災害をもたらした気象事例

昭和51年夏の低温
昭和51年(1976年) 6月~10月
低温と8・9月の多雨
災害概要
農作物被害4,093億円
算出期間:6月中旬~10月中旬
被害地域:北海道~九州地方
(農林水産省統計部資料)
概要
 6月中旬、6月下旬後半~7月上旬前半、オホーツク海高気圧が北海道、東北地方を覆い、梅雨前線を小笠原諸島付近まで南下させた。特に6月下旬後半~7月上旬前半は全国的に強い低温に見舞われ霜害が発生した。沖縄地方と奄美地方の梅雨明けは平年に比べ大きく遅れた。7月中旬末にもオホーツク海高気圧が北日本を覆い低温になった。7月下旬初めに太平洋高気圧の勢力が急速に強まり、関東南海上の梅雨前線が次第に消滅して各地で梅雨が明けた。梅雨期間の降水量は大部分の地域では平年並であったものの、山陰地方では平年の5割以下、北日本でも少雨傾向が顕著であった。
 8月は中旬後半を除いて、前線が本州上ないし本州南岸に停滞することが多かった。前線の活動は活発で、大雨や雷を伴う強雨が多発した。前線の北側ではオホーツク海高気圧の影響で低温が続いた。一方、7月下旬~8月末、鹿児島県奄美諸島、種子島では少雨による干害が発生した。
 9月は月を通して全国的に低温が続いた。秋雨前線の活動は概して不活発であったが、台風第17号が大量の雨をもたらした。全国的な低温傾向は10月も続いた。
 この6月中旬~10月の低温により、水陸稲、野菜、雑穀・豆類、果樹などの農作物に被害が発生した。水稲の作柄は、この低温と7月中旬~9月上旬の寡照の影響を受け、北海道、東北・北陸地方で「不良」、関東・甲信地方で「やや不良」であり、9月中旬の台風第17号の影響により四国・九州地方で「やや不良」であった。陸稲は主産地の関東地方では適度な降雨に恵まれ作柄は「良」である一方、東北地方は低温、九州地方は台風第17号の影響を受け「不良」であった。
経過図(新潟) 夏季平均気温平年差図
期間内での観測値
気象官署での観測値
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