樽前山 有史以降の火山活動

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代 現象 活動経過・被害状況等
▲1667(寛文7)年 大規模:マグマ噴火 9月23日20時過ぎ、下北半島田名部で鳴動が4~5回あり。
24~26日、断続的噴煙が上がる(プリニー式噴火)。降下火砕物(Ta-b)が東方に広く堆積し、 苫小牧北方で約2m、十勝平野でも数cmに達した。山麓には主な火砕流が2回流下して錦多峰川上流の口無沼、 樽前川下流の森田沼などの堰止め湖を形成した可能性が高い。
総噴出物量2.8km3、マグマ噴出量1.1DREkm3。(VEI5)
▲1739(元文4)年 大規模:マグマ噴火 8月16日に地震があり、18~30日に噴火が断続した(プリニー式噴火)。 そのうち2~3日間は周辺が暗くなるほどの降灰があり、末期で特に鳴動が強かった。 降下火砕物(Ta-a)が北東方に広く堆積し、千歳空港付近で約1m、大雪山地域で数cm。 山麓には主な火砕流が4回流下して最大10kmの範囲に分布、北麓と北西麓では支笏湖に流入した。 火砕堆積物は9層からなり、最下層は小規模な降下火山灰で、最上位は分布・層厚とも最大で末期に 鳴動が強かったことと調和的。山頂部に直径1.2×1.5kmの外輪山(小型カルデラ)が形成された。
総噴出物量4km3、マグマ噴出量1.6DREkm3。(VEI5)
▲1804~1817(文化年間)年 中規模:マグマ噴火 山頂から噴火(文化年間のある時期に噴火があった)。 降下火砕堆積物は北東側に分布(植苗で層厚2-3cm)。死傷者多数とする文献もあり。
総噴出物量0.05km3、マグマ噴出量0.02DREkm3。(VEI3)
▲1867(慶応3)年 マグマ噴火 秋頃、地震と音響があり、山頂から火柱、黒煙を上げる(噴火)。中央火口丘及び古い溶岩ドームを形成。 白老で厚さ5~9cmの降灰・降礫。
▲1874(明治7)年 中規模:マグマ噴火 2月8~10日、山頂から噴火。北西側、北東側及び南側に火砕流が流下した。 噴煙は太平洋上及び日高方面に及び、降灰は主に南方であり、苫小牧市錦岡付近で層厚約45cm。
16日にも鳴動を伴う噴火があり、札幌で降灰。古い溶岩ドームを破壊し、直径約180mの火口を生じた。
総噴出物量0.025km3、マグマ噴出量0.01DREkm3。(VEI3)
▲1883(明治16)年 水蒸気噴火 10月7日、山頂から小噴火。噴火口の周囲決壊。
18日19時頃、山頂から小噴火。苫小牧駅付近で少量の降灰。

11月5日、山頂から小噴火。降灰降石あり。中央火口南麓に長さ50m高さ20mの小丘を形成。札幌にも降灰。
▲1885(明治18)年 水蒸気噴火 1月4日16:30頃、山頂から噴火。黒煙2~10kmまで上昇し、樽前集落や鵡川(むかわ)方面に降灰。
8日11時、10日18時にも小噴火。

3月26日18:30、山頂から噴火。噴煙の規模は1月の噴火よりやや小さかった。
▲1886(明治19)年 水蒸気噴火 4月13日夜明け前、山頂から噴火。噴煙の高さ約360m、北東12kmまで降灰(厚さ0.6~1.0cm)
15日14時、山頂から噴火。噴煙の高さ13日と同じ。南東約8kmまで降灰。16日にも噴火あり。
28日04:30頃、山頂から噴火。樽前村から勇払村の沿岸20~24kmで降灰。
▲1887(明治20)年 水蒸気噴火 9月3日09:30頃から遠雷のような響きあり、45分頃山頂から噴火。噴煙の高さ約3600m。

10月7日17:50、山頂から噴火(約10分間継続)。噴煙の高さは約2700m、北東に流れ、 苫小牧村にわずかな降灰(草葉に痕跡程度)。8日にも山頂から噴火、苫小牧に降灰。
▲1894(明治27)年 水蒸気噴火 2月8日、山頂から噴火。鳴動、降灰あり。

