平成27年2月17日の三陸沖の地震で発表した津波注意報について

地震の概要

平成27年(2015年)2月17日08時06分、三陸沖の深さ13kmでM6.9の地震が発生した。発震機構(気象庁CMT解)は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。 (地震の詳細は、平成27年2月地震・火山月報(防災編)を参照)

震源要素
震源時刻(日本時間) 震央地名 緯度 経度 深さ Mw
2015年2月17日 08時06分 三陸沖 北緯39度52.3分 東経143度11.5分 13km 6.9 6.7


今回の地震の震央分布図
1997年10月1日~2015年2月28日の期間に発生した、M≧3.0、深さ0~150kmの地震を表示している。 東北地方太平洋沖地震前に発生した地震を+、東北地方太平洋沖地震発生以降に発生した地震を薄い○、2015年2月の地震を濃い○で表示している。発震機構は CMT 解。赤枠は今回の地震を示す。

発表した津波注意報の概要

この地震に対して発表した津波注意報は、以下のとおりである。

発表時刻 概要 発表予報区
2月17日 08時09分 津波注意報発表

岩手県
津波注意報発表予報区(地図、png形式)
10時20分 津波注意報解除 同上
津波注意報の発表で、黒文字は「津波注意報」のグレードを示す。

津波の観測

各予報区において予測した津波の高さと観測した津波の高さ
津波予報区 予測(津波の高さ) 予報区内で観測した津波の高さの最大
北海道太平洋沿岸東部 津波予報(若干の海面変動) 観測されず
北海道太平洋沿岸中部 津波予報(若干の海面変動) 0.1m※1
北海道太平洋沿岸西部 津波予報(若干の海面変動) 観測されず
青森県太平洋沿岸 津波予報(若干の海面変動) 10cm
岩手県 津波注意報(1m) 27cm
宮城県 津波予報(若干の海面変動) 観測されず
福島県 津波予報(若干の海面変動) 観測されず
茨城県 津波予報(若干の海面変動) 観測されず
黄は「津波注意報」のグレードを示す。
表中の観測値は後日変更される場合がある。
※1 観測単位が0.1mである単位巨大津波観測計で観測。

詳細は、下記資料をご覧下さい。

各津波観測施設で観測した津波の最大の高さ(津波を観測した地点のみ表示)
津波観測点で観測した津波の最大の高さ
港)は国土交通省港湾局、海)は海上保安庁の観測点。

津波観測施設の津波波形
津波観測点で観測した津波
港)は国土交通省港湾局、海)は海上保安庁の観測点。

津波予測の評価

 発表した津波注意報は、当該津波予報区で観測した津波の高さと整合しており、概ね妥当な予測であった。しかし、緊急時に求めた震源と精査して求めた暫定震源は、水平位置で約100km程度ずれていたことが判明した。今回の地震の発生状況は、まず小さな地震が発生し、数秒の時間をおいて津波を引き起こした地震が発生したが、緊急的に震源を求めている段階ではそれらを分離することが出来ず、一つ目の地震のP波と二つ目の地震のS波を検測する形となり、震源の水平位置が本来の位置よりずれて決められた。時間が切迫した中で緊急で求める震源については、精査した震源に比べてその精度が落ちることから、量的津波予報ではこのような震源要素の予測誤差をある程度吸収できるようにしているが、今回の水平位置の相違は予測誤差の範囲を超えていた。
 このような場合でも適切に津波注警報を発表することが出来るようにするため、震源決定については、通常のP相及びS相を用いて求めた震源とP相だけで求めた震源と比較を行い、位置の差が大きければ複数地震発生の可能性が高いとして、通常の震源による津波予測とP相だけで求めた震源による津波予測のうち、津波予報区毎に危険な内容(より高い、より早い予測)を採用して津波注警報を発表するという対策を行うこととした。また、津波注警報発表後は、グリッドサーチによるCMT解析を行い、セントロイドの位置が決定した震源と大きく異なっていないことの確認を行うという対策を行うこととした。

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本ページ内の図の作成にはGMT(Generic Mapping Tool[Wessel,P., and W.H.F.Smith, New, improved version of Generic Mapping Tools released, EOS Trans. Amer. Geophys. U., vol.79 (47), pp.579, 1998]) を使用しています。