岳付近、韓国岳北東側、硫黄山付近で火山性地震が時々発生 しています。2014年8月20日に硫黄山付近を震源とする継続時間約7 分間の火山性微動が発生しました。微動の発生に伴い傾斜計に硫黄山の北西 が隆起するような変動が観測されました。 えびの高原(硫黄山)周辺では、火山活動が高まっていますので、今後の 推移に注意する必要があります。また、噴気や火山ガスなどが突然噴出し、 今後状況によっては噴火が発生する可能性があります。 阿蘇山〔火口周辺警報(噴火警戒レベル2)〕2014年8月27日以降 孤立型微動や火山性地震が増加しています。中岳第一火口では、火口底の一 部で赤熱を観測し、中央部付近の噴気孔は温度の高い状態となるなど火口内 の熱活動が高まっています。8月30日から9月1日、9月6から7日に中 岳 第一火口のごく小規模な噴火が時々発生しました。 以上のように中岳第一火口の火山活動が高まっていることから、中岳第一 火口から概ね1キロメートルの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する 大きな噴石に警戒してください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さ な噴石に注意してください。 草津白根山〔火口周辺警報(噴火警戒レベル2)〕2014年3月上旬か ら湯釜付近及びその南側を震源とする火山性地震が増加し、地殻変動観測に よると湯釜付近の膨張を示す変動が認められています。湯釜火口内北東部や 北壁及び水釜火口の北から北東側にあたる斜面で熱活動の活発な状態が継続 しており、2014年5月頃からは湯釜近傍地下の温度上昇を示すと考えら れる全磁力変化がみられています。また、北側噴気地帯のガス成分にも活動 活発化を示す変化がみられます。 以上のように、草津白根山の火山活動は活発化しており、今後、小規模な 噴火が発生する可能性があることから、湯釜火口から概ね1キロメートルの 範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください 。 蔵王山〔噴火予報(平常)〕2014年8月から10月にかけて火山性微 動が9回発生し、8月には火山性地震もやや多い状況となりました。火山性 微動発生時には、傾斜変動がみられることがありました。10月8日と19 日に御釜内において軽微な変色域の一時的な発生が確認されました。201 3年1月以降、地震活動の高まりがみられており、過去の活動期には突発的 な噴気孔の生成、火山ガスや泥の噴出等の現象もありましたので、観光や登 山で近づく際には十分に注意してください。 最新の噴火警報、噴火予報の発表状況は気象庁ホームページでご確認くだ さい。 http://www.jma.go.jp/jp/volcano/ 2.噴火警報、噴火予報の発表状況 御嶽山 :火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制) 桜島 :火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制) 口永良部島 :火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制) 草津白根山 :火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) 三宅島 :火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) 阿蘇山 :火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) 霧島山(新燃岳):火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) 諏訪之瀬島 :火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制) 西之島 :火口周辺警報(入山危険) 硫黄島 :火口周辺警報(火口周辺危険) 福徳岡ノ場 :噴火警報(周辺海域) (周辺海域警戒) 噴火予報発表火山(噴火警戒レベル対象火山) 以下の活火山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)] 雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳、秋田焼山、岩手山、 秋田駒ヶ岳、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、浅間山、新潟焼山、 焼岳、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、九重山、雲仙岳、霧 島山(御鉢)、薩摩硫黄島 噴火予報発表火山(噴火警戒レベル対象外火山) 以下の活火山[噴火予報(平常)] 知床硫黄山、羅臼岳、天頂山、摩周、アトサヌプリ、雄阿寒岳、丸山、大 雪山、利尻山、恵庭岳、倶多楽、羊蹄山、ニセコ、恵山、渡島大島、恐山 、岩木山、八甲田山、十和田、八幡平、鳥海山、栗駒山、鳴子、肘折、蔵 王山、沼沢、燧ヶ岳、高原山、日光白根山、赤城山、榛名山、横岳、妙高 山、弥陀ヶ原、アカンダナ山、乗鞍岳、白山、利島、新島、神津島、御蔵 島、八丈島、青ヶ島、ベヨネース列岩、須美寿島、伊豆鳥島、孀婦岩、海 形海山、海徳海山、噴火浅根、北福徳堆、南日吉海山、日光海山、三瓶山 、阿武火山群、鶴見岳・伽藍岳、由布岳、福江火山群、霧島山、米丸・住 吉池、若尊、池田・山川、開聞岳、口之島、中之島、硫黄鳥島、西表島北 北東海底火山、茂世路岳、散布山、指臼岳、小田萌山、択捉焼山、択捉阿 登佐岳、ベルタルベ山、ルルイ岳、爺爺岳、羅臼山、泊山