8月17日18時頃、山頂火口内西側から噴火。噴煙量は平常時の10倍に増加。
▲1909(明治42)年 中規模:マグマ噴火 1月~5月:約3ヶ月間小規模な噴火と鳴動が断続し、2回の爆発的噴火の後、溶岩ドームが形成された。 活動経過は以下の通り。
11日夜、山頂に火柱。
22日夜、山麓で降灰。

2月6日09時、鳴動と噴煙。
10日15時頃、大砲のような音響2回、東山麓に降灰。
18日13時、噴煙高く上がる(降灰なし)。

3月3日11時、15時、16時に地鳴り。
30日、06時から約1時間砲声のような鳴動があり、07時30分頃従来の火口内北部で爆発。 噴煙の高さは約7600m、南~東の空が約2時間噴煙に覆われた。火口付近には大きいもので直径2m、 通常15cmの噴石、降灰砂。山麓、苫小牧、社台、太平洋上の漁船に降灰。

4月12日の噴火では、電光とともに黒煙立ち昇る。噴煙量は3月30日の10倍。1回目の爆発では南側に火山弾を飛ばし、2回目は北東~東に飛ばした。山麓で径22cmの軽石。支笏湖畔で砂状の降灰。
13~16日、噴煙、強い鳴動、山麓で降灰2回
17~19日の間に現在の溶岩ドーム生成。

5月2日、溶岩ドームの成長ほぼ止まり、頂部は平坦になり、南側に小突起を生じる。最大径450m、比高134m、 ドーム温度457℃。
15日、鳴動とともに噴火、支笏湖方面一帯に降灰。ドーム南東麓にドーム南東亀裂とA火口生じる。
総噴出物量0.02km3、マグマ噴出量0.02DREkm3。(ドーム)
▲1917(大正6)年 水蒸気噴火 4月30日15:05、遠雷の轟くような鳴動とともにドーム南東亀裂、A火口、E火口から噴火。 噴煙が約780m上昇。苫小牧で降灰。

5月12日10:20、轟音とともにドーム南東亀裂、D火口、E火口から噴火。噴煙5000mまで上昇。 鳴動30分以上。苫小牧市街の戸障子ピリピリ振動。溶岩ドームの比高126mに低下。山麓、支笏湖畔、早来で降灰。
▲1918(大正7)年 水蒸気噴火 6月13日07:30頃、小噴火。鳴動約8分間。支笏湖畔モラップ方面に小量の降灰。
▲1919(大正8)年 水蒸気噴火 5月4日14:40頃、小噴火。噴煙高度約1500m。錦岡、白老に多量の降灰。苫小牧でわずかに降灰。 前日10時頃山麓一部に地震を感じた。
▲1920(大正9)年 蒸気噴火 7月17日18:20、震動、噴煙があり噴火。D火口は直径80m、深さ100mに拡大。22日24時頃にも約1時間 にわたり火煙を上げ、鳴動とともに小噴火。山麓、白老で降灰。
▲1921(大正10)年 水蒸気噴火 7月6日03:20、小噴火。約30分間の鳴動。山麓、苫小牧市外地で降灰。
▲1923(大正12)年 水蒸気噴火 2月21日06:00と06:45、ドーム南東亀裂で2回の小噴火。苫小牧に多量の降灰。2月半ばから噴煙量が平素 の1/3に減少していた。

6月17日13:40頃、噴火。約10分間鳴動。14:30頃から札幌にも降灰。
29日21:40頃、大音響とともに噴火。鳴動約20分間、苫小牧地方の戸障子は倒れんばかりに震動。 早来・追分降灰。

7月13日午後、14日夕刻各1回小噴火。

8月12日、噴石で札幌の小学校教師2名負傷。
▲1926(大正15)年 水蒸気噴火 10月19~30日、溶岩ドーム北西側新火口、ドーム南東亀裂、B・C火口から爆発的噴火6回。 北東-南西の主亀裂が拡大、ドーム北西斜面に新たな亀裂、ドーム南東亀裂が拡大、南西斜面に小亀裂を生じた。
19日04:30頃から噴煙量増加、05時頃噴火、山麓一帯に有感地震、幌別付近に15~20cmの降灰、 札幌郊外に降灰。その後、07時、07:10、08:40、09:30にも噴火。
20日03:30、05:30に小噴煙。
21日09:23に黒煙が立ちのぼる。
24日04:30頃、爆発音、火炎を伴い噴火、その後05:10、05:25、05:32に噴火。
26日夜明け前、轟音とともに爆発、火柱、電光、噴煙高度約1000m。
30日06:30と35分、鳴動とともに噴火、噴煙高度約2000m、爆発音は札幌まで聞こえた。 山麓に直径1.0~2.5cmの溶岩片、降灰はオホーツク海沿岸の渚滑(北東240km)に及ぶ。
▲1928(昭和3)年 水蒸気噴火 1月4日11時頃、黒みを帯びた噴煙が上昇。
7日09時と16:30頃、平常の3倍の黒煙が上昇、支笏湖畔で鳴動。

