火山名  霧島山(新燃岳)  火山の状況に関する解説情報  第75号
平成23年6月7日18時30分  福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本  文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況
火山噴火予知連絡会の検討結果
 本日(7日)、第120回火山噴火予知連絡会が開催され、霧島山(新燃
岳)の火山活動について検討を行い、結果を以下のとおりとりまとめました
。

 霧島山(新燃岳)の火山活動に関する検討結果

 新燃岳の噴火活動は低下してきています。しかし、新燃岳の北西地下深く
のマグマだまりには深部からのマグマの供給が続いており、マグマだまりか
ら新燃岳へ多量のマグマが上昇すれば、噴火活動が再び活発化する可能性が
あります。

 霧島山(新燃岳)では、1月26日から本格的なマグマ噴火が始まり、多
量の火山灰等を放出する噴火活動があり、火口内に溶岩が噴出、爆発的な噴
火が繰り返されました。
 新燃岳の噴火は、2月中旬以降、最盛期に比べ規模や頻度は低下しながら
も4月18日まで続きましたが、それ以降は発生していません。新燃岳直下
のマグマの動きを反映していると推定される山体がわずかに膨張して元に戻
る傾斜変化も5月1日以降見られなくなり、浅部の火山性地震の回数も5月
以降はやや減少しています。
 また1日あたりの二酸化硫黄の放出量も数百トン以下と少ない状態で経過
しています。
 一方、GPS観測によると、1月26日から2月1日の本格的なマグマ噴
火に対応して急激に収縮した新燃岳の北西数kmの地下深くのマグマだまり
は、現在も2009年12月以降と同程度の割合で緩やかな膨張を続けてい
ます。
 新燃岳周辺の地震活動には、顕著な変化は認められません。

 以上のように、新燃岳の噴火活動は低下してきています。しかしながら、
新燃岳の北西地下深くのマグマだまりへのマグマの供給は続いています。マ
グマだまりから新燃岳へ多量のマグマが上昇すれば、噴火活動が再び活発化
し、1月下旬から2月上旬の本格的な噴火に匹敵する活動を再開することも
考えられます。
 引き続き、2月中旬以降発生した程度の爆発的噴火の可能性はありますの
で、新燃岳付近では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必
要です。風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山れ
き)に注意が必要です。また、爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要で
す。
 噴火警報等及び霧島山上空の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報にご注意く
ださい。

2.防災上の警戒事項等
 新燃岳火口から概ね3kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する
大きな噴石に警戒が必要です。
 風下側では降灰及び遠方でも風に流されて降る小さな噴石(火山れき)に
注意が必要です。これまでの噴火では、風に流されて直径4cm程度の小さ
な噴石(火山れき)が新燃岳火口から10kmを超えて降りました。また、
爆発的噴火に伴う大きな空振に注意が必要です。噴火警報等及び霧島山上空
の風情報に注意してください。
 降雨時には泥流や土石流に警戒が必要です。降雨に関する情報に注意して
ください。

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>