火山名  御嶽山  火山の状況に関する解説情報  第184号
平成26年10月23日19時30分  気象庁地震火山部

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況
火山噴火予知連絡会の検討結果
 本日(23日)、第130回火山噴火予知連絡会が開催され、御嶽山の火
山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめました。

御嶽山の火山活動に関する検討結果

 御嶽山の火山活動には低下傾向がみられるものの、今後噴気活動や地震活
動等が活発化する場合には、火口周辺に大きな噴石を飛散させ、火砕流を伴
うような噴火が発生する可能性があります。

 御嶽山では、9月27日に水蒸気噴火が発生しました。噴火は剣ヶ峰山頂
の南西側に新たに形成された北西から南東に伸びる火口列で発生し、大きな
噴石が火口列から約1キロメートルの範囲に飛散しました。また、火砕流が
発生し、火口列から、南西方向に約2.5キロメートル及び北西方向に約1
.5キロメートル流下しました。火砕流は発生しましたが、地獄谷付近では
樹木が焦げたような痕跡は認められませんでした。
 9月27日以降、活発な噴煙活動と連続的な火山灰の放出が続きましたが
、10月11日以降は火山灰を含む有色の噴煙は観測されず、噴煙活動も徐
々に低下してきています。
 二酸化硫黄の放出量は、噴火発生直後から10月3日までは1日あたりお
よそ500トンから1500トンと多い状態で推移しましたが、その後は1
日あたりおよそ100トンから500トンとやや少ない状態となっています
。
 火山性微動は振幅の増減を繰り返していましたが、10月7日以降は検知
できない程度の大きさになっています。火山性地震は噴火発生直後には多発
しましたが、その後は次第に減少してきています。
 御嶽山東麓の水準測量では、2006年から2013年にかけて隆起が観
測されていましたが、噴火後の測量で沈降が観測されました。なお、傾斜計
でも、噴火直前に山側上がりの変化がみられ、噴火とともに山側下がりとな
りました。
 以上のことから、火山活動には低下傾向がみられるものの、火口列からの
噴煙活動や地震活動が続いており、今後も小規模な噴火が発生する可能性が
あります。
 また、噴気活動や地震活動等が活発化する場合には、火口周辺に大きな噴
石を飛散させ、火砕流を伴うような噴火となる可能性があります。積雪期に
火砕流が発生したり、熱水が流出したりした場合には、火山泥流が発生する
可能性があります。
 今後も噴気活動や地震活動、地殻変動等のデータを注意深く見守る必要が
あります。
 引き続き、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒し
てください。風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意してく
ださい。爆発的噴火に伴う大きな空振に注意してください。また、降雨時に
は土石流の可能性がありますので注意してください。

2.防災上の警戒事項等
 御嶽山では、今後も噴火が発生する可能性があります。
 火口から4キロメートル程度の範囲では大きな噴石の飛散や火砕流に警戒
してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそ
れがあるため注意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあ
るため注意してください。また、降雨時には土石流の可能性がありますので
注意してください。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>