9月6日、爆発。

10月25日、爆発。
1929(昭和4)年 噴煙 2月10日、噴煙多量。
1931(昭和6)年 噴煙 10月11、24日、噴煙多量。
▲1933(昭和8)年 水蒸気噴火 12月1日06:24、小噴火。噴煙高度1000m。F火口・ドーム南東亀裂南隣の小火口形成。 シシャモナイ沢、美笛川で降灰。
▲1936(昭和11) 水蒸気噴火 11月15日早朝と25日、D火口から小噴火、噴煙200m上昇。15日は支笏湖畔モラップで0.3cm、 錦岡・江別・栗山で降灰。25日は苫小牧で降灰。
▲1944(昭和19)年 水蒸気噴火 7月2日、小噴火。夜間に微量の降灰。
1947(昭和22)年 噴煙 秋頃、噴煙多量。
▲1951(昭和26)年 水蒸気噴火 1月29日02:40、03:30、04:30頃、B噴気孔群からドンドンという鳴動を伴い3回の小噴火。 山麓一帯に小量の降灰、苫小牧で5g/m2

7月28日03:15頃、B噴気孔群から小噴火。火口から約20m範囲にこぶし大のレキと150m範囲に小泥流 (火口から100m地点で厚さ10cm)。
▲1953(昭和28)年 水蒸気噴火 9月14日、A火口から小噴火。山頂火口原付近に降灰。
▲1954(昭和29)年 水蒸気噴火


5月2日14:47頃、A火口から爆発音とともに小噴火。火口付近に少量の泥流と降灰。

11月19日14:15頃、A火口から小噴火。苫小牧で震度2の揺れを感じ、爆発音と空振があった。 山頂付近に降灰。
▲1955(昭和30)年 水蒸気噴火 2月14日12:19頃、小噴火。苫小牧測候所で震度1と空振あり。
1974~1975 (昭和49~50)年 地震 12月~2月火山性地震多発。
1978(昭和53)年 地震 2月火山性地震多発。
▲1978(昭和53)年 小規模:水蒸気噴火 5月14日、A火口から小規模な噴火が発生。220℃以上の粉体流が火口から約100m流下。支笏湖畔で降灰。
総噴出物量40000m3。(VEI1)
5月17日、8月8日、12月12、16、26、29日に山頂付近降灰。
▲1979(昭和54)年 水蒸気噴火 1月5、22、23、27日、A火口からごく小規模な噴火。山頂付近に降灰。

2月5、18、25、26、27、28日、A火口からごく小規模な噴火。山頂付近に降灰。

3月1、2、4、6、8日、A火口からごく小規模な噴火。山頂付近に降灰。

4月13日、A火口からごく小規模な噴火が2回。山頂付近に降灰。

5月11、12日、A火口からごく小規模な噴火。山頂付近に降灰。
▲1981(昭和56)年 水蒸気噴火 2月27日、A火口からごく小規模な噴火。山頂付近に微量の降灰。先だって、 1980年11月~1981年2月に火山性地震が多発。
1983(昭和58)年 10月、ドーム西側の火口原で温度上昇。
1984(昭和59)年 地震 1月火山性地震多発。
1988(昭和63)年 地震 1~2月、火山性地震が多発。
3月21日、有感地震(7合目ヒュッテ、支笏湖畔で震度2)。
1992(平成4)年 地震 2月25日、有感地震(7合目ヒュッテで震度2)。
1993(平成5)年 地震 4月27日有感地震(支笏湖畔で震度1)。10月11日有感地震(支笏湖畔で震度2)。
1996(平成8)年 噴気

