火山名  霧島山(新燃岳)  火山の状況に関する解説情報  第115号
平成23年10月11日18時30分  福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況
火山噴火予知連絡会の検討結果
 本日(11日)、第121回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新
燃岳)の火山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめまし
た。

 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果

 新燃岳では、間欠的に噴火が発生しています。新燃岳の北西地下深くのマ
グマだまりには深部からのマグマの供給が続いており、今後噴火活動が再び
活発化する可能性があります。

 霧島山(新燃岳)では、1月26日から本格的なマグマ噴火が始まり、多
量の火山灰等を放出する噴火活動があり、火口内に溶岩が噴出、爆発的な噴
火が繰り返されました。4月18日以降約2ヶ月間噴火が発生しませんでし
たが、6月16日以降、間欠的に噴火が発生しており、数時間から1週間程
度継続する噴火が7回発生しました。
 新燃岳直下の火山性地震はやや多い状態が継続しています。1日あたりの
二酸化硫黄の放出量は、噴火中や噴火直後は1日あたり1000から200
0トン程度と増加しましたが、それ以外は200から400トン程度と少な
い状態で経過しています。
 GPS観測によると、新燃岳の北西数kmの地下深くにあると考えられる
マグマだまりは、1月26日から2月1日の本格的なマグマ噴火に対応して
急激に収縮したものの、再び緩やかな膨張を続け、現在、その膨張量は、本
格的なマグマ噴火の際の収縮量の半分以上となっています。
 新燃岳周辺の地震活動には、顕著な変化は認められません。

 以上のように、新燃岳では、噴火を繰り返しており、引き続き、2月中旬
以降発生した程度の爆発的噴火の可能性はあります。新燃岳の北西地下深く
のマグマだまりへのマグマの供給は続いており、今後、噴火活動が再び活発
化する可能性があります。深部のマグマだまりから新燃岳へ多量のマグマが
上昇すれば、今年1月下旬から2月上旬の本格的な噴火に匹敵する活動を再
開することも考えられます。
 引き続き、新燃岳付近では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に
警戒が必要です。風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石
(火山れき)に注意が必要です。また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意
が必要です。
 噴火警報等及び霧島山上空の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報にご注意く
ださい。

2.防災上の警戒事項等
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石に警戒が必要です。
 風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山れき)に
注意が必要です。これまでの噴火では、風に流されて直径4cm程度の小さ
な噴石(火山れき)が新燃岳火口から10kmを超えて降りました。
 また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等及び霧
島山上空の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意して
ください。
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>