乗鞍岳[のりくらだけ] Norikuradake【常時観測火山】
北緯 36°06′23″ 東経 137°33′13″ 標高 3,026m (剣ヶ峰)(三角点・乗鞍岳) |
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![]() 乗鞍岳全景 東北東側から 2003年12月10日 気象庁撮影 |
概要
乗鞍岳は、ほぼ南北に連なる基盤岩の高まりに沿って複数の火山体が並ぶ複合成層火山体であり、千町火山体(古期乗鞍火山)、及び烏帽子火山体、高天ヶ原火山体、四ッ岳火山体、恵比須火山体、権現池火山体(以上、新期乗鞍火山)に区分できる。安山岩・デイサイトの溶岩ドーム、溶岩流を主体とし、山麓には緩傾斜地が広がっている。山頂部には火口湖、せき止め湖など多くの池がある。山頂部に噴気地帯は存在しない。安山岩・デイサイトのSiO2 量は53.7~69.6wt.%である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
乗鞍岳で過去1万年間に活動した火口は剣ケ峰・権現池付近で、過去1万年間に少なくとも計14回の噴火があったことが明らかになっている。約9600年前と約9200年前に剣ヶ峰で噴火が起こり、約9600年前の噴火では火山砂の噴出、約9200年前の噴火では火山灰、スコリアの噴出や火砕流の発生があったと考えられる。なお、約9200年前の噴火では剣ヶ峰の西方に岩井谷溶岩が流下したとも考えられている。これらの活動以降は水蒸気噴火がたびたび発生しており、約7300年前より新しい時期に火山灰を堆積させる噴火が少なくとも9回あったことが明らかになっている。(なお、噴出物の分析から、9回のうち1回はマグマが関与した噴火であった可能性がある。)
堆積物から、最近1万年間の平均噴火間隔は約700~800年程度であり、最新の噴火は約500年前である。噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 乗鞍岳 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)、乗鞍岳火山防災避難計画(乗鞍岳火山防災協議会)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、乗鞍岳の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 乗鞍岳の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 乗鞍岳の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。