地震
秋、ドーム南東亀裂で噴気活動活発化。

12月2日、有感地震(支笏湖畔・丸駒温泉等で震度2)。
1997(平成9)年 地震 1、10月火山性地震多発。
1998(平成10)年 地震 4月30日~5月1日、火山性地震が多発。
1999(平成11)年 噴気 1月13日、ドーム南西火口からの噴気を約4年ぶりに観測(1995年3月以来)。以降、継続して観測される。
地震 5月1~3日、7月1~10日、火山性地震多発。
5月17~18日、A火口の温度482℃(赤外放射温度計、測定距離5m)。以後、10月にかけて500~600℃に上昇。
11月22日、A火口の温度619℃(赤外放射温度計、測定距離5m)。火口内にごく弱い赤熱現象を確認。
2000(平成12)年 5月15日、A火口の温度582℃(赤外放射温度計、測定距離5m)。
火口原西側地熱域で地中温度の上昇と地熱域の拡大が見られた。その後、6~11月も高温を継続。A火口温度556~453℃。
地震 6月23日、有感地震(白老町森野で震度1程度の揺れ)。震源は樽前山南西約8~10km、M2.5。 その後24日にかけ、この付近を震源とする地震が7回。29日、有感地震(苫小牧市しらかばと白老町大町で震度1)。 震源は樽前山南西約8~10km。M2.6。
地震、熱、地殻変動 11月14~22日地震群発。溶岩ドーム直下の局所的膨張と熱消磁が観測された (繰り返しGPS観測および全磁力観測による)。
2001(平成13)年 地震 1月火山性地震多発。7~8月にも火山性地震多発。
A火口温度、5月641℃、6月679℃。(赤外放射温度計、測定距離5m)。
2002(平成14)年 4月27~30日の夜間、ドーム南西噴気孔群が高感度カメラで明るく見える現象を観測。 5月の調査で噴気温度は最高270~293℃。周辺に砂状の噴出物を確認。
2003(平成15)年 7月夜間にドーム南西噴気孔群が高感度カメラで明るく見える現象を観測。
10月4日頃から山頂部の噴煙活動がやや活発化、5日以降夜間にドーム南西噴気孔群が高感度カメラで 明るく見える現象を時折観測。7~8日の現地調査で、ドーム南西噴気孔群の最高温度は約500℃、 溶融硫黄、硫黄の燃焼、周辺に砂状の噴出物を確認。A火口温度は約650℃(赤外放射温度計、測定距離5m)。
地震 12月4~5日地震群発。
2005(平成17)年 地殻変動 溶岩ドーム直下の局所的な膨張を観測(GPS繰り返し観測による)。以後、2009年まで継続。
2006(平成18)年 地形変化 A火口内で崩落。
2009(平成21)年 火山性微動 7月2日、9月25日火山性微動発生。
10月16、23日、傾斜変動を伴う火山性微動発生。
9月2日、ドーム南東亀裂東縁に新たな噴気を確認。A火口周辺、ドーム南東亀裂付近の地熱域拡大。
2010(平成22)年 火山性微動 2月23日、火山性微動発生
熱、地殻変動 6月ドーム南西噴気孔群、ドーム南東亀裂で噴気温度上昇。 溶岩ドーム直下の局所的膨張が収縮に反転(繰り返しGPS観測による)。
2011(平成23)年 火口が明るく見える現象、熱、噴気 1月、夜間にドーム南西噴気孔群が高感度カメラで明るく見える現象を観測。以降、11月まで断続的に観測。
5月26日朝、ドーム南西噴気孔群から新たな噴気を確認。現地調査でドーム南西噴気孔群から高温ガスととも に乾いた砂礫が断続的に噴出、その後も数度繰り返す。ドーム南西噴気孔群の高温化。 A火口、ドーム南西噴気孔群の噴気量増大。
2012(平成24)年 火口が明るく見える現象 4月、夜間にドーム南西噴気孔群が高感度カメラで明るく見える現象を観測。以降、断続的に観測。
2012(平成24)年 火口が明るく見える現象 4月、夜間にドーム南西噴気孔群が高感度カメラで明るく見える現象を観測。以降、断続的に観測。
2013(平成25)年 地殻変動、地震 6月下旬から7月上旬にかけて山体北西側の深部で膨張性の地殻変動。
7月から8月に山体西側3~5kmを震源とする地震活動が活発化し、 9月以降も低調ながら継続。9月23日の地震により伊達市で震度1。 (7合目ヒュッテでは多数の有感地震)

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載しています。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付しています。詳しくはこちらを参照してください。



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